6月18日に『ボンジュール! 辻仁成の春のパリごはん』(NHK BSプレミアム)という番組が放送された。作家でミュージシャンでもある辻のパリでの生活を追ったものだ。
中山美穂が離婚後に失ったもの
サラサラの髪やおしゃれな料理の腕は、61歳の今も健在。昨年には、シングルファーザーとしての日々をSNSで発信してきたことが評価され、ヤフー検索大賞(作家部門)を受賞した。ほかの部門の受賞者は藤井聡太やヒゲダン、フワちゃんといった面々だ。
そこで試しに「検索」してみると、中山美穂(51)との離婚から今月でちょうど7年になることがわかった。当初は辻の「中性化」が原因ともいわれたが、美穂の不倫が発覚。それもあって、当時10歳の息子の親権は、辻が持つこととなった。
トップアイドルから高視聴率女優へと順風満帆だった彼女にとっては初の挫折といえる。しかも女性誌で「好きな人と出会いました」と不倫を認める発言。これも、イメージダウンにつながった。
しかし、ものすごく意外だったかというと、そうでもない。実は彼女の母も似たことをしていたからだ。
エッセイ本『なぜならやさしいまちがあったから』(2009年)によれば、美穂が3歳くらいのとき、親が離婚。母は「すべてを振り出しに戻し」彼女と妹(中山忍)を「東京の姉夫婦のもとに」預けた。伯父は「子どもに罪はない」として「すべてを投げ出した母」の代わりに面倒を見てくれたという。
また、彼女も母も「一緒に暮らす男性に包丁を振り回されたこと」がある、とも書かれている。何かと似ていた母娘なのだろう。
ちなみに、彼女がデビューした翌年の正月、レコ大の打ち上げみたいな番組で、新人賞受賞者5人が父親とゲームをやる企画を見た。彼女だけは五木ひろしが父の代役だったが、実人生では伯父が父親代わりという時期があったわけだ。
もっとも、彼女の息子については元夫が面倒を見ることに。辻は離婚直後、隠れて泣いていた息子の姿に「自分が母親の役目もしなきゃ(略)美味しいごはんを作らなきゃ、と思った」という。その後、スポーツの大会で取ったメダルを見せられたときには《唐揚げ弁当の成果かな(笑)。やったね》とつぶやいたり。もうすっかり「母親」の発言だ。「中性化」が騒がれただけあって、男性のレベルを超えた「女子力」の持ち主なのだろう。
逆にこの状況は、美穂にとってかなりつらいはずだ。前出の本でも、自分が寂しい幼少期を送った分、家族の絆が保たれ、息子が親の仲のよさに憧れていることがうれしいようで、
「彼にとっていつまでも理想の夫婦でありたいと思っています」
と、綴っていた。その理想が破れたばかりか、自分が務めるはずの母親役も元夫に代わられてしまったのだから。
ところで、彼女はデビュー当時、非常に無口でインタビューでは筆者も苦労させられた。妹もそうだったが「お姉ちゃんはもっとしゃべらなかったよね」と、仕事仲間同士で語り合ったものだ。にもかかわらず、歌や芝居になると生き生きとした輝きを見せるので、天性の芸能人だと感心させられたりもした。
そんな輝きがここ数年、薄れているように思われる。かつて『ママはアイドル』(TBS系)でアイドル「ミポリン」を演じたころには、その女子力が同性をも夢中にさせたのに。元夫に女子力で負けてしまうというのは、どんな気分だろうか。