『ニュースウオッチ9』でレポーターを務める松苗竜太郎アナウンサーが今春、NHKを退社。大手電機メーカー・富士通の広報マンに転身することが、1月下旬に一部スポーツ紙で報じられた。
「コロナ禍で今後の人生を見つめ直す時間が増えたことで、第2の人生に進むことを決意したそうです。実は近年、一般企業に転職する元アナウンサーや元アイドルたちが増えているんです」(スポーツ紙記者)
2000年代に『めざましテレビ』(フジテレビ系)のお天気キャスターとして活躍した高樹千佳子は、2019年4月に芸能界を引退。同年5月に不動産会社のオープンハウスに転職し、マーケティング本部の広報ディレクターとして勤務していることをネットメディアのインタビューで答えて話題になった。
「同じくフジ系の『めざましテレビ アクア』メインキャスターに起用され、人気となったフリーアナウンサーの牧野結美さんは2017年9月に芸能活動を終了。同年11月にサイバーエージェントに入社し、現在は人事担当として勤務しています。彼女がかつて所属していたアナウンサー事務所が同社と繋がりが強いため、そのツテを頼って入社したと聞いています」(広告代理店関係者)
サイバーエージェントに牧野を採用した経緯について問い合わせると、「個別社員についての問い合わせには、回答いたしかねます」とのことだった。
アイドルが“ソニーの顔”に
“ももち”こと嗣永桃子も所属していたアイドルグループ『カントリー・ガールズ』のメンバーだった山木梨沙は、大手企業のソニーに就職していたことが判明し、ファンの間で話題に。
「2月中旬に就職サイトで公開された、ソニーの会社説明会動画に山木さんが人事部の採用担当者として登場。主に進行係を務めていました。2019年12月に芸能界を引退していたので、おそらく翌年の4月に入社したのでしょう。アイドル時代からMC力には定評がありましたが、入社1年目で“企業の顔”とも言えるポジションを務めていたのはさすがにビックリしました」(山木の元ファン)
しかし、彼女をよく知るアイドル誌の編集者は、山木がソニーに就職したことにまったく驚きはないと語る。
「彼女は慶應義塾大学商学部に通っていた才女。もともと芸能活動に興味があったわけではなく、道重さゆみさんの熱狂的なファンで、モーニング娘。らが所属する『ハロー!プロジェクト』の研修生になったタイプです。ハロプロのアイドル活動以外には興味がないため、グループ卒業後は高学歴を活かし、一般企業に就職するようだと関係者の間では噂になっていました」
ソニーにも山木を採用した理由について問い合わせたが、「本件の取材については辞退させてください」とのことだった。
転職サイト『リクナビNEXT』の元編集長で、現在は“ミドル世代専門転職コンサルタント”として活動する黒田真行さんは、一般企業に転職するアナウンサーやアイドルが増えた背景をこう分析する。
「昨今のコロナ禍もあり、各企業が広告費を削減。テレビ局や芸能事務所が苦境に立たされ始めていることで、メディアへの出演で収入を得るのが以前より難しくなっています。そんな中で直接、企業と契約を結んだり、企業に所属したりすることで収入を得ようと考える人が増えているのでしょう。企業側としても、タレントを迎えることで広告塔としての役割も期待できます」
第2の人生を歩むアイドル
エンタメ事情に詳しいフリーライターの大塚ナギサさんは、芸能界の変化も関係していると指摘する。
「AKB48のブレイクによりグループアイドルブームが起きたことで、アイドルになる人が昔より増加しました。いろいろなタイプの人が出てきたこともあり、結婚してもアイドルを続けるなど、多様性のある生き方や考え方が受け入れられる時代になっています。そのため、芸能界にしがみつかず裏方に回って活躍する人など、第2の人生を歩むアイドルたちも増えていますね」
セカンドキャリアについて、アドバイスする芸能事務所も増えているようだ。
「30歳を過ぎていたり、結婚しても続ける人が出てきたりとアイドルの総数が増えているため、生き残るのも厳しい世界。そのため、卒業後に女優やタレントとして1人立ちするのが難しそうなメンバーには、現役時代から“卒業後の就職先は考えているか?”といった聞き取りをし、一般常識が備わっていて能力が高い子には就職先を紹介するケースもあります」(芸能プロ関係者)
前出の黒田さんもこう続ける。
「もともとタレントやアナウンサーとして活躍していた人はコミュニケーション能力も高いでしょうし、広報職などであれば今までいた世界に近いため、一般社員と同等の活躍が期待できます。ただ入社したからセカンドキャリアとして成功というわけではなく、3年、5年と続け、仕事内容が評価されてこそ本当の成功と言えます。ですから今回、名前が挙がった方々の真価が問われるのはこれからでしょう」
同僚が元芸能人……という時代も、珍しくなくなるかも?