中国の衛生概念についてはまだまだ改善の余地がある(画像はイメージです)

 約14億人を抱えるおとなりの巨大国家では、今、起きていることもスゴかった! 常にトンデモな話題を提供し続ける中国の最新版“ありえない”ニュースを、ピックアップしてお届け!

経済発展の影で置いてきぼりの衛生状態

 現在の中国は世界で第2位の経済大国ということもあり、高速鉄道網や大都市の地下鉄の拡充、技術の発展には驚かされることも多い。しかし、以前よりは向上が見られるものの、衛生概念についてはまだまだ改善の余地がある。筆者の体験で述べると、近未来のようなショッピングモールが乱立する一方で、まれではあるが都会の飲食店内を従業員のペットの犬が走り回っていたり、田舎ではゴミ処理がデタラメだったりするので、別の意味で驚かされる。

 4月6日、上海市に住む臨月の妊婦・厳(イエン)さんは、中国の大企業・アリババが運営するスーパー「盒馬鮮生(フーマーフレッシュ)」で販売されている食パンをアプリで購入。届いたその日に箱を開けると、なんと中からネズミが飛び出したのだとか! しかも、箱の中はネズミの糞だらけだった……。

 厳さんが購入先へ連絡したところ、担当者は謝罪し、商品価格の10倍の値段で賠償を提案。それに対して厳さんは「千倍でも万倍でも納得できないわ! ネズミによって汚染された食べ物を私のような妊婦や小さい子どもが食べたらどうするの?」と反論。国の監督管理局による生産ラインの徹底的な調査と結果の公表を要求し、スーパー側も調査に応じた。

日本ほどゴミの分別はされず、都市近くの山に積み上げられていることも

 中国のSNSでは、このネズミ混入騒動について「自分だったら一生、食パンが食べられなくなる」「この食パンを週1回は購入しているので、吐きそう」「気絶&トラウマものだ」といった同情的なコメントや、「ネズミがどうやって食パンの包装の中に入ったのか? そのほうが知りたい」と懐疑的な見解など、さまざまな意見が飛び交っているという。

 なお、問題となった食パンの商品名は「幸運生吐司(ラッキートースト)」。厳さんや家族が食べずに健康被害がなかったのは不幸中の幸いなのかもしれない!?

 監督管理局によると、幸運生吐司の生産ラインにネズミはもちろん、虫のような異物が混入する問題は見当たらず、倉庫やスーパーからの配送、消費者の家庭環境に問題があるのでは? という調査結果だ。

 野菜などの食料品を中国から多く輸入している日本。食の安全には世界でもトップクラスの注意を払っているが、お隣がこのような状況ではなかなか安心はできない。

レポート・解説……関上武司(せきがみ・たけし)さん●1977年、愛知県生まれ。愛知大学経営学部卒。中国で留学や駐在員としての勤務経験あり。中国遊園地の取材で中国の全省、全自治区、全直轄市を訪問。『中国遊園地大図鑑』(パブリブ刊)シリーズを執筆し、各メディアで話題。