コンビニでのマイバッグ派のお悩みは…

 2020年7月のレジ袋有料化から半年以上が経過したが、必要以上にポリ袋を持ち帰る“ポリ袋ハンター”やマイバッグを使った悪質な万引きなどレジ袋界隈はいまだにざわついている。マイバッグを持ち歩く機会は増えたものの、なにげなく立ち寄ったコンビニで「あれれ? モヤモヤッ!」とすることもしばしば。マイバッグに商品を詰めている最中なんだか気まずい、購入したレジ袋に商品が詰めきれなかったなど、お悩み山積み。みんな何でお困りなのかを調べると……。

マイバッグ派のお悩みトップ3
「いつ、誰が、どこで?」

 週刊女性の読者を対象にしたアンケートで、お悩み1位は商品を詰めるタイミングがわからない、2位が自分と店員どちらが商品を詰めるのかあいまい、3位が商品を詰める場所がなくて困るという結果に。

「マイバッグを出すタイミングや、自分で入れるか店員さんにお願いするか迷っていつもあせる」(50代・会社員)、「レジが狭いので、スキャンした商品をすぐ詰めてもいいのかわからない」(40代・会社員)、「マイバッグに詰める、詰めない、の対応が店や店員さんによって違うし、詰める場所もレジ以外に別の台があったりなかったりして本当にわかりにくい」(30代・パート)。

 中には「袋詰めの際にレジの店員さんと後ろのお客さんに注目されているような気がして、生活に必要なものを買うときはすごく恥ずかしい。レジの待ち時間も長くなってコンビニが遠い存在になった」(30代・自営業)なんて声も。

 一方でレジ袋購入派は「横長トレイのお寿司や惣菜はマイバッグに入らないので袋を買う」(50代・専業主婦)、「袋のサイズを聞かれてちょうどいいサイズがわからず、小さすぎたり大きすぎたりする」(40代・専業主婦)と、買ったものと袋のマッチングに苦心中。

 ちなみレジ袋の種類は、セブン-イレブンが小・中・大・弁当用を各3円・特大5円(税別)、ファミリーマートが小・中・大・弁当用を各3円(税込み)、ローソンがS・L・弁当用を各3円(税込み)で販売していてコンビニによって違いがある。

 また、「ゴミ袋として使っていたので、仕方なく買っている」(50代・パート)という声も根強い。ポリ袋製造大手・日本サニパックの調査では、レジ袋を二次活用する人は93%にのぼり、7割以上がゴミ捨て用に使っている結果に。

「レジ袋有料化以降、当社で販売している『とって付きポリ袋』や小サイズのゴミ袋の販売量は、前年比2〜3倍になりました。マイバッグの代用や食品の保存に再利用する方も多く、購入者の層が広がったと感じます」(井上充治社長)

 現在は、脱炭素型商品を拡充中で、2030年までにプラスチックの使用量を50%減らす目標も掲げているという。レジ袋という名のゴミ袋は今や生活必需品。企業も消費者も、環境に配慮する意識が一層高まりそうだ。

コンビニ大手3社のマニュアルは?

 実際のところコンビニでのレジ対応はどうなっているのか。セブン-イレブン、ファミリーマート、ローソンの広報に聞いてみた。

Q商品を詰めるタイミングは?
お客様のご要望にそうようにお店に促している(セブン-イレブン)、状況に応じて柔軟に対応している(ファミリーマート、ローソン)。

Q客と店員のどちらが詰める?
「袋(マイバッグ)にお入れいたしますか」などのお声がけをし、お客様からのご要望にそうようにしている(セブン-イレブン、ファミリーマート)、状況をかんがみ、必要な状況に合わせて対応している(ローソン)。

Q商品を詰める場所は?
基本的にはレジ接客スペースを利用。個店の実情に合わせて、各店工夫してさまざまな対応をとっている(セブン-イレブン)、基本的にレジカウンター付近で袋づめ。個店の状況により別途スペースを設けるなど対応(ファミリーマート)、基本的にレジ接客スペースで対応(ローソン)。

 質問への回答で一貫しているのは、ケースバイケースで客側の要望に応じるということ。「商品を詰める様子を店員が黙って見ていた」と「大量に買ったとき“お手伝いしましょうか”と言ってくれた」が混在するのは、個別対応が基本にあるからなのだ。コロナ禍で店員との接触を避けたい客もいるため、現場には臨機応変なやりとりが求められている。

コンビニが
日本人のエコ意識スイッチを押した

 有料になったことで、どのくらいレジ袋の利用は減ったのだろうか?

 現在コンビニでレジ袋を辞退しているのは約75%〜77%(大手3社)、レジ袋の削減状況をみるとセブン-イレブンは約8000トン(2020年7月〜2021年2月の削減量)、ファミリーマートは年間約23億枚削減の見込み(2019年度実績対比)、ローソンはレジ袋の利用枚数が昨年対比で約75%削減となっている。(2020年7月~2021年1月の期間)。この数字にはどんな意味があるのか。

「コンビニが“もったいない精神”を思い出させた」と、22年間コンビニに勤務した経験をもつ流通アナリストの渡辺広明氏は強調する。渡辺氏自身がレジ袋有料化スタートの昨年7月1日に都内の店舗を視察するも意外なほど混乱はなし。半年後の状況を探ろうと年末コンビニで店員としてレジに入ると、さらにお客さんとのやりとりはスムーズだったという。

「日本全国に店舗があり、年間159億人(2020年の買い物客数=全店ベース)が利用するコンビニは、人々の行動変容を促すのに向いています。客層を限定しないので、国民の総意があらわれるとも言える。今までタダでもらっていたレジ袋ですが本当に必要な人は25%で、便利だけど不要なものを使っていたという気づきをコンビニが与えたわけです。レジ袋有料化を入り口に、弁当トレイやペットボトルが減ったり、割りばしやストローも有料になったりするかもしれません」

 そして、エコと同時に進むのがセルフ化だ。買ったものを自分で詰めるのが浸透し、セルフレジや商品スキャンだけ店員が行うセミセルフレジに抵抗がなくなると見ている。

「新しいことが始まると、慣れずに不便を感じる部分もあると思いますが、そういうお客さんの声をもとにして最良の方法が築かれていくと思います」

 有料化から半年たっても、レジ袋のやりとりはまだ過渡期。スムーズな買い物スタイルが確立されるには、客側と店側の双方に時間とコミュニケーションの積み重ねが必要といえそうだ。