※写真はイメージです

 30年6か月ぶりに3万円の大台を回復した日経平均(2月15日)。株式市場はバブル景気のような状態で、大きく儲けた人が続出。コロナ禍で好景気とはいえないのに、なぜバブル状態なのだろうか? 

「政府と日銀の働きによるところが大きいです」というのは、投資信託・株初心者アドバイザーの竹内弘樹さん。

「不景気にならないように、金融緩和をして積極的に融資を進めています。資金を借りても金利はほぼゼロなので、資金繰りの悪化による倒産を防いでいます」(竹内さん)

 加えて、景気対策のために日銀がETF(上場投資信託)を通して株を購入しているので、株価は下がりにくく上がりやすいのだ。

「ただコロナ禍が落ち着けば、株価全体が下がる可能性が。それがいつかは誰にもわからないので、銘柄選びは慎重に」(竹内さん)

 狙い目は、コロナ禍とは関係がないのに株価が下がっているような会社で、コロナ禍が落ち着けば株価が上がりやすいという。

 また、年に数億円を稼ぐすご腕トレーダーとして有名で、大化け株を中心に取引をするウルフ村田さんは、

「時流に乗った株を選ぶ“目”が大事。10倍が期待できるような株には一定の条件があり、それらがそろうとバーンと跳ねやすいです」

【これが10倍株の特徴!】
●コロナ禍と関係がないのに株価が下がっている会社
●業績が成熟している大型株よりも、成長の伸び代が大きい中小型株
●売上高と利益が徐々に増加している会社
●上場してから3年以内が目安
●注目度が上がってきて資金が大きく流れつつある会社

 働いてもたいして増えないわれらのお金。初心者でもできる探し方や有望銘柄、売買のコツを押さえて、ビッグマネーを手に入れられるのだろうか……。竹内さんと村田さんに、株の見極め方や有望銘柄の選び方を聞いてみた。

※本企画の各株価は2021年2月8日のものです。
※本企画は投資にあたっての参考情報を提供するものです。投資判断は自己責任でお願いします。

急騰銘柄ハンター・村田さんの選び方

「10倍になるような株には3つのパターンがあります」(村田さん、以下同)

 まず、コロナ禍がきっかけでマスク関連やワクチン関連の会社の株価が急騰しているように、テーマ株(特定のテーマの銘柄群)相場の流れで短期間に一気に上昇するもの。

 次に、大きく売り込まれたものの業績が回復して一気に上昇するもの。

 最後は、業績の伸びが何年も続いたことで大きく上昇するもの。例えば、ソニーやIRジャパンといった会社がそれ。

 さらに絞り込むには、「ストップ高」(※1)になるものに注目を。証券取引所では、株価の異常な暴騰・暴落を防ぐために、1日に変動できる値幅を制限していて、その上限まで株価が上昇することを「ストップ高」という。

「1年で5倍や10倍になるような銘柄はみんなの“買いたい”という意思が高まります」。ストップ高になるということは、買いたい人が増えたという証拠。上昇気流に乗ることで、一気に資金を増やすことができる。

※1=村田さんは「株探」というサイト(https://kabutan.jp/)を活用していて、ストップ高は株探の「株価注意報」→「本日のストップ高銘柄」でチェックできる。

■全員が勝てる大相場の特徴は

 加えて、次の3つの特徴が重なったら鉄板。それは「出来高急増」「売買代金」「ティック数」。聞き慣れない言葉ばかりで、頭がクラッとしそうだが、ひとつずつ紐解いてみよう。

 出来高とは売買が成立した株数のことで、これが急激に増えているものを出来高急増という。「株価が上がったくらいでは、それが継続するという信頼度は低い。5日平均出来高や10日平均出来高(※2)を見て、5倍~10倍になっていれば合格点です」

 売買代金(※3)とは株価に出来高を掛けて算出する。「5億円や10億円くらいあるといいですね。中には1億円ほどでスルッと上がる株もあります」

 ティック数(※4)は、売買が成立した回数のこと。出来高が多くても大口注文ばかりだとティック数は少なくなる。「参加者の多少を見るのです。参加者が多いほうが、売買がスムーズになるのでより安心です」。

※2=「Yahoo!ファイナンス」(https://finance.yahoo.co.jp/)で調べられる。
※3=「株探」で銘柄検索し、「基本情報」のページに記載。
※4=「株探」で銘柄検索し、「基本情報」のページの「約定回数」がティック数にあたる。

