お金持ちになるには、「お金の知識」と「行動」が9割! 実際にアクションを起こした人だけが成功するんです。身の回りのムダを見直したり、新しい投資の情報を収集したり!
お金とうまく付き合うトレーニングを始めよう
“老後破産”や“老後2000万円問題”など、将来へのお金の悩みは尽きない。お金の不安と訣別する方法はあるのだろうか。
「まずは、1日5分間“お金と向き合う時間”を持つと、お金管理に対する苦手意識が軽くなり、安心感が生まれます」
そう話すのは、マネーコンサルタントの頼藤太希さん。
「現在は、物価の上昇に賃金の上昇が追いついておらず、実質的には収入が目減りしていく時代。今の生活が大丈夫でも将来はわかりません。とはいえ、不安に怯えていては解決になりません。まずは、スマホ代を安くする方法や、お金を増やす方法を調べるなど、身近なところからお金とうまく付き合うトレーニングを始めましょう。
1日5分、お金のことを考えることで、行動が変わっていき、どんどん貯金体質に近づきます」(頼藤さん、以下同)
お金と真正面から対峙して、ひとつひとつの課題を解決していくのが不安解消のコツなのだ。
「お金を増やす仕組みづくりは『節約』→『貯蓄』→『投資』の順で取り組むのがおすすめです。節約は、住居費や保険など大きなお金の見直しから始めて。
貯蓄では、銀行口座を『生活費用』と『貯蓄用』の2つに分けて貯蓄することから。最初は100万円の貯蓄を目指し、達成したら半年から1年分の生活費を貯める。100万円が貯められた時点で“貯蓄の仕組み化”ができるので、その後は金額を上げても目標金額を達成しやすくなります」
十分な金額を貯蓄してから投資を始めるのがセオリーだ。
「極力お金を減らさず増やすなら、長期間の投資でコツコツ積み立てるのがポイントです。最近は『iDeCo』や『つみたてNISA』など、初心者でも継続しやすい投資がたくさんあります。“お金の情報”にアンテナを張り、実践していくのがお金持ちへの第一歩です」
ここでは、より詳しく5分でできるお金持ちアクションを解説する。しっかり実践することで、お金の不安とは訣別したい。
●その前に……
まず、この質問に答えられますか?
□毎月「何に」「いくら」使っているか把握していますか?
□口座の残高がいくらか把握していますか?
□財布の中にいくら入っているのか把握していますか?
□毎月の税金や社会保険料を知っていますか?
これらの質問に答えられない人は、今回の特集をきっかけに、お金について考え、使い方や貯め方、増やし方を身につけていこう。
<30年前と今の物価の違い>
●小麦粉(1袋1kg)
1990年(30年前) 202円
2010年(10年前) 222円
2020年 11月 263円
●コーヒー1杯(喫茶店)
1990年(30年前) 351円
2010年(10年前) 417円
2020年 11月 515円
●クリーニング代(ワイシャツ1枚)
1990年(30年前) 210円
2010年(10年前) 232円
2020年 11月 241円
※東京都区部小売価格を表示/出所:総務省「小売物価統計調査(2020年11月)」
●物価はじわじわと上昇中!
