コロナウイルス変異種の感染が広がり、日々の予防対策がいっそう強化されるなか、食事での栄養摂取は気を抜けない。そこで注目したいのが春菊と小松菜だ。粘膜を保護する栄養素を含み、免疫力アップの強い味方に! その栄養、健康効果、おすすめの食べ方を専門家に聞いた。
冬の葉もの野菜といえば、ほうれん草。栄養たっぷりなのは事実だが、コロナ対策には春菊と小松菜がおすすめ。なぜか?
「春菊と小松菜に含まれるβ-カロテンは、体内でビタミンAにかわり、皮膚や粘膜の保護を高める働きがあります。また、β-カロテンは抗酸化力が高いのも特徴です。活性酸素による細胞のダメージを抑制して、免疫力を高めてくれます」
とは、栄養士の若宮寿子先生。
春菊と小松菜のβ-カロテンを摂取するのは今が最高。
「春菊の旬は11月から3月、小松菜は12月から3月です。旬のものはβーカロテンをはじめとする栄養素の含有量が高いので、ぜひ積極的に食べていただきたいです」(若宮先生、以下同)
β-カロテンは脂溶性なので、油と一緒に食べると吸収率がアップし、効率よく栄養を摂取できる。
「和食には油と一緒に食べるレシピが多く、おすすめです。例えば、春菊ならすきやき、ごまあえ、小松菜なら油揚げを入れた煮びたし、野菜炒めなどがあります」
小松菜は抗酸化力のあるビタミンCも豊富に含んでいるが、ビタミンCは熱に弱いので加熱するときはサッと火を入れるのがポイント。春菊は加熱するとβーカロテンの量が増えるので鍋ものに最適。だが、栄養があっても香りが苦手な人も。
「春菊の独特の香りはα-ピネンとぺリルアルデヒドという物質によるもので、食欲増進の働きがあるといわれています。チヂミやお好み焼きの具にすると、食べやすくなるでしょう」
工夫次第で苦手な人でも美味しく食べられる! 免疫力アップ食材を加えたレシピも、ぜひお試しを。
春菊
β-カロテン含有量はダントツ! ゆでるとβ-カロテンが増えるので鍋ものにぴったり
【栄養】
粘膜を保護し、強化する働きがあるβ-カロテンがたっぷり。その含有量はほかの青菜に比べて高く、生の春菊には100gあたり4500μgのβ-カロテンが含まれている。
【おすすめの食べ方】
油と一緒に食べるとβ-カロテンの吸収率がアップする。脂身のある肉と一緒に鍋物にするのはもちろん、ごまあえ、ナムル、ピーナッツあえなどがおすすめ。
小松菜
β-カロテンのほかビタミンCがたっぷり! 冷凍保存できるので安いときに買ってストックしても
【栄養】
生の小松菜100gのβ-カロテンは3100μgと春菊より少ないものの、活性酸素を抑えて免疫力を維持するビタミンCが豊富。生の小松菜100gに39gが含まれている。
【おすすめの食べ方】
春菊と同じく油と一緒に食べると吸収率が向上。ビタミンCは熱に弱いので生で食べるか、ゆでて食べる場合は長時間加熱しないことがポイント。
『春菊・小松菜の免疫力アップレシピ』
コロナ予防を強化したい今、積極的にとりたい食材をプラスしたレシピを紹介!
春菊とスモークサーモンのサラダ
鮭は免疫力の強化に欠かせないビタミンDを含み、骨を丈夫にする働きもあるのでおすすめ! ドレッシングにはオリーブ油、アマニ油など良質なものを使って。
【材料(2人分)】
春菊 100g
玉ねぎ 1/8個(20g)
スモークサーモン 60g
オリーブ油・酢 各小さじ2
塩・こしょう 各少々
【作り方】
(1)春菊は軸と葉を分けて、軸は薄い斜め切りにする。玉ねぎは繊維に沿って薄く切る。スモークサーモンは大きければ食べやすい大きさに切る。
(2)オリーブ油、酢、塩、こしょうを混ぜる。
(3)皿に春菊と玉ねぎを盛り、サーモンをちらし、(2)をかける。
小松菜としらすの卵焼き
体内にウイルスが侵入してきたとき必要な免疫機能を促す働きがあるビタミンD。しらすはビタミンDの宝庫で、15gでビタミンDの1日の必要量の80パーセントをクリアできる。
【材料(2人分)】
小松菜 2株(100g)
しらす 30g
卵 2個
サラダ油 小さじ2
塩・こしょう 各少々
【作り方】
(1) 小松菜は軸と葉に分け、幅1cmに切る。
(2) フライパンにサラダ油を入れ中火で熱し小松菜の軸を炒める。しんなりしたら葉としらすを加えて塩、こしょうで調味する。
(3) ボウルに卵を溶いて(2)に加え、全体を混ぜながら炒め、卵が好みのかたさになったら、皿に盛る。
春菊の明太子あえ
明太子に含まれるビタミンEは免疫細胞を直接活性化し、免疫抑制物質の生成を防ぐ。強い抗酸化力で活性酸素による細胞の破壊をブロックしてくれる。
【材料(2人分)】
春菊 150g
明太子 35g
ごま油・しょうゆ 各小さじ1/2
【作り方】
(1) 春菊は葉と軸に分ける。鍋に湯を沸かし、軸を入れゆで、やわらかくなったら葉も加えサッとゆで、冷水にとる。
(2) (1)の水けをしぼり2cmの長さに切る。
(3) 明太子の薄皮を除きボウルに入れ、ごま油、しょうゆ、(2)を加え混ぜ、器に盛る。
小松菜のヨーグルトスムージー
小松菜のβ-カロテンのほか、りんごに含まれる水溶性食物繊維のペクチン、ヨーグルトの乳酸菌が1度にとれる。ヨーグルトには免疫力アップに必須のタンパク質も!
【材料(2人分)】
小松菜 1株(50g)
りんご 1/4個
プレーンヨーグルト 100g
牛乳 50ml
はちみつ 小さじ1
オリーブ油 小さじ1/2
【作り方】
(1) 小松菜は2cm長さに切る。りんごは芯は除き皮つきのまま、5mmの厚さに切る。
(2) ミキサーに、(1)、ヨーグルト、牛乳、はちみつを入れ攪拌する。
(3) (2)をグラスに注ぎ、オリーブ油を加える。
お話を伺ったのは
若宮寿子先生
栄養士、料理研究家、米国NSF HACCPコーディネーター。健康と美味しさを両立したレシピを提案。企業にて8年間社員の栄養指導・給食管理を行い、東京都知事より栄養改善の表彰をされた実績も。著書は『野菜の栄養図鑑』(宝島社)など多数。