「上皇ご夫妻は、4月10日に62回目の結婚記念日を迎えられました。コロナ禍になる以前は毎年、ご家族とともにお祝いの食事会が行われるのが恒例でしたが、今年も当然、開催できませんでした。両陛下や秋篠宮ご夫妻、お孫さんたちと会ってお話できる貴重な会を催せる見通しが立たず、つらいお気持ちでしょう」(皇室担当記者)
東京都港区にある『仙洞仮御所』に引っ越されてから約1年、“おこもり生活”を続けられている上皇ご夫妻。皇居よりも都会の喧騒を感じやすい環境を楽しまれつつ、お互いのことを気遣って支え合う毎日を送られているという。
「日課であるお庭の散策中に少し立ち止まって息を整えることはありますが、起床、食事、散策、就寝などの時間は規則正しく、特段お変わりなく過ごされています。新聞を丹念にお読みになって、国内外の状況について話し合ったり、大相撲が開催される際はおふたりで楽しそうにテレビ中継をご覧になっています」(上皇職関係者、以下同)
ご友人に相次ぐ訃報
交友関係が幅広い上皇ご夫妻だが、人と会えない日々が続く。そんな中、3月29日には美智子さまのご友人であるピアニストの遠山慶子さんが87歳で他界した。
「美智子さまは、遠山さんが亡くなった翌々日の31日にご自宅を弔問されました。短時間ではありましたが、通院以外で外出されるのは、昨年10月に明治神宮を参拝されて以来のことでした」
“極秘外出”された弔問には、美智子さまの強いお気持ちが反映されていた。
「趣味のピアノを通じて親しくなられた遠山さんとは、約20年前からご交流がありました。群馬県草津町で毎年行われる音楽会にもご一緒に参加されていたのですが、昨年はコロナ禍のため中止に。生前の面会はかないませんでしたが“どうしても、もう1度お会いしたい”と思われていたのでしょう」
弔問から数日後、美智子さまは同世代の親友と電話でお話をされている。絵本を通じて親しくなった、絵本の編集者の末盛千枝子さんだ。その際のことを末盛さんは、こう話す。
「はじめはお声が小さく、元気がないような印象を受けましたが、お話ししているうちにだんだんと元気になられていくように思いました。
直近でお亡くなりになった遠山慶子さんや、昨年末に逝去された画家の安野光雅さんのこともお話ししました。共通の親しい方々が旅立たれていくことについて、しかたのないことだとはわかりつつも、寂しいといったお気持ちをともにしました」
ご友人の旅立ちに傷心されている中、4月9日には、エリザベス女王の夫であるフィリップ殿下が逝去。英王室と皇室のゆかりは深く、’86年にフィリップ殿下が来日した際には上皇ご夫妻(当時皇太子ご夫妻)と3人で競馬を楽しまれるなど、いろいろな機会で関係性を築かれてきた。
「訃報を受けて、上皇ご夫妻と天皇陛下は12日に弔電を送られました。それだけではなく、13日には天皇・皇后両陛下が英国大使館に弔問使として侍従長を派遣されています。コロナ禍でできる、最大のご対応をされたことに感銘を受けました」
そう話すのは、英王室に詳しいジャーナリストの多賀幹子さん。フィリップ殿下の功績は偉大だという。
「絆を深めるきっかけとなったのは、’53年のエリザベス女王の戴冠式に、当時皇太子だった上皇さまが出席されたことです。戦後わずか8年で“敵国だった日本から昭和天皇の息子を迎える”ということに対し、英国内では一部から反発の声が上がりました。
しかし、フィリップ殿下は元軍人でありながらも反発の声を抑え、日本からの来賓を温かく迎え入れたのです。これが“和解”のきっかけとなりました」(多賀さん、以下同)
美智子さまとフィリップ殿下には共通点もあるという。
「おふたりは、ご結婚時に受けた批判の声を乗り越え、お相手の一途な愛情を信じて新しい王室像や皇室像を築かれてきました。お互いの努力に共感する部分も多かったでしょうし、美智子さまはフィリップ殿下のことを尊敬されてきたことでしょう。
それぞれ女王と天皇の配偶者ということで、ご一緒に馬車に乗られる機会もあり、その際の楽しげな表情からお察しする限り、たくさんのコミュニケーションをとられてきたのだと思います」
苦境に立たされる秋篠宮家を憂慮
“特別な存在”の相次ぐ訃報に心を痛めておられる美智子さまだが、苦境に立たされているご家族のことも常に気にかけておられるようだ。
「特に秋篠宮ご一家を気にされています。新聞広告をご覧になり、気になる見出しの週刊誌があれば取り寄せられることも。沈黙を貫かれていますが、結婚問題の渦中にいる長女の眞子さまのことは当然心配していらっしゃるでしょう」(宮内庁関係者、以下同)
現在行われている安定的な皇位継承策を検討する有識者会議では、『女性宮家』の創設が議題に挙がっている。結婚適齢期の次女・佳子さまは、議論の対象者だ。
「長男の悠仁さまに関しては、いずれ即位される方であり、高校や大学選びも含めた“帝王教育”の動向を注視されています。そして眞子さまの結婚問題の影響で家庭内にすきま風が吹くといわれる中でも、日々の仕事をこなしつつ、子どもたちに心血を注ぐ秋篠宮ご夫妻のご体調を心配されています」
前出の末盛さんは美智子さまとの電話で、ご家族を憂慮される胸中を酌み取っていた。
「美智子さまはご家族のお話はされません。上皇さまのことを心配するお気持ちもあるでしょうが、そういったことは語られることはなく、見守っていてほしいと思っておられるのだなと思いました」
“見守って……”というお気持ちには深い意味があると、前出の宮内庁関係者は語る。
「美智子さまは、家族のどなたかが苦しい状況におありのときは必ず“それは家族全体の苦しみ”だと捉え、皇室が抱える問題はすべてご自身の問題として向き合われています。“見守っていてほしい”というお気持ちは、上皇ご夫妻のみでなく皇室全体のことを伝えたかったのでしょう」
日本中が注目する問題に対し、当事者のごとく煩悶される美智子さま。ご心配の種は尽きない……。