Cocomi(2021年1月)

《さんまさんからお声がけいただいて、とても光栄に思います。まさか、中学生の時に、声優のスクールに行ってたというお話を覚えていて下さると思っていなかったので嬉しかったです》

 明石家さんまが企画・プロデュースを務めるアニメ映画『漁港の肉子ちゃん』(6月11日公開)に出演する、木村拓哉と工藤静香の長女・Cocomi。声優デビューに至った経緯を公式HP上で明らかにした。木村家と家族ぐるみの付き合いがあるさんまだけに、毎年恒例のSP番組『あんたの夢かなえたろか』とばかりに彼女の“夢”を叶えたのだろうかーー。

 これまで数々のバラエティー番組やドラマなどを手掛け、プロデューサーとしても成功をおさめているさんま。そんな彼が次に挑戦するのが劇場アニメだ。

 宮崎駿監督のジブリ映画はもちろんのこと、最近では新海誠監督の『君の名は。』、それこ歴代興行収入記録を塗り替えた映画『鬼滅の刃』など、今やアニメは子どもだけでなく大人も巻き込む大興行になっている。儲かるところに吉本興業あり。今度はアニメーション進出といったところか。

「さんまさんと吉本さんの本気度が見えますね」とは映画配給会社宣伝スタッフ。

「主演は声優経験も豊富な元妻の大竹しのぶさんで、『鬼滅』の主人公“竈門炭治郎”を演じた超人気声優の花江夏樹さんも出演します。さらに監督は『ドラえもん』シリーズなどの監督を務めた渡辺歩さん、キャラターデザインにジブリ映画でも活躍した小西賢一さん、そしてキングコング・西野亮廣さんの『えんとつ町のプペル』のアニメーション制作を担当した『STUDIO4°C』と、製作陣も豪華。

 さらには吉本を退所した雨上がり決死隊の宮迫博之さんも“ちょい役”で出演させるそう。もう、話題になりそうなコンテンツなら何でもアリ、とばかりに詰め込んだ感が満載です(苦笑)」

 その中でも“目玉”として引っ張り出されたのがCocomiというワケか。

声優だったらできそう

 自身のインスタグラムでも漫画やアニメの話題を多くとりあげ、大ヒットした『鬼滅の刃』も盛んに推していた、自称・オタクのCocomi。1月にフルートのソリストとして『東京フィルハーモニー交響楽団』と共演したばかりの彼女が、今度はトントン拍子に声優デビュー。

 芸能ジャーナリストの佐々木博之氏は「当然、木村さんとさんまさんの仲があってこそのオファーでしょう」として続ける。

「さんまさんとしても失敗するわけにはいきませんし、それこそ木村さんに、“お前んトコのどうや!?”なんて調子で準備を進めていたのではないでしょうか。

 “そこ(声優)にいったか”という驚きはありますが、たしかに正直な話、Koki,さんとは違ってさほど背の高くないCocomiさんはハイブランドのモデルにはきびしいのかな、とは思っていました。そこで、実際に演技をする俳優は難しくとも、声優としてならば、と静香さんも長女へのオファーを受けたのかもしれませんが……」

 一方で、佐々木氏は「果たして彼女がどこまでやれるのか」と危惧する。

「以前、アニメプロデューサーの方にお話を聞いたことがあるのですが、昨今の声優ブームで女性希望者が殺到しているようです。声優のアイドルユニットも次々と誕生していますからね。ただ、オーディションをしていて“今の若い子たちはアニメ声が出せれば声優になれると思っている”と嘆いていました

 声優には声優としての演技力が必要とされるわけで、ただ感情を表現して台本を朗読するのではなく、実際にキャラクターと対面しているかのような芝居が必要なんだと。実は声だけだからこそ俳優以上に奥が深いのでしょう。Cocomiさんの演技に注目したいですね」

 そんな声優界を牽引する花江と、Cocomiはいち早く“共演”を果たしていた。『VOGUE JAPAN』の公式サイト上にて対談企画が行われ、その模様が昨年の7月30日に掲載されていたのだ。

 憧れの存在を前に《緊張のあまり、手が震えているほどです……(笑)》と緊張気味のCocomiだったが、アニメ談義や音楽の話になるとすぐに和やかな雰囲気に。そして、フルート奏者として、音楽家の道に進んだきっかけを花江に問われると、

《実はそれもアニメがきっかけなんです。3歳の時にジブリ映画の『耳をすませば』を観たのですが、登場人物のヴァイオリン職人を目指している少年・天沢聖司に憧れて、「私もヴァイオリンを弾いてみたい!」と思ったのが、音楽の道に進んだきっかけです》

 何と、アニメは彼女の人生にも大きな影響を与えていた。確かに当初は、妹のKoki,と一緒に名門ヴァイオリンスクールに通っていたCocomi。いつしか、手に抱える楽器はフルートに変わっていった経緯がある。

滑舌を治したかった

 対談では、冒頭のコメントで明かされた声優スクール通いにも触れられていた。どうやら、通っていたのは中学1年生の時で、当時はフルートと同じくらいに声優レッスンに励んでいたようだ。きっかけを問われると、《声優さんのお仕事自体にも興味があった》という回答のほかにも、こんな目的があったことも明かしている。

「滑舌を治したい」という目的もあったんです。というのも、私は子どもの頃からインターナショナルスクールに通っていたので、日本語の発音が下手だったんですよ。たとえば、日本語で「オムライス」と発音するところを「ウォムライス」と言っちゃうとか……

 小学校に入学する前から都内の有名プレスクールに通っていただけに、すっかりネイティブな発音が染み付いているのだ。木村家を知る芸能関係者が明かす。

木村家の会話は日本語と英語、時折フランス語も飛び交うそうですよ。そんな娘さんたちに合わせて、ご夫婦もネイティブな発音にこだわってきたと言います。

 そういえば、日本でもバイキング形式の食事スタイルを“ビュッフェ”と一般的に使いますが、木村さんがバラエティー番組に出演した際にこれを“バッフェ”と発音して周囲を騒然とさせていました。もともとビュッフェとはフランス語からきていて、英語圏ではバッフェ、バフェなどと発音されることが多いんです。

 ただ、日本人が日常生活でネイティブな発音で英単語を話すと、いまだに周囲から“かぶれている”などとからかわれることもあったのかもしれませんし、ココちゃんも子どもながらに注文の際に“ウォムライス”と発音するのが恥ずかしく思っていたのではないでしょうか」

 帰国子女のキャラクターならうまく演じられそうだ。