物価はじわりじわりと上昇しているが、逆に、私たちの手取りの給料は相対的に目減りしている。預貯金を大切に持っていれば安心、ではないのだ
⦅節約⦆5分アクション
お金持ちの第一歩は“節約”から始まる。
「お金を増やすには、収入を上げる、支出を下げる、投資でお金に働いてもらうという3つの方法があります。その中ですぐにできるのが、支出を下げる“節約”です」
ただ、やみくもに節約しても長続きせず、反動がくることも。おすすめは、節約の優先順位をつけること。
「金額の大きい固定費から手をつけ、次に日々のムダ遣い、食費や水道光熱費などの変動費へと着手を」
◆STEP1 固定費の節約
【1】スマホプランを見直す
大手3大キャリアのスマホを使っている人は、格安SIMへの切り替えが急務。
「大手キャリアのスマホ代は、月々1万円前後かかるプランも少なくないです。しかし、格安SIMカードに乗り換えれば、キャリアと同程度の通話・データ通信機能を利用しながら、月額2000円前後に抑えられて年間を通して数万円節約できます」
ちなみに、頼藤さんのおすすめは、UQモバイルの「くりこしプランS」。
大手キャリアの格安プランは契約から解約までオンラインのみで、店頭でのサポートが受けられず、ネットに疎いと難易度が高い。まずは自分のスマホプランの確認を。
【2】民間の医療保険は解約の検討も
子どもの独立など、ライフステージの変化は“保険の見直しどき”。
「子どもが幼いころは高額な死亡保障が必要かもしれませんが、子どもの独立とともに契約をサイズダウンすると、支払いがラクになります」
また、民間の医療保険に加入している人は、解約の検討もアリ。
「日本の健康保険制度はとても手厚く、医療費が個人の自己負担限度額を超えると『高額療養費制度』が適用されます。個人の収入によりますが、一定額を超えた分は払い戻しされるので、それほど負担にはならないはずです」
同じように、日本の公的介護保険も充実しているので、民間の保険に入るメリットは少ない。
【3】支出の“住居費の割合”を確認する
固定費のなかでも、もっとも大きな割合を占めるのが住居費。
「賃貸の場合は、手取り給与の20〜25%に抑えるのが理想。もしもそれ以上払っているなら、より安価な地域への引っ越しも視野に入れましょう。ローンで買った持ち家でも、子どもが巣立って広い家が不要になったら、売りに出すのもアリです」
本気で節約するなら、住居費の見直しは必須。ライフスタイルに合わせて考えよう。
◆STEP2 変動費の節約
【1】電気代とガス代をまとめる
変動する光熱費も工夫次第で節約できる。頼藤さんのおすすめは東京ガスの「ずっとも電気&ガスプラン」への加入。
「このプランで電気代とガス代をまとめると月数百円ほどの節約につながります。東京ガスのウェブサイトで料金シミュレーションができるので、自宅に合うプランかどうか調べてみましょう。水道代の基本使用料は固定ですが、節水シャワーヘッドや節水コマを使うと“年間1万円節約”できるケースも」
【2】ふるさと納税で日用品をゲットする
“豪華返礼品”のイメージの強い「ふるさと納税」。
「実は、日用品や高級品以外の食品も多数あります。72ロールのトイレットペーパーや、3・5キロのミンチ肉が返礼品になっている自治体も。ふるさと納税は2000円を超えたぶんは所得税、住民税から控除されるので、結果的におトクです」
⦅貯蓄⦆5分アクション
「貯蓄が苦手な人は、意志が弱いのではなく“貯蓄の仕組み”ができていない可能性が高い。自分の意思で貯められないなら、強制的に貯蓄できる環境をつくるのがベストです」と頼藤さん。
基本は、銀行口座を絞ってお金の流れを見やすくすること。“日々のお金”“5年以内に使い道が決まっているお金”“将来のためのお金”と目的別にお金を整理することで貯まりやすさがアップ。
◆STEP1 貯蓄目標金額は100万円
【1】月の貯金額を決める
貯蓄ゼロの人は「まず100万円の貯蓄を目標にしましょう」と、頼藤さん。
「100万円は、貯蓄の仕組みをつくらなければ貯められない金額。目標金額から逆算して『月に2万円貯蓄して4年で100万円達成する』など、月の貯金額を設定します。目標金額に達するころには、お金が貯まる仕組みが完成されているはずです」
生活に影響がない範囲で貯蓄額を設定するのがコツ。
◆STEP2 お金が貯まる仕組みをつくる
【1】銀行口座は2つに絞る
貯蓄を仕組み化するコツは、銀行口座を2つ用意すること。
「メインバンクには毎月の給与が振り込まれ、そこから家賃や水道光熱費、食費を払う『生活費口座』。それとは別に貯蓄分を入金する『貯蓄口座』を作ります。原則として『貯蓄口座』からお金は引き出さないようにします」
口座をたくさん持っている人は、管理ができていない可能性が高いので2つに絞って残りは解約を。
<2つの口座に分ければお金が貯まりだす>
給料、収入など
↓
振込
↓
生活費口座
↓
自動振替(先取り貯金)
↓
貯蓄口座(ここからは引き出さない!)
