元衆議院議員の松浪健四郎が、3月3日付の日刊スポーツのコラムで《最近、アニマル浜口の「気合だ、気合だ」を耳にしなくなった》と書いた。「そう言えば……?」と思った人もいるのかもしれない。新型コロナ禍のせいか、たしかに影をひそめている気がする浜口。そこで、東京・浅草にある『アニマル浜口トレーニングジム』を訪れてみると、次々と生徒たちが中へ入って行く。ちょうど娘の浜口京子(43)が庭先の鉢に水やりをしており、通りかかる人たちが声をかけていた。それに応え、京子はひとりひとりに頭を下げる。だが、肝心の浜口の姿が見えない……、と思っていると――。
アニマル浜口の近況
「ちょっと待て、ちょっと待て。日課として、道場で声を出しながら走り回るトレーニングを30分やり、その後ウエイトトレーニングも1時間やっています」
登場するなり、いつもと変わらぬパワフルな浜口。
「今年74歳になるんだけれど、元気ですよ。俺は1億歳まで生きようと思ってます。ワッハッハー!」
今もジムには週に3回来て、1日4時間の指導をしているという。ただし、密になるからスパーリングはなし。生徒やコーチはマスクをして声を出さない。浜口だけが距離を取り、声を出しているという。ただ、テレビでは最近見かけないようだが……。
「今週、特別寒い日に元気なロケをやったばかりだよ。ヨシ、俺の元気な姿を見せたいけれど、ここだと通行人に迷惑をかけてしまうので、ジムの中に来い!」
入口では妻の初枝さんが出迎えてくれる。ジムの中には随所にアクリルシートがあり、感染対策は万全。朝晩、必ず消毒もするという。
そして、建物の3階にある道場では、黒字で《気合》と書かれた黄色いハチマキに、黒地に黄色の文字で《気合だー》と書かれたTシャツ姿の浜口が待っていた。
「“気合”とは気を合わすという意味。気はエネルギー、創造力。気を合わすということは、夫婦もそう。先生と生徒もそう。俺はプロレスで現役のころ2度死にそうになったことがあって、原因は自分に気合が足りなかったことだと反省した。それからは常に“気合だ、気合だ”と言っています」
ジムを訪れて見えた浜口家の仲の良さ
浜口といえば、娘の京子に檄を飛ばす姿の印象が強い。
「アテネオリンピックから女子レスリングが正式種目になり、世界選手権で5回優勝した京子が2回連続で銅メダルを取ったときに、疲れ切ってしまいました」
すると突然、マスクをしたまま走り回りながら“カモンカモン、ゴー、アイアイアイ〜!”という声をあげる。ハアハアと息を吐きながら浜口が続けた。
「気合を集中すると息が詰まってしまい、持つわけがない。だから笑って開放する。でも、実際には笑ってない。声を出して発散しているんです。気合を入れて集中、ワッハッハーと笑って解放。これは俺が編み出したんです」
ここで再び大声を出して走り回り、十分な距離を取りながらスクワットを披露した。
「ジムは今年で34年になります。俺が元気でなくちゃしようがないですからね」
それから、浜口の熱い講義が続き、プエルトリコでチャンピオンになった話、国際プロレスの解散から、新日本プロレスに気合を入れて乗り込んだ際、先輩のラッシャー木村さんが「こんばんは、ラッシャー木村です」と丁寧に挨拶してズッコケた話、猪木との1対3の試合の話などなど。その経験のひとつひとつが“気合”と“ワッハッハー”につながったのだそうだ。
途中、娘の京子が「初めまして、浜口京子です」と、恥ずかしそうにペットボトルの飲料と菓子を持ってくるも、浜口に「俺が話してるときに来るな! 何言ってたか忘れるだろ!」と追い返されて笑顔で退散。別れ際には初枝さんがいつまでも“さよなら~”と、手を振りながら見送ってくれた。浜口だけでなく、一家そろって下町の暖かい雰囲気に囲まれて元気そのもの。同行したカメラマンは熱血の浜口ワールドにすっかり酔いしれて、『浜口ジム』に入会しようか迷っているという。