昨年1月に俳優・東出昌大(33)との3年におよぶ不倫が発覚した後、女優業の休止を余儀なくされている唐田えりか(23)。彼女が復帰できるかどうかに関心が集まり続けている。
結論から言うと、唐田が望む限り、復帰するのは間違いない。ドラマ界、映画界からのニーズがあるかどうかは別だ。このまま復帰できないと所属芸能プロダクション「フラーム」の威信に関わるという事情がある。
所属事務所には売れっ子がズラリ
「犯罪に関係せず、さらに日ごろの指示に従っている限り、所属芸能プロは配下のタレントを守る。仕事を探す。そうしないと、その芸能プロの力量が疑われてしまい、ひいては地盤低下につながりかねない」(芸能プロ社員)
もしものときに守ってくれない、救ってくれない芸能プロに喜んで所属するタレントはいないということだ。
逆にどの芸能プロも反旗を翻したタレントには冷たい。そうしないと、ほかの所属タレントの帰属意識まで損なわれてしまうからである。
フラームに力がなかったら、いくら唐田を復帰させたくてもそれは難しいが、同社には力も十二分にある。ほかに所属しているのは広末涼子(40)、有村架純(28)、戸田恵梨香(32)、吉瀬美智子(46)、田中みな実(34)ら。これほど売れっ子の女優を抱えている芸能プロはそうない。
売れっ子が多数いると、当然ながらドラマ界、映画界への発言力も強い。その気になったら、すぐにでも唐田のキャスティングを実現することが可能だろう。
だが、フラームがそれをやらないのは、いまだ唐田への世間の反発が強く、時期尚早と考えているからにほかならない。
「フラームの社長のIさんは温厚で人当たりがよく、いかにも女優と接するのが得意そうだが、頭は抜群に切れる。その才覚で自分が興した会社を大きくした」(同・芸能プロ社員)
同社の設立は1998年。新しい会社だ。当初は広末しかいなかったが、Iさんとその右腕で芸能界に顔が広いAさんの力量によって、たちまち芸能界の一大勢力となった。
広末の事例に見る“成功例”
唐田の活動再開の場に、月刊カメラ雑誌『日本カメラ』を選び、フォトエッセイを連載させたことも芸能界内では「うまい方法」と評判だった。連載は不倫発覚から1年弱が過ぎた昨年12月発売の今年1月号から始まった。
「唐田が全く活動しなかったら、過去の人になってしまい、復帰が難しくなる。かといって多くの人の目に触れる一般雑誌での連載は強い反発も考えられた」(同・芸能プロ社員)
さじ加減が絶妙だったというわけだ。この連載は、同志の休刊によって4月20日発売の5月号で終わってしまったが、復帰に向けて緩やかな動きが続いていることに変わりはない。
そもそもスキャンダルを起こした俳優と女優が復帰しやすい時代なのだ。地上波のGP帯(午後7時~同11時)のドラマと大手資本系映画しかなかった時代とは違う。
今は地上波の深夜ドラマが14本もある。そのスポンサーの大半は社名が読み上げられない各社提供なので、イメージより視聴率を気にする。
ネットフリックスなどの配信動画もある。こちらはスポンサーが存在しないので、出演者のイメージはさほど重視されていない。同じく、やはりスポンサー抜きで運営しているBSのWOWOWやCS各局もある。俳優と女優を取り巻く状況は激変した。
とはいえ、いくら復帰しやすくなったとはいえ、タイミングを見誤ったら火だるまになる。唐田の場合も復帰は間違いないが、世間の空気を読んでいる段階というのが実情と言える。
復帰すると断言できる理由はほかにもある。フラームのトラブルシューティング能力は抜群だからである。
例えば同社の第1号女優である広末は何度もマスコミや世間から叩かれた。1999年、早稲田大教育学部国語国文学科に入学するも3か月通学しないと「なぜ大学に行かない」と言われた。
2003年に結婚したモデルでデザイナーのO氏と08年に離婚すると、やはりスキャンダラスに報じられた。07年、『FRIDAY』に「朝帰り&無賃乗車の大奇行」とという記事が出たこともある。
並みの女優と芸能プロだったら、潰れてしまったかもしれない。だが、広末はずっとドラマと映画に出演し、今もドラマ『桜の塔』(テレビ朝日)に準主演級で登場している。広末自身に魅力があるからだろうが、フラームの力も見逃せない。
唐田の場合、次はスポーツ紙での連載も考えられる。『日本カメラ』の連載をスポーツ紙に移行する形である。フラームと複数のスポーツ紙の関係が極めて良好だからだ。IさんとAさんは幅広い人脈を誇る。
最後になってしまったが、唐田の女優としての実力はというと、「このまま埋もれたらもったいない」(同・芸能プロ社員)。2019年の『凪のお暇』(TBS)での市川円役は複雑な演技がなかったが、ヒロイン・三輪美苑を務めた映画『覚悟はいいかそこの女子。』(2018年)では感情表現のうまさが際立っていた。
今さらながら、これからという時期だった。どうして不倫などに走ってしまったのか。
高堀冬彦(放送コラムニスト、ジャーナリスト)
1964年、茨城県生まれ。スポーツニッポン新聞社文化部記者(放送担当)、「サンデー毎日」(毎日新聞出版社)編集次長などを経て2019年に独立