・生活費口座から
【自動引き落とし】家賃・公共料金・クレカなどの支払い
【自分で引き出し】普段の生活費(日々出入りするお金)
・貯蓄口座から
【自動引き落とし】定期預金など(5年以内に使い道が決まっているお金)
【自動引き落とし】つみたてNISA、iDeCoなど(将来のお金)
◆STEP3「先取り」「強制」「自動」でお金が貯まる
【1】ムリなく続く貯蓄法を選ぶ
貯蓄が苦手な人は「先取り」「強制」「自動」の3点を意識しよう。
「給与が入金されたら、貯蓄分を貯蓄口座に送金して“先取り”します。『投資信託自動積立』や『つみたてNISA』の購入先を貯蓄口座に設定しておくと“強制的”にお金が引き落とされます。1度流れを設定すれば、あとは“自動”で積み立てられる仕組みです」
財形貯蓄や社内預金、定期預金、投資信託自動積立などの制度を活用しては。
・財形貯蓄・社内預金
勤務先の制度を利用する方法。会社が月々の給与から預金額を天引きしてくれる。ただし、会社に制度がなければ利用できないので注意。
・定期預金
給与が振り込まれる口座から、自動で定期預金口座に積み立てできる。貯蓄額を自動送金する日は、給与振込日の翌日に設定しよう。
・投資信託自動積立
金融機関のプロが、複数の投資家から集めたお金をまとめて運用する金融商品。プロが株式や債券を分散して運用してくれるので管理がラク。
●楽しく続けられる面白貯金も!
小銭は「面白貯金」で楽しく貯めよう。1日5000歩歩いたら500円貯金箱に入れる「歩数貯金」は、運動不足も解消できる一石二鳥の面白貯金。
貯まった小銭は銀行のATMで入金すれば手数料もかからない。キャッシュレスに対応した小銭貯金アプリ「finbee(フィンビー)」や「しらたま」もおすすめ。
⦅投資⦆5分アクション
【1】自分に合った投資の種類を知る
投資は“怖い”というイメージを抱いている読者も多いかもしれないが「それは大きな誤解」と、頼藤さんは断言。
「投資は『長期』『積立』『分散』という3つのポイントを押さえればお金を減らさずに増やしてくれる存在です。『長期』は、長い期間をかけて投資すること。長期の投資は元本が毎年数%増え続ける“複利効果”が得られます。2つ目は毎月一定の金額で金融商品を購入する『積立』。1回の買いつけは少額でも、毎月続ければ、まとまった金額になります。3つ目は運用する金融商品を『分散』させてリスクを散らし、トータルでお金を増やすことを目指します」
まずは、どんな投資が自分に合っているのか、情報収集から始めてみて。
■おすすめ1『つみたてNISA』
・「長期」「積立」「分散」「低コスト」「節税」とメリットがいろいろ!
近年注目を集めているつみたてNISAは、投資で得た利益を非課税にできる制度。
「つみたてNISAでは、投資で得られた利益が最大20年間非課税になります。ただし、年間の投資上限は40万円と制限があります。投資できる商品は国が厳しく定めた条件をクリアした低コストの投資信託のみ。投資信託なので、リスクも分散できます。積み立てたお金は必要なときにいつでも引き出せます」
金融機関にもよるが、100円から始められる手軽さも魅力のひとつ。
■おすすめ2『iDeCo』
・老後の資金を“強制的”に貯めながら高い節税効果が得られる
iDeCoは、預金・保険・投資信託から自分で金融商品を選び、毎月定額の掛け金を支払って運用する制度。運用成績次第で、60歳以降に受け取る金額が変わる私的年金だ。
「最大の特徴は『住民税控除』が受けられる点。年収500万円(所得税率10%)の人が月2万円を積み立てれば、年間24万円が控除されて所得税・住民税合わせて4万8000円節税できます。60歳まで引き出せませんが、確実に老後資金を貯められる制度といえます」
■おすすめ3『ポイント投資』
・買い物で貯まったポイントを運用すれば、おトクがいっぱい!
「Tポイントや楽天ポイント、Pontaポイントなど買い物で得られるポイントがあれば、ポイント投資が始められます。
投資する方法は、ポイントを現金に換えて株式や投資信託を購入する『現金購入型』と、株や投資信託の値動きに合わせてポイントが増減する『ポイント連動型』の2つ。現金購入型は証券口座の開設が必要です。元手は自分で貯めたポイントなので、初心者におすすめ」
使っていないポイントは投資で運用しよう。
●おトクも多いマイナンバーカードは9月末までに作っておこう!
現在、政府ではマイナンバーカードの普及を目的に「マイナポイント」キャンペーンを展開中。カードを受け取り、対象のキャッシュレスサービスでチャージや買い物をすると、利用金額の25%分(上限5000円)のポイントが付与される取り組み。期間が9月末まで延長されたので、今のうちに申請を。
株式会社Money&You代表取締役。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生命保険会社にて資産運用リスク管理に従事。2015年に起業し、現職。近著に『1日5分でお金持ち』(クロスメディア・パブリッシング)
●取材・文/大貫未来(清談社)●