アラフィフ男の不倫は芸能界だけでお盛んなわけではないんです! 男性の浮気率は20代でピークを迎え50代で再上昇するという。なぜ不倫するの!? その問いに彼らが出した答えとは──。
世間をたびたびにぎわせる芸能人の不倫報道。最近では、五輪2大会連続メダリストで元卓球選手の福原愛(32)のお泊まり不倫疑惑も取りざたされている。だが、不倫をする芸能人は男性が多く、特に50代に目立つ。
とある企業が'13年に行った調査によれば、男性の浮気率は20代がピーク。その後いったんは低下するものの50代になると再び上昇する、というのだ。
芸能人でも俳優の豊原功補や近藤真彦、辞任を表明した静岡新聞社の大石剛社長のW不倫疑惑などアラフィフ男性の不倫報道も実に多い。アラフィフ男性はなぜ不倫に走るのか。その現実と心理を詳しく追っていく。
1人目──
EDおじさんの「ご褒美不倫」
「彼女との出会いは、行きつけのスナックでした。趣味の旅行や食べ歩きの話題で盛り上がったのがきっかけ。よくある話ですよ(笑)」
千葉県内で不動産業を営むコウジさん(仮名・54歳)は打ち明ける。高校生の長男を持つコウジさんは現在、ひと回り以上年下の彼女の美嘉さん(仮名・32歳)との恋を楽しんでいる。
「彼女は、若いころの岩崎宏美に似ているんです」
そう鼻の下を伸ばすコウジさん。しかし、はじめから不倫関係にあったわけではない。
「ほかの常連客を含めた複数人でランチに行くそんな“健全”なデートから始まりました。やがて彼女からビジネスの相談も受けるようになり、僕が思う以上に仕事熱心な人だと気づきました。業種は違えども、僕も経営者のはしくれ。今の彼女は若いころの自分を見ているようで、熱く語ってしまいました」
──もっと彼女の役に立ちたい。頼られたい。そんな思いがコウジさんに芽生えていった。そこからふたりが男女の関係になるには、さほど時間はかからなかった。
実はコウジさん、この不倫が初めてのことではない。
「30代のころ、火遊びをしていた時期もあります。当時、妻は子どもにかかりきりで、家に居場所がなかった、というのは言い訳ですよね(苦笑)」
そんな前科者にも人知れぬ悩みはある。
「最近アッチの調子がイマイチで……先日、バイアグラを処方してもらいました。効果はテキメン、1度は半日以上も持続しっぱなしで、彼女も悲鳴を上げていましたね(苦笑)。錠剤はいつもピルケースに忍ばせていますよ」
先日は出張先に美嘉さんを呼び寄せ、逢瀬を楽しんだと語る。その表情に罪悪感は見られない。
「彼女といると忘れていたトキメキを思い出すんです。妻も大事ですし、離婚はしない。褒められたものじゃないですが、この恋は人生のご褒美と思って楽しむつもりです」
なんとも勝手な“自分へのご褒美”である。
2人目──
あくまで親友、元カノと「再会不倫」
「家のローンのメドもついたし、子どもも成人した。生活にはなんの不満もない。でもあるときふと『俺の人生これで終わりなのかな……』と考えてしまう瞬間があるんです。そう思った矢先、地元の飲み会で再会したのが、高校時代の元カノでした」
そう語るのは埼玉県在住の会社員、弘樹さん(仮名・53歳)。高校時代には、校舎の窓ガラスこそ壊さないものの、夜な夜なバイクで走り出し、流行りのディスコで踊り明かしていたいわゆる“ヤンチャなタイプ”だった。そんな彼が当時ナンパをして付き合っていたのが同い年の元カノ・由紀乃さん(仮名)だった。
「金髪だった彼女も今や2人の孫を持つおばあちゃん(笑)。30年近く音信不通だったのに、会話のノリはあのころのまま。付き合っていたときは、お互いガキだったからケンカも多かったけど、今はなんでも話せる仲ですね。妻には言えない本音も、彼女にはついつい漏らしてしまうんです」
ときに国道沿いのラブホテルに赴き、身体を重ねるふたり。しかし「それも会えば必ず、というわけじゃないんです」と弘樹さん。