■相場の「波」をつかみ大きく増やす

 これらの条件をチェックしたら、いよいよ買う準備だが、すぐにポチッとするのだけは避けて。

「タイミングは非常に重要。相場は上がって下がってを繰り返し、波を描いています。波の低いところ=押し目で買うのが肝心」

 タイミングをはかるには、各銘柄のチャートを活用。

チャートのココをチェック(解説/ウルフ村田さん)※「株探」のIRジャパン(日足)チャートより 

「まず『株探』のチャートを開きます。すると、ローソク足と5日・25日・75日の3本の移動平均線が書かれています。3本がすべて上向きでそろっているときに買うといいでしょう」

 加えて、押し目の判断に役立つのが、MACD(マックディー)という指標。

「2本の移動平均線が描かれていますが、MACDのゼロラインより下でゴールデンクロス(長期の移動平均線を短期の移動平均線が下から上に突き抜けること)したら買いのタイミングです」

 さらに、日経平均が1日で1000円など暴落するときは、大チャンス。つられて有望株も一時的に下がることが多いからだ。

 満を持して買った株でも、損が膨らんだ場合は損切りをする必要が。

「株価が上がっているときは5日移動平均線の上にいるもの。これが下にもぐってきたら、逃げるのが無難」

 加えて25日移動平均線がたれてきたら、下落トレンドになる可能性がある。

「利益がのっている場合は、8回くらい高値を更新したら利益確定を。“新値八手”とも呼ばれ、いったん崩れることが多いです」

 多少の勉強が必要な村田さんの手法だが、労力をかければ莫大なリターンを得る可能性大。

ウルフ村田さんオススメおばけ銘柄10 ※株価は2021年2月8日のもの

成長株でじっくり派・竹内さんの選び方

「コロナ禍でダメージを受けて業績が悪化し、株価も下がっているような銘柄こそ狙い目です」(竹内さん、以下同)

 特に、コロナ禍以前には増収増益を続けていた銘柄がベスト。状況が変われば、もとの成長軌道に戻る可能性が高いからだ。

「おすすめは、コンスタントに成長していく会社の株=成長バリュー株。会社が大きくなるのとともに利益を得る、中長期投資です」

 銘柄選びのチェックポイントは、会社四季報でいえば、「株価指標」や「業績」の欄。

「株価指標の欄では主にPERに注目しています」

 PERとは、1株当たりの純利益に対して、いまの株価が何倍なのかを示すもの。純利益が1000万円、発行ずみ株式数が10万株の場合、1株当たりの純利益は100円。その会社の現在の株価が2000円なら、PERは20倍となる。

「成長率にもよりますが、PER10倍~20倍くらいの株がおすすめです」

 また、業績の欄では、売上高や営業利益の伸び率をチェック。

会社四季報のココをチェック(解説/竹内弘樹さん)※『会社四季報』2021年新春(中央自動車工業)より

■複数回に分けて買うのがベスト

「成長バリュー株は、時間経過とともに、会社の価値が増大する株。それゆえ、買うタイミングは好きなときでOK」

 ただし、ひとつの株について、2~3回に分けて買うのがポイント。

「株価が下がったときに、再び買うのです」

 逃さずに買い増しすることで平均的な購入単価が下がり、より高いリターンを得られる。押し目と判断するにはPERを参考に。例えばPER15倍だったものが10倍になるなど、「5下がったら買い増しする」と決めておくのも手。

 含み損が増えていっても、金額で損切りをする必要はないと竹内さん。

「年4回ある決算発表を見て判断を。想定どおりの決算なのに含み損になるなら、株価が一時的に安くなっただけ。これは喜んで買い増しを」

 逆に、想定と異なった決算だった場合は売却を。

 また利益確定もすぐにしないのが竹内流。

「会社の成長が想定どおりのうちは、できるだけ保有し続けます。ただし、会社の成長はどこかで鈍化するので、成長率が落ちてきて、うまみがなくなってきたと感じたら、利益確定のタイミングです」

竹内弘樹さんオススメおばけ銘柄10 ※株価は2021年2月8日のもの

(取材・文/樫野早苗)

《PROFILE》
ウルフ村田(村田美夏) ◎年に数億円を稼ぐすご腕トレーダーとして有名。“ウルフ村田”の異名をもつユニークなキャラクターとは裏腹に、緻密なトレードを行う。誠実で謙虚な人柄で、個人投資家のファンも多い。

《PROFILE》
竹内弘樹 ◎ライフパートナーズ(株)代表取締役。投資信託・株初心者アドバイザー。独学で株式投資を学びながら、ウェブサイト「やさしい株のはじめ方」を設立。わかりやすい解説と堅実な手法に定評が。