身の毛もよだつ、医大生のヘンタイ行為が発覚した。
福岡県警久留米署は、久留米大学医学部の元学生、阪上翔伍被告(37歳・住居侵入罪などで公判中)を逮捕・送検したと5月10日に発表した。
被告人は、部屋の鍵に記された製造番号を使って合鍵を作り、女性宅への侵入や下着泥棒を繰り返していた。
計164件の住居に侵入し下着を窃盗
手口はこうだ。
「阪上被告は大学のサークルや実習中などに女子学生の鍵の製造番号をこっそり盗み見。その番号を使ってインターネットで合鍵を注文し、自宅に侵入した。
自宅の場所は本人や知人との会話から大まかな場所を聞き出し、周辺で一軒一軒、鍵穴がはまる場所を探して割り出した」(捜査関係者)
そもそも、他人の家の合鍵を勝手に作れるものなのか。
鍵取扱業者の業界団体である『日本ロックセキュリティ協同組合』によると、
「ほとんどの鍵は刻印された製造番号がわかれば、ネットで注文して誰でも勝手に合鍵を作れます。人に渡したり、見せたりしないよう注意してほしい」
犯行理由について「女性の家に入って、普段見られない世界を見たかった」などと供述していた阪上被告。
自宅へ侵入する際はノックをして、中に人がいないか確認。ところが今年1月26日、マンションの一室に侵入した際に、住人である同級生の女子学生と鉢合わせとなり、そのまま住居侵入の疑いで逮捕された。
その後の調べで、被告人は同じ学部の女子学生らが住むマンションなどで計164件の住居侵入を繰り返し、女性の下着など計51点(約4万円相当)を盗んでいたことが明るみになった。
女性からすればあまりに気持ち悪い話だが、犯行に及んでいた被告人はいったい、どんな人物なのか。
夢を諦めた経験から医療を志す
福岡県で生まれ育った阪上被告は、高校を出た後、1浪して九州大学に進学した。卒業後はパイロットを志して航空関係の学校に進んだ。
念願の航空会社に入社するものの、パイロット資格の取得には視力や健康面など厳しい審査がある中で、身体面の問題が見つかり、パイロットになる道は絶たれた。
具体的にどんな問題があったのかは不明だが、自身の身体の異常で夢を諦めた経験から同じ境遇の人に思いを馳せるようになり、医療を志すようになったという。
2014年、航空会社を退職し、実家に戻って医学部受験のため勉強を開始。紆余曲折を経て、2016年4月に久留米大学医学部に入学した。このときすでにヘンタイ行為に手を染めていたようだ。
前出の捜査関係者によると、
「初めに住居侵入を行ったと確認されているのは、2015年の9月。狙ったのは、被告人の近所に住んでいた当時14歳の女子中学生が住む家でした。
この家では自宅の鍵を家のポストに入れて出かける習慣があり、それを知っていた被告人はこっそり鍵を持ち出し、鍵店で合鍵を複製。度々、勝手口から中へ侵入していました」(同・捜査関係者、以下同)
同じ家に何度も忍び込んでは、毎回のように下着を盗み出した。気づかれないよう、一度に持ち去る下着の数は1~2点に抑えるよう工夫した。パンティーとブラジャーが一対の場合は、必ずセットで持ち去る徹底ぶり。
女性の部屋に入り込む“快感”を覚えた被告人の犯行はさらにエスカレートしていく。
「その後、医学部に進学した被告人は、製造番号がわかれば、現物が手元になくても他人の鍵を複製できるとネットで知ったようです」
女性の部屋では下着を物色する際に記念の動画撮影をしていただけでなく、下着のほか、使用ずみ生理用品まで盗んでいたからおぞましい。
「盗んだ下着は一点一点、保存袋に保管し、丁寧に持ち主の名前まで記名していました。金銭の被害は確認されておらず、今回、鉢合わせするまで気づかれなかった」
公判で被告人は「間違いありません」
逮捕後、3月には久留米大学医学部を強制退学処分となっていた被告人だが、同月に保釈されており、現在は公判の真っただ中だ。
5月14日には第2回公判が福岡地裁久留米支部で行われ、週刊女性も傍聴に訪れた。
午前10時の開廷15分前に裁判所に到着した被告人は黒のスーツにグレーのネクタイを締め、法廷に臨んだ。
無表情だが緊張した様子で、時折、天井を眺めては深呼吸。傍聴席には、大学の友人らしき男性が5人ほど座り、審理の経過を見つめていた。
今回の公判では検察官が起訴状を読み上げたが、被害事実があまりに多すぎて読み終わるのに5分ほどかかった。
事実関係を問われた被告人は、証言台に立ち、
「間違いありません」
と低い声ですべてのヘンタイ行為を認めた。
終始、うつむき加減だった被告人は一切抵抗する気持ちがない様子で検察の主張を受け入れた。
今後、6月の最終審理を経て、判決が下ることになる。審理では情状証人として父親が出廷し、示談金の支払いなどを証言する予定だという。
SNSの投稿写真から合鍵が作れる
犯罪者が他人の合鍵を勝手に複製することで起きた今回の事件。類似の手口として、泥棒が管理会社を装って住人に鍵を提示させ、製造番号を控えるケースや、SNSに投稿された写真に鍵の番号が写り込み、合鍵を作られるケースも発生している。
女性のみならず誰もが事件に巻き込まれる可能性がある。防ぐ手立てはないのか。
前出の『日本ロックセキュリティ協同組合』によると、
「合鍵を作る際に、依頼者が本当に鍵の持ち主か確認することは、難しい。鍵の登録管理は現実的に不可能で、ウソをつかれたら、見破ることは困難です」
近年は技術の向上もあり、精巧に作られた鍵でも複製は可能だという。そのうえで、セキュリティーを高めるために、
「『認証ID』を採用した鍵は、タグ状のプレートなどに刻印されたID番号が製造番号とペアになっていて、2つの情報が同時にメーカーに届かないと複製できません。賃貸住宅であればオーナーしかID番号を知りえないので、勝手に鍵を複製されることはありません」
この『認証ID』を導入していない限り、不法侵入を完全に防ぐことは難しい。犯罪者に隙を見せないよう、警戒が必要だろう。