3年前に結婚して1児をもうけた勝地涼(34)と、離婚協議中だという前田敦子(29)。勝地についてはNHKの朝ドラ『あまちゃん』での当たり役“前髪クネ男”を地で行くようないいかげんな態度が報じられているが、前田に同情する声が多いかというと、そうでもない。
芯の強い「前田敦子」
その「我の強さ」や「実母とベッタリ」なところが別居につながったのではという見方も出ている。また、ソロ活動を始めたことでそのマイペースなキャラも明るみに。映画鑑賞が趣味で、刺身が好物だからと、映画館に刺身を持ち込み食べながら見たというエピソードには驚かされた。できれば、別々に楽しんでほしい。
ちなみに、2年前の主演映画『葬式の名人』ではシングルマザー役がミョーにハマっていた。そう、作品にはその人の本質が垣間見えたりする。そして、彼女の代表作といえばあの名言だ。
「ひとつだけ、お願いがあります。私のことは嫌いでも、AKBのことは嫌いにならないでください!」
2011年の第3回AKB48選抜総選挙で1位になったときのスピーチの一節だ。キンタロー。のモノマネでも有名になったが、ファンはそこに献身的なグループ愛を見た。『前田敦子はキリストを超えた』(濱野智史)という本まで出現したほどだ。
しかし、この発言は本当にそういうものなのだろうか。実は、これには伏線がある。彼女はいわば「作られたセンター」だった。プロデューサーの秋元康が「センターにいちばん向いてない」からこそ「シンデレラストーリー」が生まれるとして選んだセンターなのだ。
アンチに反発するぐらい気が強い
もともと人見知りだったという彼女は「イヤだ」と泣いたというが、その重責を担い、AKBのブレイクに貢献した。ただ、秋元が描く物語に不満なファンもいる。第1回の総選挙では、2位が発表される際、会場から「前田コール」が起きた。秋元に推され、センターが当たり前だった彼女が1位にならなければ面白い、と考えたファンが一定数いたわけだ。
前田はこのとき「私はAKB48に自分の人生を捧げる」とまで宣言したが、第2回では大島優子に敗北。それゆえ、第3回で1位に返り咲くと「もちろん、私のことが嫌いな方もいると思います」と切り出し、あの名言を発することとなる。
つまり、彼女にはたとえアンチがいようともこのグループを引っ張ってきたのは自分だという意地がある。スピーチの際、彼女がキレぎみに叫んだのは、あの発言がアンチへの反発でもあったからだろう。
とはいえ、自分がAKBの顔である以上、そのAKBが嫌われないなら、自己愛はかなり満たされるのである。
そのぶん、AKBあってこその自分という思いも強く、卒業後は拠りどころを失ってしまった。ソロ活動では、アンチも自分自身で引き受けなくてはならない。そのため、新たな拠りどころを結婚に求めたのだろうが、AKBの代わりになるような安定した家庭は築けなかった。例えば、もう「私のことは嫌いでも、勝地涼のことは嫌いにならないでください!」などとは言えないはずだ。
こうして自己愛のやり場がなくなった彼女は、個としてさまようことに。昨年末で所属事務所を退社し、フリーになったのもそのあらわれだろう。
今後は、ハリウッド進出も狙っているというが─。映画館で刺身を食べるマイペースぶりは、たしかに海外向きかもしれない。