実年齢より若く見られることが多い芸能人。一般人とは何が違う? 過去の彼らのインタビューなどからアンチエイジングの専門家でイメージコンサルタント・一色由美子さんが“美魔女、美魔男”のヒミツに迫る!
【黒木瞳】高麗人参茶とタップダンス
《美容法として続けているのは、高麗人参茶を飲むこと。スポーツはあまりやらないのですが、タップダンスは続けています。「ヒールアップ」効果で足が細くなります。タップをやると腸腰筋が鍛えられるんです。いくつになっても元気に歩ける》(WEBサイト『ヘルチェック』内のインタビューにて)
「高麗人参茶は身体に合うのであれば効果的だと思います。不定愁訴である更年期障害に漢方を出すクリニックも増えましたし、ドラッグストアでも購入できます。ただ、漢方薬やサプリメントなど何か新しいものを取り入れる際は、“いつから摂取し始めたのか”“どういう身体の変化があったのか”といったことを記録しておくことが大事です」(一色さん、以下同)
例えば、1か月後に身体の調子がよくなったと感じる人もいれば、逆に身体が重く感じるようになったという人も─。
「その際、記録をつけていれば何を機に身体に変化が生じたのか、自分自身の中で考えることができます。原因がわからないまま、身体に変化が生じるのはいいこととはいえません」
タップダンスに関しては向き不向きもあるだろう。だが、
「足を使う運動はとても大事なこと。足の筋肉は、血液を心臓に送って全身に血流を張り巡らせるポンプのような役割をしています。足の運動を続けることで、結果的に血流をよくすることにつながり、栄養や酸素を全身に送り届けるため、アンチエイジング効果としても効果大です。血行不良による抜け毛にも改善が期待できます。
“黒木さんがやっているから”とタップダンスをまねしなくてもよく、ウォーキングでも構わないので、ご自身が楽しくできる足の運動を取り入れるようにしてください」
【中井貴一】自炊で肉とサラダを中心に
《家では、お肉などのたんぱく質とサラダを中心に食べています。僕にとって一番大事なのは、心からおいしいと思って食べること。自分が作った料理でも、いかに「おいしいなぁ~!」と思って食べられるか。そういった“贅沢な心”を持つことが大切だと思いますね》(健康情報サイト『元気web』のインタビューより)
「野菜はビタミンやミネラルが補給できる優秀な食材です。ただし、野菜だけでは栄養不足になってしまいます。三大栄養素である『炭水化物』『タンパク質』『脂質』と結びついてはじめて、お互いが上手に働き、栄養になりますから、サラダに加えお肉を中心としたタンパク質を摂取しているのは理にかなっています」
若い女性の中には、“サラダしか食べない”といったケースも散見されるが、タンパク質を摂取しないとサラダのよさが生きてこない。栄養不足で、むしろ老けやすくなってしまうし、太りやすくもなってしまうという。
「また、特に男性にいえることですが、タンパク質を摂取しないと筋肉が落ちてしまいます。中井さんはしっかりとした身体つきで、髪の毛の質感も黒々しい。きちんとバランスを考え、タンパク質をとっているからこそ若々しいルックスを維持できているのだと思います。
私が個人的に素晴らしいと感じたのは、“心からおいしいと思って食べる”こと。多くの方が、美肌になりたい、若々しくなりたい、といったアンチエイジングを目的に、本当は食べたくないものを無理して食べるケースが目立ちます。テレビで身体にいいと言っていた、〇〇さんが取り入れているからではなく、自分自身が“おいしい”と感じられるような取り入れ方こそ大事です。五感である味覚を鍛えて味わって食べているからこそ、中井さんの若々しさの秘訣につながっているのではないかと思います」
【田原俊彦】起きがけに1杯の水
