ジャニーズ事務所の滝沢秀明副社長

「タキニ」という言葉が、このところ、一部ジャニーズファンの間で浸透しつつある。

 ジャニーズ事務所副社長でジャニーズアイランド社長の滝沢秀明氏。「タキニ」とはその「タッキー」こと滝沢氏の「オキニ(お気に入り)」とされるタレントを指すという。

「タッキーの若手の売り出し方に格差を感じるファンが一部にいて、お気に入りを優遇しているんじゃないかと感じることから生まれた言葉のようです」

 と、あるテレビ誌記者は言う。

「タキニ」の代表格はーー

 主に誰のことを指すのかというと、

「やはり自身が手がけてきた『滝沢歌舞伎』を継がせたSnow Manですね。そもそも昨年1月のCDデビュー自体、タッキーの強い意向だったとも言われています」(同記者)

 彼らがジャニー喜多川さんにデビューを直訴したが、「デビューは考えてない」と言われたのは有名な話。ジャニーさんは亡くなる数年前から、CDデビューという形式にこだわらず、Snow Manに関しては舞台をより完成度の高いエンターテイメントにするため、舞台中心の活動を希望していたという。

 しかしジャニーさんの死後、そんなSnow Manをデビューさせたのはタッキーだった。

「言うまでもなく、滝沢氏はジャニーズのトップアイドルでした。Jr.時代を経験してデビューしているわけですから、当然、その喜びを知っています。CDデビューすることで歌番組に呼ばれたり、露出が増えたことでドラマや映画の仕事も決まり、自信だってついていく。ジャニーさんの考えでもあった舞台を極めることも素晴らしいですが、滝沢氏はデビュー後の華やかさを知っているだけに、“CDデビューしているかどうかで、全然違う”と訴えたこともあるようです。その後、滝沢氏はメンバーを3名追加し、SixTONESとの同時デビューを実現させました」(芸能ジャーナリスト)

 それだけに、タッキーのSnow Manに対する思い入れは強く、最近では個々の露出も増えてきているため、「タキニ」と言われるのも無理はない。

グループ内で格差が生まれ軋轢も

 そしてもうひとり「タキニ」と呼ばれることに“納得”というタレントがいるという。

「A.B.C-Zの河合郁人さんがそうですね」

 とは、前出のテレビ誌記者。

(左から)Kis-My-Ft2・北山宏光とA.B.C-Z・河合郁人、五関晃一、橋本良亮

「キムタクや松潤などの『ジャニーズものまね』でお茶の間によく知られるようになりましたが、彼もかつて『滝沢歌舞伎』に重要な役で出演した経験などから、評価は高かったようです。現在はテレビで見かけない日はないような活躍ぶりです」

 その河合の活躍もまた、一部で軋轢を生んでいるとも言われる。

「A.B.C-Zのほかのメンバーとの扱いに大きな格差が生まれてしまった。メンバー内に不協和音が生じているという記事も出はじめてしまいました」(前出・テレビ誌記者)

 さらに、昨年彗星の如く登場したジャニーズJr.の新ユニット『IMPACTors』も、「タキニ」と言われているようだ。前出のテレビ誌記者は言う。

「グループの命名もタッキーのようです。そして今回の新作『滝沢歌舞伎ZERO』にも出演し活躍しています。Snow Manとセットで歌番組に出演してパフォーマンスするなど、やはり力を入れている雰囲気は漂っていますね」

 この「タキニ現象」について、前出の芸能ジャーナリストはこう語る。

「お気に入りのタレントやグループに思い入れが加わることは、ジャニーさんにもありました(笑)。なので、間近で学んできた滝沢氏が意識せず身についている部分はあるかもしれません。実際、デビュー前までSnow ManがJr.でダントツトップの人気だったわけではないけど、デビュー後は個々の活躍にCDの売り上げも伸ばしています。A.B.C-Zも、CD売り上げなどずっと苦戦が続いていますが、河合くんの知名度アップのおかげで知れわたるようになりました。“タキニ”という意味不明な呼ばれ方をしたとしても、売れれば勝ちの世界では、正解だったといっていいのではないでしょうか」

 もちろん、タッキーとしては副社長という立場から、事務所全体を俯瞰して見ていると思う。しかし「タキニ」という、やっかみ混じりの言葉が生まれるということは、不公平を感じるファンがいるということ。人気を出すための売り出しはとても重要だが、今後は「ゴリ押し」と感じられないような「うまさ」も重要だ。

〈取材・文/渋谷恭太郎〉