氷川きよし 撮影/廣瀬靖士

 初夏の風が心地いい、とある日。スタジオに姿を現した氷川は「何でも聞いてください!」とニッコリ。週刊女性3月30日号で募った“氷川きよしさんに聞きたいこと”にバンバン答えてもらいました。気になる近況、素朴な疑問、幼少期……その心の機微に迫ります!

Private

Q 最近、楽しかったことは?

「4月の頭に従姉の子(従姪)が九州から遊びに来てくれたんですよ。19歳と23歳。自分がちょうどデビューしたときくらいの年齢で。なんか自分の娘みたいな感覚なんですよね(笑)。2人にカバンを買ってあげたくて、一緒に買い物に行きました。でもコロナ禍なので1店舗だけに絞って。店員さんと盛り上がりながら選んで、もう大喜び!! やっぱり、若い子はパワーがみなぎってていいですよね(笑)」

Q 最近買ったものの中で、よかったものは?

「湘南ゴールドっていう、今の時季しかとれない柑橘があるんですけど、テレビで特集されたみたいで。ネット検索してみたら売ってたので、箱買いしました」

 湘南ゴールドは、神奈川県が12年をかけて開発したというオレンジ。見た目はレモン色で、上品な甘さと華やかな香りが特徴。“幻のオレンジ”とも。

「すっごくおいしくて!! 毎日搾って、ジュースにして飲んでいます。ギュッて搾るのに手が痛くなるんですよね(笑)。ビタミンCの摂取はバッチリです!!」

氷川きよし 撮影/廣瀬靖士

Singer

Q メイクは自分でしてるんですか? それともプロが?

「PV撮影のときはコンセプトに合わせてメイクさんにやってもらってますが、基本は自分。今日みたいな取材のときやコンサートのときとかは、自分で」

 それはびっくり!! いつから自分で?

「3年くらい前からかな? 最初のころは慣れなかったけど、自分で眉毛を描くようになって。細眉が、だんだん太眉になっていきましたね」

Q これからもロックは歌いますか?

「そうですね。この間、友達と久しぶりに電話で話したら“ロックは続けてほしい。やっぱりカッコいいから”って。そういう見方をしている人もいるんだ、と改めて思いました。だから続けていきたい。とはいえ“これでなきゃいけない!!”って自分を型に押し込めると窮屈になっちゃうから(笑)、その時その時に縁がある作品を、その時代に合わせて歌っていきたいな」

Q 最近は“kii”“kii-na”として発信することが多いですけど、コンサートでのコールは今までどおり“き・よ・し”でいいですか?

「なるほど。それぞれの見方でいいんじゃないですか? 自分はこうやって発信してるけど、それぞれの見方は違いますよね。例えば、写真を見たときにも“きよし君に見える”っていう人もいれば、“kii-naに見える”っていう人もいると思う。だから、それぞれの自由でいいです。kiiがnatural=kii-naに見える人は“キ・イ・ナ”でいいし、kiiちゃんに見える人は“キ・イ・ちゃん”でいいと思います

Childhood

Q きよしくんと博多華丸さんは同じ中学出身だとか?

「はい!! 華丸さんは福岡市立高宮中学の先輩です。デビュー間もないころ、22〜23歳のころかな? 博多華丸・大吉さんと『f45』(NHK福岡)という番組を一緒にやらせていただきました。すごく大変でしたね。漫才とかできなかったから、顔がひきつっていたと思う(笑)。そんな中でも、博多華丸・大吉さんはすごくやさしくて。今、ものすごい人気ですよね!!」

 さらにはタモリ、高橋真梨子、森口博子も同じ中学校の出身だという。豪華すぎるメンバーにおったまげ!!(※高橋真梨子の高は、正しくはハシゴ高)

「以前、華丸さんに誘われて、タモリさんのお宅に伺ったことがあるんです。森口さん、高橋さんとともに。高宮中学の会、みたいな感じで。タモリさんの家で1日中ゴロゴロして(笑)。タモリさんがウイスキーやブランデーを出してくださって“横になってごらんよ”と言ってくれて。ありがたくカーペットの上で横になり、ただただゴローッとして(笑)。何とも言えない癒しの時間を過ごしました。タモリさんは、本当にやさしいです」

Q おばあさんと食べたびわの種から実がなった話は本当ですか?

「これは……ちょっと違いますね。祖母とは一緒に暮らしていなかったので。子どものころ住んでいたアパートの、上の階の人が食べたびわの種を共有スペースの庭に植えたみたいなんです。その木が大きくなっていて、初夏には実がつくように。もちろん、食べました(笑)。子どものころは、よくその木に登って遊んでましたね。懐かし〜!!

Q 子どものときに好きだった芸能人は? その人とは会えましたか?

「子どものころ好きだった人は、やっぱり松田聖子さん。母が好きだったから、同じ番組を見ているうちに自然と好きになりました。あのキラキラ感と純粋な感じが、もう夢の世界っていうか」

 3年前の『NHK紅白歌合戦』で初めて会ったという。

「“5歳のとき、コンサート行きました”とお話ししたら“本当に? ありがとう。今度一緒にお仕事しようね”って言ってくださって。すごくうれしかったです」

 中学生になると、同じ中学出身の森口博子のファンに。高校に入って演歌と出合い、鳥羽一郎を好きになったという変遷が。

Q きよしくんが初めて自分で買ったレコードは?

