V6の突然の解散と森田剛のジャニーズ事務所退所が発表された。彼らの存在をファン以外にも浸透させた代表作といえば、楽曲以外では'97年から'05年までTBS系で放送されたバラエティー番組『学校へ行こう!』ではないだろうか。
当時のジャニーズは厳しかった!
同番組屈指の人気コーナーだったのが『B-RAP HIGH SCHOOL』。当時、流行の兆しを見せていたラップを素人が披露し、多くの“名物キャラクター”が誕生した。今回同コーナーで人気を博した出演者の2人に、V6の解散と当時の思い出について話を聞いた。ラップと銘打ちつつも、“おもしろ替え歌”がメインだったB−RAP。
「僕もまぁ、Dragon Ashさんの替え歌でしたけどね(苦笑)」
そう振り返るのは、コーナーレギュラーと言っていい出演回数を誇ったCo.慶応。日本史の出来事などをDragon Ashのメロディーに乗せる“お勉強ラップ”を披露していた。
「高校3年生で受験が終わって、ヒマなときに番組で募集を見つけて応募したのが出演のきっかけですね。スタッフさんに慶應義塾大学に進学が決まっていることを伝えると、“お勉強とラップで作れる?”となり、この形になりましたね」(Co.慶応、以下同)
コーナーに参加するV6のメンバーはランダムに2人だったが、彼らは別室でモニターを見る形となり、直接の交流は残念ながらあまりなかったという。
「当時はジャニーズさんの扱いがすごく厳しくて、番組スタッフさんも“(メンバーには)絶対会わないように”みたいな感じでした。友達にサインを頼まれたりしましたが、そんな機会はなく、もらおうとするとADさんにめっちゃ怒られるみたいな(苦笑)。
そういった状況だったので、たまに廊下ですれ違ったりすると、すごくオーラを感じていました。テレビに出た経験がなかったので、収録中に言葉を交わすときは、けっこうぎこちない感じだったと思いますが、優しく対応してくれて、おもしろおかしくしてくれていたという印象ですね」
メンバーとコミュニケーションを取ることは難しかったが、最近うれしい“交流”があった。
「ほぼ交流がなかったにもかかわらず、最近イノッチさんが僕のことをブログに書いてくれまして。NHKの『ねこねこ日本史』というアニメ番組があるんですが、エンディング曲を僕が作らせてもらったんです。それをご覧になって紹介してくれたそうで。こんなに時間がたっているのに、覚えていてくれて、書いてくれるんだってすごくうれしかったですね」
B−RAPのメンバーのLINEグループがあって
現在もお勉強ラップを続け、ユーチューバーとして楽曲を投稿しているCo.慶応。『ねこねこ日本史』への歌詞提供だけでなく、人気ラップアニメ『ヒプノシスマイク』とのコラボやお勉強ラップが『進研ゼミ』に収録されるなど、活躍を続けている。
「番組終了後、一時サラリーマンをやっていましたが、10年ほどで辞めて、今年から音楽教材を制作する『株式会社Co.Keio』という会社も立ち上げました」
今回のV6の解散については、何を思う――。
「B−RAPメンバーのLINEグループがあるんですが、かなりざわついて、投稿が活発になりましたね。解散は表現が拙くて申し訳ないのですが、“寂しい”のひと言です……。いつかどこかでまたB−RAPできないかなと思っていたので、解散となると可能性はほぼゼロになってしまうじゃないですか……。でも本当に、今でも覚えていてくれてうれしかったです。解散されても、変わらずよろしくお願いします!」
自分の人生を変えたといってもいい6人には、感謝の思いが尽きない。
「表現が正しいかわかりませんが、僕にとってB−RAPは“実家”みたいな感じです。そこがスタートでしたし、20年くらいたった今でもやっていて、お仕事をいただけるなんてまったく思っていなかったので。もう一度戻りたかったという思いも、正直ありますけどね……」
もう1人の“名物キャラ”にも話を聞いた。
「僕はまるっきりの素人だったんですが、飲み会などで人前で替え歌をよく歌ってたんです。尾崎さんじゃないものも。それで面白いから、オーディション受けてみなよって言われたのがきっかけですね。
当時はパソコンなどではなく、ハガキでの申込みだったんですが、僕は書くのが面倒だったので、番号がわかったTBSの苦情センターに最初に電話しました(笑)。“『学校へ行こう!』の苦情なんですけど〜”って言ったらスタッフルームにつないでいただいて、そこからですね」
そう話すのは、尾崎豆(まめ)。都会の不良然としたイメージの尾崎豊さんとは正反対、故人の言葉を借りるなら“行儀よくまじめ”に生き、バイクを盗んだり校舎の窓ガラスを壊してまわるようなこともなく、むしろ心無い他人から迷惑をかけられて生きてきたような風貌。
本物の尾崎さんのような不良少年の閉塞感などではなく、そういった少年にいじられるという歌詞を歌っていた。
「尾崎豆というキャラは、僕が尾崎豊と正反対ということでスタッフに付けられた形ですね。小さくて身長にコンプレックスを持っているという設定で。尾崎豆というキャラができる人を探していたそうなんです」(尾崎豆、以下同)
井ノ原快彦とトイレで遭遇して
独特な歌詞は当初、自分で作っていたという。
「最初は自分で作っていたのですが、週1の番組だったので、だんだん辛くなってきて、1か月くらいで作家さんが作ってくれるようになりましたね」
Co.慶応はV6との交流はあまりなかったが、豆は特別だったという。
「B−RAPのコーナーが始まるときにコントふうの特別企画があり、そこに僕は出たので、V6さんとご一緒していました。絡みがなかったのは長野さんくらいですかね」
直に接したV6は、どんな印象だったのか。
「思った以上にすごく優しかったですね(笑)。コントのときは“豆、大丈夫?”なんて声をかけてくれたり、三宅さんは芸人のノリみたいな感じでイジってくれたり。収録ではないところでは、トイレで偶然、井ノ原さんと会って、後から三宅さんが個室のほうに急いで入って来たんですが、そのときに井ノ原さんが“健〜、ここに豆がいるぞ〜。個室に入ったことみんなにバラされるぞ〜”なんて言ってて面白かったです」
出演者の中でも、特にV6の面々と接点のあった豆。解散に思うことは――。
「ずっとやっていってほしかったですし、僕の青春を築いてくれた方々なので、やっぱり解散してほしくなかったですね……。お別れっていうのもおかしいですけど、これから個人活動になっても、健康第一で頑張ってほしいですね」
B−RAPが終了するころには、吉本興業に誘われ、主に新喜劇などで芸人活動をしていた豆。現在は各種イベントに出演しながら、ユーチューバーとしても活動。代表曲『15の昼』は、57万回再生とヒットしている。
「だいぶ声は変わっちゃったんですけどね。僕、成長期が遅かったみたいで(笑)」
2人の人生を決めたB−RAP。解散は今年の11月。それまでに“1夜限り”の復活はあるか――。
●Co.慶応公式ホームページ
https://cokeio.work/
●Co.慶応公式YouTubeチャンネル『 お勉強ラッパーCo.慶応の「コケオ中学校」』
https://www.youtube.com/channel/UCnT42GUUPYTKvBMCZ22a8lw
●尾崎豆公式YouTubeチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UCAGWFpxuoxHxr2PFNQoPzKA