渡部建が豊洲市場で働いていることが話題になっている。目撃情報がSNSで拡散され、報道に至ったようなのだが、『週刊文春』(3月4日号)によれば、仲卸業者である知人の口利きで豊洲で働くことになったのだという。
不祥事を起こし、活動休止となった芸能人がボランティアや福祉活動に携わることでイメージ回復を狙うことは、昔からの定番となっている。いわゆる“禊”だ。
近年では“覚醒剤取締法違反”で逮捕された酒井法子は介護の勉強をするために大学に入り、“闇営業問題”で謹慎していたロンブーの田村亮も老人ホームを訪れ、同じく介護の勉強をすると宣言した。が、両者ともに芸能界復帰後、福祉活動を熱心に行っている様子は見受けられない。こうしたことが起きるたびにボランティア・福祉関係者からは、
「私たちの仕事を軽んじている。本気で向き合おうとしているようには思えない」
との声が上がることが多かった。今回の渡部のケースは上記のような事例ではないはずなのに、ネットでは似たような反応が多い。それはなぜか。
“胡散臭い”印象を与えたワケ
『文春』のインタビューにはその大手仲卸業者の社長が登場。アルバイトというが、実際は“タダ働き”であると話した。だが、それがアダとなったようで、
「社長が無給で働いていることを強調したのは、ボランティアと同じように“自分の利益を無視し、他人のために頑張っている”というアピールだったのかもしれません。ですが、それが世間からは逆にあざといと取られてしまったのでしょう。現にテレビ業界からも“また何か胡散臭いことをやっている……”との声が聞こえてきました。少なくともテレビへの復帰は今回の一件でまた遠のいてしまったでしょうね」(芸能プロ関係者)
こうした“胡散臭い”との印象を与えてしまったのは、社長によるその他の発言も関係してるようだ。
《あんな(芸能界のよう)な華やかな場所にいた人間が人が寝ているときに働くのは大変なこと》
《渡部はあの年で汗だくになってやっている。腹をくくってきているんだ》
このような美談チックな語り口も穿(うが)った見方をされる要因となったのかもしれない。世の中には深夜に働いている人はたくさんいるし、50歳過ぎて汗だくになって働いている、あるいは働かなくてはいけない人はごまんといるだろう。
豊洲市場に勤めている人たちに取材したところ、このような声が聞こえてきた。
「そりゃあ芸能人からしたら過酷かもしれませんが、我々にとっては普通のこと。たしかに重労働ではありますが、留置所に入って労役させられているのとは違いますから、それで罪滅ぼしができるかのように取られるのはどうかと思います。いわゆる“禊”の手段にされるのはごめんですね」
実は、SNSで拡散される前から渡部が豊洲で働いていることは、複数の週刊誌にタレコミが入ってきていたという。だが、どこも半信半疑で動くところはなかったようだ。
現在はというと、
「明らかに記者と分かる人やカメラマンなど報道関係者が渡部さんを探しに来ています。市場近辺には、人が乗りっぱなしで長時間駐車している車もあり、週刊誌が張り込んでいるのがすぐにわかりますね。セキュリティがそれほど厳しくはないから、部外者が立ち入り禁止の場所に進入することもあって、現場はピリピリしていますよ。渡部? 見ていないよ。自分が働いている区画以外のことはわからないよ。帽子に、今はマスクもしているしね」(同前)
話題になるものはなんでも取り上げるのが週刊誌の性(さが)。本当に働いているのか、そしてどのように働いているのかを撮るのも仕事である。
<芸能ジャーナリスト・佐々木博之> ◎元フライデー記者。現在も週刊誌等で取材活動を続けており、テレビ・ラジオ番組などでコメンテーターとしても活躍中。