「世間が想像するようなロマンチックな関係とも少し違うんですよね。心身ともにコミュニケーションをとれる異性の親友といえばいいのかな。お互い“家庭は第一”ですしね」
取材後、弘樹さんは迎えに来た由紀乃さんの車にそそくさと乗り込んでいった。
3人目──
いつまでも若い「肉食ギラギラ不倫」
「コロナ前までは、彼女は複数人いるのがスタンダード。毎週1人ずつデートしていましたね。このご時世、あまり飲みに行けないのでデートはランチばかりですが(笑)」
そう語るのは、グラフィックデザイナーの泰輔さん(仮名・58歳)。同業者の妻は同い年、2人の娘たちはいずれも結婚し、半年前には初孫が生まれたばかりだ。
「仕事柄、きれいな女性に会う機会も多いのでセクハラにならない程度に口説いていますね。アラサーの女性は未婚既婚にかかわらず、なにかと悩みが多い年ごろなので、ゴハンにも誘いやすいんです」
デートは美術館や映画など文化的催しに連れ出すのが泰輔さん流だ。
「ついウンチクを語ってウザがられないように気をつけていますね(笑)。ホテルもラブホは使わず、お台場エリアのシティホテルでいざとなったら“打ち合わせ”と言えるようカムフラージュしています」
そんな泰輔さんの日課は、毎朝のランニングだ。
「最近は、断糖ダイエットも始めました。あまり大声では言えませんが、恋は“人生のサプリ”。いつまでも若々しくいるため、僕にとっては欠かせないものです。妻も妻で年下の男子とデートをしているようですが、お互い、そこはあえて触れず、家庭生活を送っていますね」
では、冒頭でもあげたが、アラフィフ芸能人男性の不倫事情はどうか?
不倫のタイプは4パターン
芸能界の事情に詳しいライター、仁科友里さんは次のようにカテゴライズする。
「(1)根っからの女好きタイプ(2)昇進記念タイプ(3)リベンジ不倫タイプ(4)ギンギラギン不倫と50代男性芸能人は大きく4つに分けられます」
(1) 根っからの女好きタイプ──小室哲哉
根っからの女好きで不倫は男の権利だと思っているため何度も繰り返す。自分勝手で家族のことにも無関心。離婚後も養育費を払わないなど、妻子を顧みないタイプも多い。罪悪感もなく、貞操感覚がずれている。ほかにも渡辺謙や石田純一も分類される。
(2) 昇進記念タイプ──中村芝翫
いい仕事をして、昇進したご褒美が不倫だと思っている。歌舞伎など伝統芸能の世界では襲名後。一般人では中間管理職が出世したタイミングでしがち。愛人が男の芸や仕事のフォローをすることも。“ご贔屓筋”やホステスなど、プロの場合が多い。
(3) リベンジ不倫タイプ──豊原功補
若いころはパッとしなかった、たたき上げに多い。年齢を重ね成功したことで、当時は高根の花だった同年代のマドンナと愛人関係になり、青春をリベンジしているタイプ。「妻と別れる」と言っておきながら実はその気もないような汚いタイプが多い。
(4) アンチエイジングギンギラギン不倫──近藤真彦
女好きであることは否定できないが、いちばん好きなのは自分。女性がエステに行って若さを保つ感覚で、不倫を繰り返す。いちばん大事なのは自分なので、不倫がバレても離婚するつもりはないし、相手の女性をばっさり切り捨てることも
一般人でいちばん多いのが(2)のタイプ。昇進とともに気が大きくなったり、時間ができたことで理性というタガがはずれて不倫に走ってしまうようだ。(3)のタイプは、同窓会をきっかけに不倫関係になると言われている。愛人も人生のステータスだと曲解する。
ちなみに(3)(4)のタイプは若いころモテなかったコンプレックスも手伝って不倫となる。(1)のタイプはいちばん結婚に向いていないはずなのに、何度も結婚を繰り返すのも特徴。
仁科氏いわく、「不倫は“する”のも“される”のも圧倒的に女性が不利な状況」
まずは「する」場合。
