中国のブロマンスドラマ『陳情令』は日本でも話題になった(公式サイトより)

 約14億人を抱えるおとなりの巨大国家では、今、起きていることもスゴかった! 常にトンデモな話題を提供し続ける中国の最新版“ありえない”ニュースを、ピックアップしてお届け!

近年注目を浴びているアジアのBLドラマ

 タイ、韓国など、BLドラマがアジアを席巻中! 中国も多分に漏れず、グッとくるドラマが量産されていると、腐女子やゲイたちの熱い視線を集めている。

「中国では同性愛描写に規制があるため、BL色をあまり強めることができません。そのため、『男同士の熱すぎる友情』を描いたブロマンスドラマが作られています。最近では2019年に放映された中国時代劇もののブロマンスドラマ『陳情令』や『山河令』が大ヒット。日本でも話題になりました。凛々しくて美しい男たちが、ほとばしる愛情のような友情をぶつけ合う姿がたまりません!」(海外ドラマに詳しい編集者)

 中国は、春宮画(いわゆる春画)でも描かれているように、かつては同性愛はアブノーマルな性癖ではなかった。だが文化革命後、中国共産党政権は1997年まで、同性愛者を犯罪者扱いしていた。その流れもあり、前述のとおり中国は今でもLGBTへの風当たりが強く、2018年には女性のBL小説家が違法出版をしたとして逮捕され、なんと10年半の懲役が求刑された。

中国は今でもLGBTへの風当たりが強い(画像はイメージです)

 そのうえここにきて、ブロマンスドラマのPRやファンの熱狂ぶりに共産党系メディアの光明日報が公式に苦言を述べるという事態に。その結果、ブロマンスドラマが次々放映延期、お蔵入りになってしまったという。このままではあからさまな規制が入ることも大いに考えられ、普通のドラマとして楽しんでいた中国全土はもちろん、アジア中の熱狂的ファンが嘆き悲しんでいるという。

 筆者は雲南省の温泉の浴室の隅で、いちゃつくゲイカップルを目撃したことがある。公共の場でそこまで露骨にイチャイチャしないでほしいのだが、性自認や好きな人を決めるのは個人であって、ほかの誰かではない。中国政府は器の小さいことをするのはやめたほうがいいのでは?

レポート・解説……関上武司(せきがみ・たけし)さん●1977年、愛知県生まれ。愛知大学経営学部卒。中国で留学や駐在員としての勤務経験あり。中国遊園地の取材で中国の全省、全自治区、全直轄市を訪問。『中国遊園地大図鑑』(パブリブ刊)シリーズを執筆し、各メディアで話題。