《私はオッ○イ星から来たオッ○イ王国の姫・ニップルっていうんですけどね。右乳にはαエネルギー、左乳にはβエネルギーがつまっていて。神聖なるオッ○イを商売の道具に使う日本人を滅亡させるために地球に来たっていう…》(注:「○」は編集部伏字、以下同)
2005年公開の遠藤憲一が主演を務めた映画『オッ○イ星人』。そのヒロイン役の「ニップル姫」を演じた森下千里は当時、『週刊プレイボーイ』(2005年5月3日号)のインタビューでストーリーと自身の役どころを懸命に説明していた。
この時、彼女は24歳。2000年にレースクイーンデビューし、その後にグラビア進出すると瞬く間にバラエティー番組でも引っ張りだこに。すでにグラドルとしての地位こそ築いていた彼女だったが、進むべき道を模索していた最中だったのかーー。
2019年末をもって芸能界を引退し、現在はタレント時代に設立したピラティススタジオの運営などを手掛ける会社の社長を務める森下千里。そんな彼女が3月8日、久しぶりにニュースをにぎわせた。何と、次期衆議院選挙に自民党の公認候補としての出馬を、つまりは政治家デビューを目指すのだという。
当選すれば晴れて“センセイ”になるわけだが、全国紙政治部記者は「かなり険しい道」と話す。
「出馬を予定する“宮城県第5区”は、立憲民主党国会対策委員長を務める、同県出身の安住淳議員の地盤で1996年から8期にわたって当選。2017年の選挙では、対抗馬の自民党・勝沼栄明氏に約4万票の差をつけての圧勝劇を見せつけた。その勝沼氏が石巻市長選に“鞍替え”したことで空いたポストですが、候補者の誰もが尻込みする不落の城なのです。
そんな折に、名前の知られた森下さんが選ばれたわけですが、なぜ、愛知県出身で宮城県とは縁もゆかりもない、さらに政治色が全くない彼女なのか(苦笑)」
“政治色がない”という点は少々訂正した方がいいのかもしれない。所属事務所との契約を解除して以降は自身のツイッターを放置していた彼女だったが、2020年11月に約1年ぶりに再開させると、今年1月からは頻繁に更新している。
その中で、防衛省統合幕僚監部のツイートを引き合いにしたり、中国による台湾への軍事介入、またウイグル問題にも言及しては《まずは、勉強。さらに深く知ることから》といった、これまでにはなかった政治的発言も見受けられるように。この時すでに、自民党からの“オファー”があったこととも考えられる。
一方で、このニュースを知った、“ご意見番”になりつつある俳優の黒沢年雄が《レースクイーン・タレント…森下千里さんが議員に立候補!? おやめなさい…!?》と、自身のブログでストップをかけるなど、出馬の是非を問う声が上がっているのも事実だ。
“オジサンキラー”の異名を持つ
その知名度を生かして俳優や歌手、スポーツ選手が選挙に担ぎ出されることは珍しくはない。それでも、元グラドルの彼女が突如として政治家転身を目指した背景に何があったのだろうか。
かつて一緒に仕事をしたことがあるテレビ局プロデューサーは、芸能人時代の森下を「オジサンキラーぶりがすごかった」と明かす。
「明るくサバサバした性格で、下ネタに照れ笑いしながらも“ちょっと、何言ってるんですかぁ〜”と対応してくれるからとにかくオジサンにモテていたね。彼女自身もうま〜く転がしていて、実際、石田純一さんからも可愛がられて、よくプロや芸能人、企業のお偉いさんらが参加するゴルフコンペに顔を出していましたよ。
趣味もゴルフを始め、釣りに車、さらには陶芸など仕事につながるものばかりで、上昇志向というか出世欲も高く、周囲には“実権を持ってるオジサンに気に入られるのが大事”と話していたのを覚えていますよ」
そんな努力を実らせてか、彼女が“つかまえた”超大物こそ“変なおじさん”・志村けんさんだった。彼が座長を務める舞台『志村魂2』(2007年)に抜擢されると、立て続けに『志村けんのバカ殿様』(フジテレビ系)にも“腰元”としてレギュラーの座を勝ち取る。その後も安泰かと思われた。がーー、
「志村さんとの“からみ”はどうしても“セクハラ”まがいのコントも多くなり、当然ながら森下さんもやはりターゲットに。志村さんとのお芝居をそれはそれで楽しんでいたとは思いますが、彼女はもともと女優志望。当時は、同時期にグラビアを飾っていた井川遥さんをライバル視して、癒し系女優として注目され始めた彼女をうらやましく思っていたのかもしれません。
そんな彼女の性格上、“私が本当にいるべきはここではない!”とばかりに飛び出していったとも考えられますね。2010年ごろに志村組入りした磯山さやかさんと入れ替わるように番組出演はなくなっていきました」(芸能プロマネージャー)
かたや、タレント業と同時進行で焼き肉店のプロデュースを手掛けたり、株式投資にのめり込んだりとビジネス面にも手広く着手。さらにマネーマネージメント検定やファイナンシャル・プランナーといった、資産運用に関する資格も取得していった森下。
右乳にアイデンティティー、左乳に…
他にも、石田らカレー好き芸能人で結成された『芸能人カレー部』に参加したり、2015年には不倫を題材にした恋愛小説『倍以上彼氏』(河出書房新社)を書き上げて作家デビュー。結局、その1冊のみの出版だけになったものの、「その挑戦できる折れない心こそが彼女の魅力」と前出のテレビ局プロデューサー。
「グラドル上がりで、その後も芸能界で活躍できるのは一握り。彼女も周囲のライバルたちの“グラドルの末路”を見てきただろうし、“絶対に成り上がる”という気概も根性もありました。実際、相当な努力をしていたと思います。起業できたのも、さまざまなことにチャレンジして得た知識と経験を持ってのことでしょう。
今回の転身は、おそらくは昨年のコロナで会社経営に影響が出ていたのかもしれませんね。そこで、培った広い人脈を通して“お声がかかった”のではないでしょうか。政界でも“オジサンキラー”ぶりを発揮して成り上がる姿を見たいですね」
3月9日に更新したツイッターでは東日本大震災に思いを寄せてか、
《もうすぐ10年。あの時、自分は何ができたのだろうか、あの時以来、わたしがしてきたことはどうだったのか、今でも考え続けています。
「これまで」皆さんが復興に捧げてきた時間、思いに、わたしはもっと寄り添っていきたい。「これから」できることをしっかり足していきたい、そう思っています。》
と、宮城県での“出馬表明”ともとれる物言いをしていた森下。冒頭の『オッ○イ星人』のインタビューでは、ニップル姫に対抗して“自分の”を次のように表現していた。
《私のはですね、右乳にアイデンティティー…左乳にはパッションがつまってるんです! 触ってみたくなった?(笑)》
3月14日に政治家転身の正式発表がなされる見通しだが、果たして今回は己が進む道を確立し、政治に情熱を捧げることができるのだろうか。