《満島ひかりの無駄使い感が逆に凄みある作品に》
2月15日にYouTubeで公開された、長崎県南島原市をPRする動画がネット上で話題を集めている。
「『突撃!南島原情報局』という架空のローカル番組の設定で、市内の名所や名物を紹介していく内容です。番組内で登場する一般人や“島原の乱”の総大将として知られる天草四郎を、満島ひかりさんが1人で演じ分けています」(ネットニュース編集者)
26分という長めの動画にも関わらず、公開から約2週間で14万回再生を突破するなど、地方のPR動画としては異例のヒットに。南島原市観光振興課の担当者も、うれしい悲鳴をあげている。
「動画内のCMで紹介したタコや素麺を買いたいという電話や、ふるさと納税をしましたという反響をさっそくいただいています。これまでもPR動画は作成していましたが、公開直後に全国放送のテレビやメディアで紹介されたのは初めて。2006年に発足した新しい市なので知名度向上のため作成しましたが、期待以上の反響で満足しています」
実力派女優の満島が、出身地でもない市のPR動画に出演したのは、監督を務めた渋江修平氏との縁によるもの。
「満島さん主演のNHKBSプレミアムのドラマ『シリーズ江戸川乱歩短編集』の3作品でタッグを組んでいます」(テレビ誌編集者)
渋江監督が語る満島ひかり
撮影秘話を聞くため渋江氏に取材を申し込んだところ、インタビューに応じてくれた。
「南島原市のPR動画の公募があり、満島さんを起用して一緒に何か作りたいねとチームで話しました。自分が満島さんとドラマでご一緒したことがあったので、お話をしたところ“面白いことやりたいですね”と満島さんが快諾してくれたんです」
リアリティのあるローカル番組という設定は初めから決まっていたのだろうか?
「最初は違う企画を用意していましたが、ちょうど似たような企画がテレビで流れ始めて、そこから再考して“ローカル番組でトラブルが起こり、CMをたくさん見せる”という設定を作りました。満島さんが演じる役に関してはこちらで考えましたが、細かい部分は何度か話し合って詰めていきました」
満島が1人でさまざまな役を演じ分けているが、撮影日数は4日間だった。
「いちばん重要かつ、シーンの多い“天草四郎”だけを撮る日があって、その日は早朝から夜まで詰め込むことになりました」
動画内で流れるCMでは、かつて所属していたダンスボーカルグループ『Folder5』時代を彷彿させるキレのあるダンスも9秒ずつ披露しているが、監督はその部分が最も苦労したと語る。
「当初はサラっと撮る予定だったんです。ローカルCMにありそうなダサいものにしたかったのに、満島さんのダンスがうまくて、カッコいいので、全然ダサくならなくて(笑)。どうやってダサくするかという案を出しあって、あの古くさい3パターンのダンスが採用されました。満島さんのダンスのキレは想定外でしたね」
満島だからこそ完成した動画
公開後はSNSを中心に“才能の無駄使い”といった意見もあるが、
「むしろ満島さんをうまく使えた作品に仕上がったと思っています。いろんな役……特に一般人を上手に演じるのはかなりのスキルがないと出来ないことなので、無駄使いどころか満島さんだからこそできた動画だと思っています」
と絶賛。彼女の役者としての魅力をこう続ける。
「いろいろとアドリブを仕掛けてくれるところです。周りの出演者もその“攻撃”を食らってとっさに反応し、思わぬリアリティのあるドラマが生まれるんです。毎回、想像している以上のものが返ってくるのが魅力ですね」
満島の魅力が十分に生かされた仕上がりに、監督も満足しているようだ。
「満島さんと“素麺名人の片岡さん”以外のキャストは地元の方々にお願いしたのですが、みなさん本当に演技がうまくて、実在する番組のようなリアリティに仕上がったと満足しています。ぜひ楽しんでほしいですね」
観光振興課の担当者も、こう期待を寄せる。
「コロナ終息後は、南島原市を代表する観光スポットである世界遺産の原城跡など、ロケ地を聖地巡礼してもらえれるようにアピールしていければ」
満島効果で、南島原市が人気観光地になる日も近い!?