1964年の東京オリンピックの実況も担当した元祖民放フリーアナウンサー、押阪忍(86)さん。今回は『押阪忍のワンポイント・フィットネス』(JFN系列)の収録現場に直撃!
最高齢現役“花”ウンサー、押阪忍
なんと同ラジオ番組は今年で29年目、パーソナリティーの押阪さん自身もJFN系列での“現役最高齢アナウンサー”となる。
「80代で全国放送のレギュラーを持たせてもらえるのはとてもありがたいことです。88歳の米寿まであと2年は頑張れればとは思っています。日常茶飯事、普通に“ことば”の仕事を続けてきたので、自分では特にすごいことだとは思っていません」
さすがにプロ、滑舌よく“いい声”のお答え! だが、プロなだけに自己評価も厳しい。
「ベテランの味と言ってはもらえるんですが、やはり声に若いころのようなハリやツヤがなくなってきてはいますね。一度に4~5本録るんですが、読むためには昔の何倍も練習しなきゃいけない。それでもトチることはありますよ。稽古の結果はウソをつかないというけれど、年を取ると、当てはまらなくなりますね(笑)」
とはいえ、魅惑の声は健在! そんな押阪さんの健康の秘訣は、高タンパク低脂肪の食事と歩くこと。1日5000歩を目標に、週に3回は達成しているのだとか。
「いつまでも健康で、元気な心身を持ち続けたいのなら、みなさんには『とにかく歩きましょう!』とお伝えしたい。ぶらぶら散歩でもいいんです。私は毎日、体力維持のために、近所の川沿いを歩くことにしているんですが、雨が降ったりしたらやめます。自分に無理がない範囲で、楽しみながらやる。そうでないと続けられませんから」
かつて結核をはじめ、大腸がんや腹部大動脈瘤など、命に関わる病気を克服してきたサバイバーでもある押阪さん。現在は自宅療養中の妻、栗原アヤ子さんとともにステイホームの時期を過ごしている。
「コロナのせいで最近は、なんだか頭を押さえられているような、なんとも不自由な世の中ですね。家内においしいものを食べさせてやりたいのに、ちょっとした外出もさせてやれませんから。家内が元気になれば、私はもっと元気になると思いますね」
とはいえ、長年の趣味である園芸には変わらず勤しんでおり、家族で四季が感じられるように、さまざまな花を栽培し、いつでも咲き乱れているそう。
「わが家には春夏秋冬必ずどこかに花が咲いています。今の私は『“花”ウンサー』なんです(笑)。
『草花は足音で育つ』という名言がありますが、当方はアナウンサーなので『草花は言葉(をかけることで)で育つ』と、植物との対話を楽しんでいますよ」
最高齢現役“花”ウンサーの名調子、いつまでも聴き続けたいもの!
(取材・文/高松孟晋)