「レコードじゃなくてCDですけど(笑)、たまの『さよなら人類』。中2のときかな? CDショップに買いに行きましたね。中学の修学旅行で長崎に行ったときに、みんなでこの曲を歌ったのを覚えています」

氷川きよし 撮影/廣瀬靖士

Cooking

Q オススメの“酒のアテ”があったら教えてください!

「明太しりしり!! にんじんしりしりに明太子を入れたバージョンですね。千切りにしたにんじんと明太子をごま油で炒めるだけ。これはおいしいですよ!! 酒の肴にもいいし、毎日でも食べられますよ」

If

Q 最後の晩餐で食べたいものは?

「何かなぁ? やっぱりとんこつラーメンですかね。もしくは、ごぼう天うどん。明太子をのっけたご飯もいいなぁ。やっぱり、ふるさとの味で締めたいなと思いますね」

Feeling

Q 男女を問わず、どういう人間が好きですか?

やっぱり誠実で、礼儀正しくて、人の恩や人情、人の心がわかる人。そういう人を好きになります。自分が惹かれる人はやっぱり心なんだな、と思います」

氷川きよし 撮影/廣瀬靖士

Future

Q 将来の夢は?

「歌手としての夢は、やっぱりいい曲に出合うこと。歌い手の命って、やっぱり歌だから。本当に、作品によって人生が変わる。何より“氷川きよし”じゃないと伝えられない歌って、必ずあると思うので。そういう歌を歌っていきたいですね。

 そして、公私ともに幸せになることが大事!! 電車でも何でも、両輪がなければ動けないし、傾いちゃう。そうならないように、40歳を過ぎたら公私ともに幸せになるような時間を自分でつくっていかないといけないなと思いますね」

『氷川きよし劇場コンサートツアー2021』開催!

 4都市を巡る、かつてない劇場ツアー。氷川の原点である演歌を中心に、豪華絢爛なステージをお届け!!
https://www.nagarapro.co.jp/top/artist/concert.php?id=1

★新歌舞伎座(大阪)……6月29日(火)・30日(水)
★博多座(福岡)……7月6日(火)・7日(水)
★明治座(東京)……7月19日(月)〜21日(水)
★御園座(名古屋)……7月24日(土)・25日(日)

ココアちゃんへの思い−−
「いちばんいい日だったんだと思います」

「プライベートを含め、ずっと彼が味方でした」

 2月16日、愛犬・ココアちゃん(ミニチュアダックスフント・♂)が15年の生涯を終え、旅立った。

「やっぱり家族だったから。子どものようでもあり、親のようでもあり。泣きながら話を聞いてもらったこともあります。本人、なんのこっちゃわからなかったかもしれないですけど(笑)。15年の間、とにかく愛しかくれなかった。愛のかたまりでしたね」

 ココアちゃんは、目が見えないというハンディを抱えていたが、生後まもなく氷川家に温かく迎えられた。

「すごく小さかったのに、だんだん大きくなっていって、受け入れてくれて、信頼してくれて、我慢してくれて……。なんか、自分の都合に合わせて生きてもらってたから、すごく感謝してます。15年間の時間は、楽しい思い出ばかり。本当に最高の思い出。ハンディがあるから“守ってあげないといけない”と思っていたから、なお可愛いくて。本当にココアのことを愛してます

 現在はミルクちゃん(同♂・9歳)、ラテちゃん(同♂・1歳)の2匹がそばにいるが、

「“ココアたちがいなかったら、どうしていただろう?”と、ふと考えますね。きっと、寂しくて毎日のように外に飲みに行っていただろうな(笑)。あの子たちがいるから、早く家に帰ろうという気持ちになる。自分にとっては本当に大切な家族。お話しはできないけど、気持ちは伝わる家族なんです」

心臓が止まっていくのがわかった

 ココアちゃんの心臓に腫瘍が見つかったのは、昨年12月。

「いわゆるがんです。深夜に発作を起こし、救急病院に何度も連れていきました」

 そんな大変な状況の中で『NHK紅白歌合戦』の準備をしていたという。

氷川きよし 撮影/廣瀬靖士

「最期の日、2月16日は午前中に病院へ。調子がよさそうで、帰宅後にはごはんも食べて。だけどその後、ココアの動きがパニック状態のようになって……悟りました。自分の胸に抱きしめて“ココア、15年間ありがとうね”“ずっとこれから一緒にいるからね”って耳元で」

 ゆっくりと心臓が止まっていくのがわかったと、苦しそうに話す。

「でも、自分の胸の中で送ってあげることができた。やっぱり病院とかで死なせたくなかったから……。その日は、コンサートツアーの10日前。自分が自宅にいる休みの日に息を引き取ったことにも、ココアのすごさを感じています。本当につらいけど、いちばんいい日だったんだと思います」

 最後の最後まで親孝行だったココアちゃん。積み重なった思い出と、ふたりの絆は永遠――。

スタイリング/伊藤典子(hoop) ヘアメイク/遠山雄也(RELAXX)