「男性芸能人は不倫がバレても社会的な制裁は甘く、大みそかにバラエティー番組でお尻を叩かれたら終わり(苦笑)。しかし不倫相手だった小泉今日子やベッキー、矢口真里らのケースを見てもわかるように女性は仕事への影響も大きく、世間からの風当たりも強いのが現状です」(前出の仁科さん、以下同)
夫に不倫“された”ワイドショーでは、不倫された妻を執拗に追いかけ、“されたほうが悪い”と報じる傾向があった。最近では露骨な報道は減ったものの、これも不倫における男女格差の一因だ。
「前述の(2)のような場合は、女性側もいろいろと我慢をして積み上げてきた経緯があるので、“ここで離婚をしたら、これまでの自分の苦労が水の泡になってしまう”と耐え忍んで、離婚を踏みとどまるケースもあります。いずれにしても男性に面と向かって文句を言ったり三下り半を突きつけることは少ないようです」
さらに不倫男と付き合う女性に関しても、
「既婚男性と知ったうえで付き合っているのは、女性も共犯。なのに、いざ明るみに出たら、被害者ヅラをするのには、違和感がありますね」
と仁科さんはピシャリ。
最後のひと花を咲かせたい……
さらには世間からの注目度には大きな差はあるものの、一般人も芸能人もアラフィフ男性が「不倫に走るマインド」には共通項があるという。
漫画家でラブホテル評論家の日向琴子さんは語る。
「50代は仕事もプライベートも一段落し、“最後にもうひと花咲かせよう”と考えてしまう時期。自らの加齢を認めながらも、心の中では“まだまだ男として見られたい”という欲もくすぶっています」
しかし「もうひと花!」と気ばかり急いても、身体は追いつかないのが、悲しき中高年のサガ。
「アラフィフ男性にとって深刻なのは、男性機能の衰えです。よく“長年連れ添った妻とでは、勃たないよ”と口にする男性もいますが、なにもほかの女性だったら勃つわけではありません。正確には“勃たない自分を妻にだけは、見られたくない”と考えている」(前出・日向さん)
普段いくら家でだらしない格好をしていても、ベッドではカッコよくありたいと願うのが男性の心理。
「私の知人のアラフィフ男性にも“行きずりの女性なら、もし勃たなくても『旅の恥はかき捨て』ができるので精神的なダメージは少ない”と語る人がいましたね」(前出・同)
万一、ダメだったら立ち(勃ち)直れない──。けっして不倫の免罪符にはならないが、男性が抱く「勃起へのこだわり」は、女性が思う以上の切実さをはらんでいるのかもしれない。
では、不倫をする男性の末路とは一体どのようなものか。
「一般には“妻にも不倫相手にも見捨てられて寂しい老後を送る”と思われがちですが実は世の中、そう単純ではありません(笑)。特に前述の(1)のような女好きタイプの男性は、根っからの寂しがり屋。あの手この手で女性を口説いて、口説かれた女性側もなんだかんだ情にほだされて、面倒を見てしまう例が多いです」(前出・仁科さん)
また日向さんは、
「アラフィフともなれば、子どもも成人して、たとえ離婚をしても養育費の心配もない。そのため不倫相手と再婚をして第2の人生を考えるケースも少なくないようですね」
ときに理屈だけでは割り切れないのが、恋というもの。しかし身勝手な行為で、妻や子ども、仕事関係者を裏切り、大切な人を傷つけることは、決して許されない。
「男性も女性も、身近な幸せにきちんと気づけた人が、最終的に幸せになります。あれもこれもと目移りをして不倫に走るのではなく、まずは今の生活に満足すること。『足るを知る』ことが大切ですね」(前出・日向さん)
幸せの青い鳥は、すぐそばにいるのだ。
仁科友里さん●フリーライター。週刊女性PRIMEにて『ヤバ女列伝』を連載中。週刊誌などにタレント論や女子アナ批評などを寄稿。ほかにも婚活相談に応じるなど幅広く活躍
日向琴子さん●ラブホテル評論家、コラムニスト、漫画家、Webテレビ局の経営など多彩に活躍。2020年末に仏教の高野山真言宗別格本山「清浄心院」で行われた得度式にて出家