2021年3月『コンフィデンスマンJP』の映画第3弾の撮影に臨む長澤まさみと小手伸也

「映画見てくださ~い!」

 ファンに向かって大きな声でアピールしたのは東出昌大。大人気シリーズ『コンフィデンスマンJP』最新作の撮影が始まっていたのだ。

「'18年にフジテレビ系の月9ドラマから、シリーズは始まりました。コンフィデンスマンとは信用詐欺師のことで、長澤まさみがダー子、東出昌大がボクちゃん、小日向文世がリチャードという役を演じています。コスプレさながらにさまざまな人間に化け、“オサカナ”と呼ばれる詐欺のターゲットを手玉に取る仕掛けが面白い。彼らも犯罪者ですが、もっと悪いやつから大金を騙し取る様子が痛快なんです」(テレビ誌ライター)

海外ロケはコロナ禍で断念

 ドラマは『ギャラクシー賞』などを受賞。'19年には初の映画版として香港を舞台にした『ロマンス編』が公開された。

「長澤さんはブルーリボン賞の主演女優賞を受賞しました。主題歌のOfficial髭男dism『Pretender』はストリーミングの再生回数が年間1位に。'20年には映画第2弾の『プリンセス編』が公開され、興行収入30億円超の大ヒットとなりました」(映画ライター)

 最新作となる第3弾の『英雄編』は'22年の公開予定で、3月中旬からクランクイン。ロケ地となったのは、海に面した場所にあるヨーロッパの街並みを再現したテーマパークだ。

海外でロケが行われるという報道もありましたが、さすがにコロナ禍で断念。地中海っぽい風景を撮れる場所を国内で探しました。NHK朝ドラの『まんぷく』や映画『鋼の錬金術師』でも使われた場所で、数日間休園して撮影をしていました。ロケ隊は近くにあるリゾートホテルを貸し切りに。ホテル内のレストランは使わずに食事は弁当にするなど、コロナ対策を徹底していたそうです」(前出・映画ライター)

 3月16日、撮影が行われていたのはテーマパーク入り口のすぐ外。長澤、東出、小手伸也が参加し、外国人のエキストラが10人ほど。周辺の施設は通常営業しており、多くの観光客の姿も。撮影を見つけた人々が集まり、歓声が上がっていた。

カフェで買ってきたドリンクを飲みながら、3人とスタッフが和やかに談笑していました。小手さんは“あらヤダ!”と手で口を覆う乙女チックな仕草で笑いを誘っていました。長澤さんは海軍士官のような制服の衣装で、東出さんと小手さんはスーツ姿。撮影中はダー子さんのハイテンションな声が響いていましたね」(居合わせた観光客)

長澤まさみのスケジュールも逼迫して……

 背景にある建物の看板には《MALTA》の文字が。ロケ地の有力候補だったマルタ島を模して、セットが組まれているらしい。

「東出さんは私たちに何度も手を振ってくれました。地方ロケのせいか、かなり開放的な様子でしたね(笑)。リハーサルと本番を繰り返し、午後4時ぐらいに撮影が終了。長澤さんは外国人エキストラに大きな声で“お疲れさまでした~!”と挨拶していました」(前出・観光客)

2021年3月『コンフィデンスマンJP』の映画第3弾の撮影に臨む東出昌大

 翌17日はテーマパーク内で撮影。前日は曇りだったが、この日は快晴で暑いほど。

長澤さんはスカートの裾がヒラヒラ揺れるリゾート感のある衣装。角野卓造さんもいました。これまでのシリーズに出演していなかったので、今回から参加したようです。赤いチェックのロングコートをカッコよく羽織る練習をしていました。スキップする場面もあって、“かわいい!”という声が上がっていましたよ」(別の観光客)

 撮影は順調に進んでいるようだが、ここに至るまでには紆余曲折があった。

映画版の前2作には三浦春馬さんと竹内結子さんが重要な役で出演していました。今回の『英雄編』も彼らを軸に物語が作られることになっていましたが、2人が急逝したことでイチから練り直すことに。脚本家の古沢良太さんも“さすがにこの状況は……”と、かなり参っていました。キャストもスタッフも三浦さんと竹内さんがかけがえのない存在だと考えていて、何らかの形で今回も登場させることを検討したそうです」(映画関係者・以下同)

 2人は映画の中では天才詐欺師として生き続けている、という設定になるという。

「ただ、三浦さんや竹内さんに代わるような人気と実力を兼ね備えた新たなキャストも考えなくてはなりません。でも、そんな俳優さんは簡単に押さえられませんよ」

 すぐには見つからないのなら、撮影時期を遅らせるという選択肢もあった。

“コロナが落ち着くまで待とう”という声も出ていました。でも、長澤さんのスケジュールがかなり先まで埋まっているんです。現在も4月からTBS系で放送される『ドラゴン桜2』の撮影も並行しているくらいですから。長澤さんは現場では笑顔を見せていますが、心の中では殺人的なスケジュールに“悲鳴”をあげているんです

江口洋介、広末涼子らがゲスト?

 今を逃すと、次に撮影できるのは数年後になってしまいかねない。

「フジテレビにとって『コンフィデンスマンJP』はキラーコンテンツですから、人気があるうちに続編を公開したいのは当然。『英雄編』の製作を強行せざるをえなかったんです」(フジテレビ関係者)

 映画は1作目が香港、2作目はマレーシアで撮影した。

「海外の風景は、映画のスケール感や華やかさを演出するのに欠かせません。でも、コロナ禍で海外ロケが不可能になり、国内での撮影に限られました。外国人エキストラを多く使って“海外っぽさ”を作ろうとはしていますが……」(前出・映画ライター)

 前作の『プリンセス編』には、北大路欣也や柴田恭兵などの超大物俳優も登場していた。しかし、今回は余裕のあるスケジュールが組めず、大御所を押さえることもできなかったという。

帽子を目深にかぶり、商店街で次男と買い物を楽しんでいた広末

焦った製作陣は江口洋介さんや広末涼子さんなど、これまで出演したことのある俳優にオファー。ただ、それだと目新しいゲストとは言えません。

  ロケ地もキャストも、前2作に比べるとスケールダウンは否めないでしょう。全体的にショボいものになってしまわないか、スタッフたちも気にしています」(前出・映画関係者)

「目に見えるものが真実とは限らない」というのがダー子の決めゼリフ。

 厳しい状況の中でも観客をアッと言わせる大逆転の仕掛けがあると思いたい。