《健康法といえば、朝起きたときに必ずコップ1杯のミネラルウォーターを飲むことぐらいかな。それからおもむろにコーヒーを淹れる。水を飲んでからカフェオレという習慣はもう20年ぐらい続けている》(雑誌『Number Do』のインタビューにて)
「寝ている間に、人間は気がつかないうちにコップ1杯分以上の汗をかいているので、朝は脱水している状態になります。そのため、起きがけにコップ1杯の水を飲むというのはとても大事です」
とは一色さん。水を飲むことで、身体が目覚め、代謝も上がり、美肌やデトックス効果にもなるという。
「ミネラルウォーターがない場合は、水道水でも大丈夫です。ただ、冷え症の方は冷たいお水だと身体を冷やしてしまうので、夏であっても常温や白湯のほうがいいかもしれません。ゆっくりと意識するように飲むと胃腸にもよい効果をもたらします」
コーヒーを飲む際に留意してほしいのは、胃腸が弱い方はなるべく空腹時に摂取するのは控えたほうがいいということ。
「コーヒーは、ポリフェノールの抗酸化作用も含まれるためアンチエイジングにはいい一方で、苦味成分が胃酸の生成を刺激してしまう可能性があります。コーヒーを飲むことによって、胃もたれするとか気持ち悪くなるのは胃酸過多になっている可能性が高いからなんですね」
そういった状態で朝食をとると食べ物をおいしく感じないどころか、胃腸を整えるために余計に栄養を使うためアンチエイジングには逆効果。
「胃腸の調子がよくないと感じるようであれば、起きがけの空腹時にコーヒーを飲むことは控えたほうがいいでしょう。もし飲むにしても、何か食べ物を口に入れてから飲むことをおすすめします」
【浅野温子】“朝にトマト”で調子
《朝にトマトを食べている。朝は水分があるものがいいじゃないですか。何となく続けてたら調子いいなと思って。私、ちゃんと3食食べられない人なんですよ。こういうものを入れてると体調をみんなに合わせられやすかったりとか、自分でもちょっと集中したいなってときはあんまり胃に入れない》(TBS系『はなまるマーケット』にて)
「トマトは、強い抗酸化作用のあるリコピンを多分に含み、身体の調子を整えるアンチエイジングに最適の食べ物。リコピンの吸収率が最もいいのは朝といわれています。朝にトマトを摂取する浅野さんの健康法は理想的ですね。トマトそのものではなくトマトジュースでも同様の効果があるのでおすすめ」
浅野が“ちゃんと3食食べられない”と語っているように、規則正しく食事をとれない人も多いだろう。中には、あえて1日1食という人もいるだろう。しかし、
「栄養が足りていない状態で1日1食を取り入れるのは控えたほうが賢明だと思います。空腹状態を長くすると長寿遺伝子であるサーチュイン遺伝子が働き、細胞を若返らせる説もあるのですが、これは合う、合わないもあり体質によると思います。また、1食で十分な栄養がとれるのかという問題もあります」
合わない人は、少量でもいいので、栄養価の高いものを多く取り入れるほうがいい。
「例えば、お味噌汁。塩分をとりすぎるため血圧が上がってしまうのではないかといわれますが、ビタミン、ミネラルが豊富で、アミノ酸も10種類以上含む抗酸化作用の高い食べ物です。忙しい方は、インスタントのお味噌汁でも大丈夫。わかめやネギなどご自宅にあるものを入れて召し上がってもいいですね」
【浅野ゆう子】歯のかみ合わせでシワ予防
《季節の有機野菜や果物を20種類ほど入れ、豆乳、はちみつ、甘酒などをミキサーにかけて作るスムージーを毎朝飲んでいます。たてジワが出やすい口元のため、歯のかみ合わせを整えることが大事なので、歯医者さんにマメに通っています》(雑誌『クロワッサン』より)
「先述したとおり、野菜だけではなく、タンパク質を含む豆乳を加えることで、きちんと栄養をとることにつながっています。また、大豆のイソフラボンは、女性ホルモン『エストロゲン』(卵胞ホルモン)に似た働きをし、女性の美しさや若々しさを手助けしてくれます」
