岡田健史

 岡田健史(22)が所属事務所に契約解除を求めた仮処分の審尋が、4月から東京地裁で行われている。既に4回の審尋が行なわれた。次回は7月中旬に行なわれる見通しだ。

 岡田の所属事務所は内山理名(39)や黒木メイサ(33)、桐谷美玲(31)らが所属するスウィートパワー社(本社・東京都港区)。岡田のマネージメントは同社の男性部門・スパイスパワーが担当している。

 あらためて考えたい。どうして独立問題が浮上したのか。また、審尋は現在、どうなっているのか。

 それらを確かめようと、岡田側の弁護士に接触を試みたが、連絡が取れなかった。取材は受けていないらしい。スウィートパワーも「(審尋中は)取材対応は控えたい」とした。そこで両者の周囲の人たちに話を聞いた。

LINEで独立を申し出

 岡田が独立を申し入れたのは3月中旬。同社にLINEで「お疲れ様です。2週間後(同月末)に辞めさせていただきます」といった短いメッセージが送られてきたという。

「それまで岡田との間にトラブルがなかった同社としては寝耳に水だったようです。2023年3月末まで契約が残っていたので、要求を受け入れられるはずがなかった」(民放関係者)

 この時、岡田側が盾にしたのが、労働基準法。労働契約期間の上限は原則3年とされている。岡田が同社と契約したのは2018年4月1日。ちょうど丸3年が過ぎようとしていたからだ。

 もっとも、この問題は既に争点になっていない。岡田と同社が結んでいたのはアーティスト契約なので、労働基準法の3年ルールは適用されない。大抵の芸能プロとタレントの契約はそう。それは今では岡田側も分かっているようだ。

 次に岡田が問題視したとされているのは同社での待遇。ただし、一番の不満は一部で報じられたような報酬面ではないようだ。報道では月額報酬が「手取り15万円」とされていたが、別にボーナスが半年に約150万円ずつ出ていたという。

「ほかに住居用マンションを用意してもらっていた。都心に近い場所にあって、3DKで1億円相当。そこに3月まで家賃10万円前後で住んでいた」(ほかの芸能プロダクション関係者)

事務所負担で留学も

 また、事務所に所属してから半年後の2018年10月、TBSの連続ドラマ『中学聖日記』で主演の有村架純(28)の相手役に抜擢された。まだ19歳のときだ。この時は無給で、iPhoneを支給されただけだったが、放送終了後、米国のロサンゼルスに4か月留学した。当然ながら、その費用は同社が出したという。

「留学費用は1000万円前後と聞いています。4か月ですからね」(前出・民放関係者)

マネージャーがピッタリ寄り添っていた未成年のころの岡田健史

 これらの待遇に満足するかどうかは人それぞれだろうが、少なくとも岡田を独立に走らせた最大の動機ではない。では、どうして同社を離れたいかというと、仕事をすべて自分で選びたいからだという。

彼はこれまでの仕事が自分のやりたいものではなかったという思いが強い。収録現場でもその思いが見え隠れしていた。仮処分の審尋でもこの問題を中心に訴えているようです」(前出・ほかの芸能プロ関係者)

 芸能プロはタレントを育て、売り込むもの。一方の岡田側は自分ですべてやりたいと考えている。金銭面などが争点であれば、どちらかが歩み寄ればいいが、芸能プロとタレントの関係性の根幹に関わる問題なので、そう簡単には決着しない。だから審尋が終わらない。

「裁判所は和解を薦めているはず。争ったって双方とも得しませんから。契約が残っているので、スウィートパワーに重大な瑕疵(かし)でも見つからない限り、独立は認められない。だから和解案は岡田君が残り1年9か月の契約を全うし、その間はスウィートパワー側には岡田君の話にもっと耳を傾けるよう求めるといったものになるでしょう。そして契約が終わった後は岡田君をスウィートパワーが温かく送り出すよう促すはず」(同・ほかの芸能プロ関係者)

 岡田は裁判所に対し、芸名を変えたいとも訴えているという。同社が付けた芸名だ。せっかく知れわたった名前を捨てるのは惜しい気もするが、同社から与えられたものは仕事も名前も嫌らしい。

名前が挙がった小栗旬は困惑?

 ほかにも気になることがある。岡田は今年度後期の連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』への出演が内定したと一部で報じられたが、NHKはまだ何も発表していない。既に主要キャストの発表が済んだものの、岡田の名前は出ていない。

 NHKは裁判中の人間は使わないというのが、昔からの定説。誰の味方もせず、視聴者全員のために存在する公共放送だからだ。大河ドラマ『青天を衝け』に出演しているものの、それは裁判前からの話である。

 NHK関係者に水面下で朝ドラ出演について尋ねたところ「発表していないのだから、答えようがない」とのことだった。現段階で出演が決まっていると考えるのは早計なのかも知れない。

小栗旬

 また芸能界には今回の件で小栗旬(38)の名前が挙がっていることを不思議がる声がある。小栗が岡田の後ろ盾になると報じられている件だ。

「小栗君は男気が強いことで知られるものの、だからと言って裁判になっていて、事情も分からない話にクビを突っ込むはずがない。この類の話になると、なぜか小栗君の名前が挙がるが、岡田君と親しいわけでもない。小栗君の事務所の社長は映画プロデューサーも兼ねていて、だからスウィートパワーの社長とも関係が深いから、小栗君は困惑しているはず」(同・ほかの芸能プロ関係者)

 裁判所は毎年8月1日から夏休みで、同月末まで民事裁判はストップする。このため、7月中旬に行なわれる5回目の審尋の次は9月になる見通し。おそらく、セミが鳴いているうちには結論が出るだろう。

《取材・文/山本智之(ライター)》