「僕は身体も洗わない。髪の毛はシャンプーで洗いますが、身体は20年以上洗っていません。お風呂に入って流すだけ」
14日放送の『ボクらの時代』(フジテレビ系)でトンデモ告白をしたのは窪塚洋介。実はこの入浴法、“タモリ式入浴法”と言われている。6年ほど前に話題になっており、石けんを使わずに38度ほどのお湯に浸かるだけというもの。その名のとおりタモリが実践している。窪塚のほかにも、福山雅治やローラ、妻夫木聡なども。芸能界ではちょっとしたブームのようだが、石けんを使わないと汚れやにおいがとれないのでは……。
「まったく問題ありません。逆にボディソープを使うと、皮膚を痛める原因になります」
そう話すのは、自身も10年以上タモリ式入浴法を続けている皮膚科医の夏井睦先生。
「皮膚の分泌物は皮脂を含めて水溶性の物質。なのでお湯に浸かっているだけで、汚れは落ちていきます。頭皮もお湯だけで洗う“湯シャン”で十分です。
僕はこの方法で肌もツルツルですし、シャンプーを使っていたときと比べて、フケも出ませんし髪の毛も太くなって増えてきました」(夏井先生、以下同)
お風呂に毎日入るようになったのはここ50年の話
ボディソープなどを使ったほうがよりきれいになりそうだが、
「石けんは、本来なら混じり合わない水と油を均一に混ぜ合わせる界面活性剤の作用で、油などの汚れを洗い落とします」
石けんの洗浄力を強化したものが合成洗剤やボディソープ、シャンプーなど。
「これらは皮膚の角質表面をコーティングしている皮脂層までもすべて洗い落としてしまいます。だから洗ったあと、肌がカラカラになって乾燥状態になるんです」
皮脂層は乾燥を防ぐだけでなく、角質の中と毛穴にある常在菌のすみかを守る働きもあるという。
「外来菌や病原菌の侵入を防いでくれる常在菌。ですが皮脂がなくなると、この菌は活動できなくなってしまいます。この状態が続けば、病原菌などが繁殖しやすい環境になって、雑菌だらけの肌になります」
肌の健康を守れることはわかった。体臭については、
「石けんの香りなどで隠れていた、本来の体臭がにおってきます」
石けんの香りに慣れた嗅覚(きゅうかく)は、その体臭をどう感じるのだろうか?
「日本人が現在のようにお風呂に毎日入るようになったのは、せいぜい、ここ50年くらいのこと。それまでは週3回、銭湯に行くくらいでした」
明治時代では女性でも洗髪は6週間に1度が望ましいとされていた。
「においに対して鷹揚だったのでしょう。現在の清潔さに対する習慣は“不潔はビジネスになる”というアメリカの企業の戦略に乗ってしまった結果ですよ(笑)」
とはいえ、現在は“スメハラ”といった言葉があるように、においに敏感な人も多い。エチケットとして、デオドラントスプレーなどは年間通して使われる時代だ。
皮膚の健康のためには、お湯に浸かるだけの入浴法は決して間違っていない、と夏井先生は話す。しかし、体臭は自分では気づきにくいもの。20年以上、身体を洗っていない窪塚も、スメハラしていないか気がかりだ……。