歯並びもとても重要で、アンチエイジングのために歯を意識するのは大正解という。
「年を重ねてくると歯は、前に動いてしまいます。すると、歯間が開き、かみ合わせが悪くなり、かまずに食べてしまうため太りやすくなってしまう。顔のゆがみの一因にもなって、シワにもなりやすいんです。
また、歯周病は、歯ぐきの炎症や虫歯の原因になるだけではなく、全身的な慢性疾患の原因となることもわかっています。かむ力は認知症予防としても非常に有効といわれていますから、歯のかみ合わせを意識することは、とても大切なことだと思います」
【美保純】家の中でもヒールを履いて
《おでんの昆布だけを食べて体重を減らす、昆布ダイエットを定番にしていた。自宅では同じ椅子やソファーに座らないようにし、家の中でヒールを履いたりする》(雑誌『クロワッサン』、TBS系『水トク! ~あの日に帰りたい8~』などより)
「いまも昆布ダイエットを続けているのだとしたら、あまりオススメはできません。昆布にはヨウ素が含まれています。甲状腺のホルモンを作るために必要不可欠なものである一方、過剰にとると、逆に甲状腺ホルモンが作られなくなり、甲状腺機能低下症になる可能性があります」
女性の場合、甲状腺は女性ホルモンを司る部分。その機能が低下する可能性を高める昆布を毎日摂取するようなダイエットは控えたほうがいい、と一色さん。間違っても“昆布だけ”というのは避けるべきだという。
「反面、家でヒールを履くという意識はとても素晴らしいことだと思います。先ほど説明したように足の運動にもなりますし、背筋も伸びますよね。何より美意識を持つことで気持ちが上向きになります。“同じ椅子やソファに座らない”というのも、部屋の中であっても動くことを意識しているのだとしたら、いいことだと思います」
【哀川翔】野菜で食べすぎをブロック
《妻・公美さんが徹底管理し、食事前に必ずキャベツとブロッコリーを食べ、ご飯の量は125g。夕食後はドライフルーツと一緒にヨーグルトを。ただし、妻のいない外出先ではドカ食いをすることも》(TBS系『名医のTHE太鼓判!』より)
「哀川さんはキャベツやブロッコリーである程度お腹を満たして、食べすぎを防いでいるのではないかと思います。たしかに、キャベツはかさ増しの食材としては最適ですし、ブロッコリーもスルフォラファンをはじめ約200種類ものファイトケミカルが含まれています。ファイトケミカルは、体内の老廃物や有毒物質を解毒するなど抗酸化作用を持つ食材ですから、栄養価の高い野菜でお腹を膨らますというのはとても効果的だと思います」
何かを食べる際に、あらかじめ野菜を摂取する──。例えば、ラーメンを食べる前に、野菜ジュースを飲むだけで、まったく栄養のバランスは変わってくる。
「野菜を摂取することで、カロリーの高いラーメンを食べる罪悪感も減るので、一石二鳥です(笑)。ただし、小食の方がダイエットとしてキャベツやブロッコリーでお腹を満腹にすることは控えてください。野菜を食べたことによって満足感が生まれ、本来とらなければいけないほかの栄養価をとらずに食事を終えてしまうため、逆効果になってしまいます」
夕食後のヨーグルトもいい作用をもたらしている。
「ヨーグルトの乳酸菌、食物繊維を含むドライフルーツの組み合わせは、腸内環境を整える意味では効果的。腸内環境がよくなれば免疫力もアップするのでアンチエイジング的にもいいと思います。
個人的には、ヨーグルトの中に一緒に入れるのであればバナナがオススメです。朝昼晩にきちんとタンパク質がとれていると筋肉が落ちづらくなります。特に、朝はお肉やお魚を食べる時間がなかったり、食欲のない方が多いと思うので、ヨーグルトバナナを活用するといいと思います」
(取材・文/我妻アヅ子)