《TOKIO・長瀬智也、ジャニーズ事務所退社へ》と報じられてから7か月余り─。アイドルとして、ロック・バンドのボーカルとして、存在感を放つ俳優として30年間走り続けてきた男が、ついに表舞台から降りる時が来た。3月31日、長瀬はTOKIOを脱退し、ジャニーズを退所。芸能界からも引退する。
「長瀬さんは、7、8年前……TOKIOの20周年のころから“辞めたい”と考えていたみたい。何をしても“ジャニーズのアイドル”という冠がついてまわるのが窮屈になったんでしょうね。山口達也さんの事件で音楽活動ができなくなったことも大きかった」(テレビ局関係者)
最近では仕事へのモチベーションも低下していたという。冠番組『ザ!鉄腕DASH!!』(日本テレビ系)では、長瀬だけ出演シーンがない、ということが何度もあった。
「今年の正月特番『ザ!鉄腕!元日!DASH!!』の収録には参加したんですが、そこでもひと悶着あったんです。メンバーで餅つきをするシーンの撮影があったんですが、長瀬さんだけ、あからさまにその輪からはずれていて。松岡昌宏さんに“長瀬もやれよ!”とうながされて、しぶしぶ」(番組制作会社関係者)
長瀬の母を訪ねると……
ほかのメンバーとの“すきま風”がささやかれたことも1度や2度ではない。
「仕事で地方に移動する際も、メンバーとは別の飛行機で帰ってきたり。だからグループ脱退やジャニーズを辞めるというのは想定内でしたけど、まさか、こうもあっさり引退しちゃうとは……。本当に芸能界にもTOKIOにも未練がないんだなって。長瀬さん、もうTOKIOに戻る気はないでしょうね」(芸能プロ関係者)
活動終了に先駆けて、長瀬の“最後のドラマ”として話題になっている主演作『俺の家の話』(TBS系)も大団円を迎えた。長年疎遠だった父を介護するために引退を決断したプロレスラー、長瀬扮する観山寿一が日々奮闘する中で、父父と子の絆が再生していくという物語だ。脚本は長瀬の代表作『タイガー&ドラゴン』でタッグを組んだ宮藤官九郎が書き下ろした。
「長瀬さんが、この作品を最後に選んだのはクドカンさんが脚本を書いたからというだけではないんです。制作発表の会見で長瀬さんも言っていましたが“寿一は自分と重なる部分がある”と。それがオファーを受けた大きな理由」(テレビ局関係者)
というのも長瀬自身、家庭環境では「恵まれた」とはいえない幼少期を過ごしてきたからだ。両親は長瀬が小学3年生のころに離婚。以来、長瀬と姉、母との3人暮らしに。長瀬は女手ひとつで育て上げてくれた母のことを、普段から気にかけている。
「2月14日“バレンタイン・デー”はおふくろさんの誕生日だそうで。だから、智也がおふくろさんにチョコレートを渡すのがバレンタインの長瀬家の恒例になっているんだって。ただ……5年ほど前から、おふくろさんの体調が思わしくないそうでね。前から“俺がおふくろの家の近くに住んで、いろいろ支えてあげたいんだよね”と話していたから、これからは、おふくろさんと一緒にいる時間も増えるのかもしれないね」(長瀬家の知人)
東京都内で暮らす長瀬の母を訪ねると、インターホン越しに話を聞かせてくれた。
「コロナがこうなってから、(長瀬には)1年近く会ってないです。ずっと自粛自粛で外出もできないし、体調も万全じゃないですし。最近は全然テレビも見なくなっちゃったけれど、『俺の家の話』は見てます。もちろんですよ」
交際していた相武紗季を連れて
長瀬の最後のドラマを楽しみにしている人物がもうひとりいる。長瀬の父だ。
離婚以来、離れ離れで暮らしている父は今年74歳を迎える現役のタクシードライバー。
「もう20年以上乗務しているベテランだよ。少し髪は薄いけど、背が高くて目鼻立ちも彫りが深いのは、息子さんに似てる。ちょっと天然ボケっぽいところも似ているかもね(笑)」(同じタクシー会社に勤務する同僚ドライバー)
3月26日、「夜勤務」だという父を訪ねたが、出勤予定日だったにもかかわらず不在。金曜日の夜といえば、タクシードライバーにとっては書き入れどきのはずだが……。
「最近、長瀬さん金曜日は出社しないんだ。“息子さんのドラマ見てるからじゃない?”って、みんなで噂しているよ(笑)。やっぱり自慢の息子さんなんだろうね。お客さんに“私、長瀬智也の父親なんですよ”って、つい名乗っちゃうこともあるんだって」(同・同僚ドライバー)
長瀬が、営業所に挨拶に訪れたこともあったという。
「だいぶ昔“息子が相武紗季さんを連れて挨拶に来てくれて”“向こうの親御さんにも会ったんだ”なんてうれしそうに話していたことあったよ。休みには息子さんと2人きりで飲みに行ったりもしているって言ってたし、仲いいよね」(別の同僚ドライバー)
実は父も、かつて息子同様に華やかな世界で活躍していたという経歴の持ち主。
「親父さんはタクシードライバーになる前、プロのレーシングドライバーだったんです。大会で何度も優勝して、アマチュア選手から自動車雑誌で特集が組まれるくらいのスター選手にまで上り詰めて。でも、結婚とほぼ同時に突然、引退しちゃったの。レーシングチームの仲間は“まだやれる”って引き留めたんだけれど、本人は“もうやりきったから”ってパッと辞めちゃってね……。智也が車やバイクにのめり込んでいるのは、やっぱり親父さんの影響なんだろうね」(前出・知人)
今回の大きな決断にも、父の生き方が少なからず影響を与えているのかもしれない。長瀬はある月刊誌のインタビューで、車とレースに夢中だった父との関係をこう振り返っている。
《自分の好きなことばっかしで、ちょっと寂しかった、でもそういうお父さんを今は“男らしい。俺もそういうふうになりたいなあ”と思う(中略)好きなことを極めたいのはお父さんと似てる》
知らず知らずのうちに“カッコいい憧れの男”の背中を追いかけていた長瀬。そのインタビューの最後は、こう結ばれていた。
《やっぱ自分が本当にやりたいことをやるって最高だよ。けっこう度胸いるけどね》