「この作品との出合いは、坂本眞一先生の『イノサン』という漫画。僕がTBSでやっていた『ゴロウ・デラックス』で坂本先生と対談させていただきまして、作品の世界観に魅せられましたし、サンソンという死刑執行人がいたことに驚き、クローズアップしたいと思ったんです。
この作品をやるなら映像より舞台に向いているんじゃないかと思い、演出の白井(晃)さんらと企画について話していたら、こんなに早く実現できてびっくり。昔からあまり自分で積極的に企画を出したりしないほうなのですが、自分発信でスタートし、形になってうれしく思いますね」
稲垣吾郎がベートーヴェンに続き今度は死刑執行人に! 新作舞台『サンソン』が4月23日から東京を皮切りに各地で上演。18世紀のフランスに実在し、ギロチンの開発にひと役買い、ルイ16世の処刑にも携わるなど激動の時代を生きたシャルル=アンリ・サンソンの人生を描いていく。
「ベートーヴェンでもご一緒したスタッフが多いので、安心と信頼もあるし、再び舞台をできるのはうれしいです。いま稽古が始まってだいたい1か月くらい。ようやくスケッチができあがったデッサンの段階なので、ここから色をつけて、さらにブラッシュアップしていきたいです」
『SMAP×SMAP』での思い出
サンソンと深く関わることになるルイ16世役には、初共演となる中村橋之助が挑戦。
「橋之助さんにはお会いしたことなかったんですが、お父様(中村芝翫)には『SMAP×SMAP』のゲストに奥さまと出ていただいたことがあって。
'97年とか、たぶん橋之助さんが生まれて数年たったころじゃないかな。覚えているのが、帰り際に優しい目つきで“私はあなたとは気が合いそうです”っておっしゃってくださって。芸の世界の大先輩に言われたらうれしいじゃないですか。
ただ、何が理由だったかわからず、いまだに気になっているんですが……。橋之助さんとは僕と同じ空気を感じるのですが、本人に言ったら“あっ、わかります”と言ってくれました(笑)」
フランスで大好きな映画の舞台を巡って
舞台となるフランスは大好きで、これまで何度も足を運んだそう。
「たぶん4、5回くらい……もうちょっと行ったことがあるかな。初めて行ったのはプライベートで23歳のころ。10代後半くらいからフランスの映画にハマって、モンマルトルの丘とか、凱旋門とか好きな映画の舞台となった場所を歩いたのを覚えています。
『ポンヌフの恋人』という映画が好きでポンヌフの橋にも行ったり。僕の中ではいちばん好きな橋かな。香取くんの個展をルーブル美術館でやったときも草なぎくんと行ったしね。パリはどこに行っても気持ちいいし、憧れがあるので、また行きたいですね」
草なぎくん&香取くんから刺激を!
草なぎくんが日本アカデミー賞をとったのは刺激になったし、舞台も似たような時期に本格的に始めて、本数も同じような数で、ずっと一緒にやってきた気持ちです。香取くんは、やっぱり三谷(幸喜)さんとの2人でしか出せない空気感の作品が面白いし、最高ですよね。4月に明治座でソロステージが始まったみたいで、今回は“ユーモアな香取くん”が見られるのかな。3人にとって、舞台や映像だったりと大切なものがたくさんあるけど、お互いに頑張りたいし、エールを送りたいです。
『サンソン -ルイ16世の首を刎ねた男-』
4月23日〜5月9日まで東京建物 Brillia HALLのほか大阪、福岡でも公演