プランクスターズのメンバー(ツイッターより)

プランクスターズのライブスタイルがどうしても汚く気持ち悪く生理的に無理、また同等にプランクスターズのヲタクが気持ち悪いと感じるようになり精神的に限界がきてしまい、心身の休養とそのどちらもの印象を受け入れ復帰するためにしばらく活動休止したいとの申し出でした

 この文言は2021年6月10日に地下アイドルグループ『プランクスターズ』のメンバー・田中いろはの活動休止について所属事務所が発表したコメントだ。この“気持ち悪い”というストレートな物言いはネット上ですぐに拡散され、『5ちゃんねる(旧2ちゃんねる)』やSNSを中心に大きな話題となった。

 そして7月5日、『スポニチアネックス』が、活動休止中の田中が脱退することを取り上げた記事をネット配信したことで、同グループの知名度は一気に全国区になった。

《「ヲタクが気持ち悪い」と活動休止中の地下アイドル 9月脱退を発表 過激なライブ「生理的に無理」とも》

異様な熱気に包まれる“過激ライブ”

 センセーショナルなタイトルとともに掲載された記事には多数のコメントがつき、賛否さまざまな意見をまといながら炎上することに。

《プロとしては失格だけど、1人の女の子としては正常だと思う。こんなにまで清々しい訣別宣言を目にしたのは初めてだけどね》

《生理的に無理ならどうしようもないだろうし、お互い(本人とファン)のためにも、脱退は真っ当な判断だろうな》

 SNSでも意見を拡散させるユーザーが多く、ツイッターでは『活動休止中の地下アイドル』というワードがトレンド入りすることに。思いがけず世間の注目を集めることになった『プランクスターズ』は一体どのようなグループなのか。

「2018年12月に結成された広島発の地下アイドルグループです。人数に変動はありましたが、現在は5人グループで、田中さんは今年の1月にグループに加入しました。『自由奔放悪ガキアイドル』という触れ込みで、メンバーの個性も強烈。好きなものに『酒、パチンコ』を挙げたり、特技が『リスカ』とする子がいるなど、かなりアウトローなイメージがありますね」(アイドル誌編集者)

 そんな彼女たちの“過激”なライブスタイルはというと、

ステージ上でメンバーが下着を脱いでそれを客席に投げ込んだり、スイカの早食い企画では口の中に入れた果実を、ファンの口に向かって吐き出して食べさせるといったパフォーマンスが行われるなど、アイドルとしてはかなりアウトローなライブを行なっています。

 自粛要請中の2020年3月にも大阪でライブを開催。メンバーが客席にダイブして墨汁を撒き散らしたりといったライブもしていました。このご時世でも、収容人数によってはライブを開催することはOKなのですが、その内容は大阪府が提唱する『感染防止策』の観点からは大きく逸脱しています。

 過激なのは観客も同じで半裸になってライブ中に下ネタのコールを叫ぶファンも少なくありません。ライブはかなり異様な熱気に包まれます

田中いろはは“円満脱退”だった

 グループのSNSで最新情報を確認すると7月17日に行われるメンバーの『生誕祭』のグッズで“コンドーム”が販売されるという告知も。公式アカウントのツイートのなかには《念の為お客様もある程度汚れてもいい服装でご来場いただけると幸いです》との記述も確認できる。

2021年5月16日に行われた「プランクスターズ」田中いろはの“生誕祭”(ツイッターより)

 昨年からファンになったという30代の男性はプランクスターズへの思いを以下のように語っている。

下品にみえるようなところばかりフィーチャーされがちですが、曲やライブは本当に良い。過激とされているパフォーマンスも炎上商法のひとつなんだと思いますよ。とにかく目立って注目を集めることが地下アイドル界を生き抜く戦略のひとつですから。

 今回の件についても仲間内では“プラスタ(プランクスターズの愛称)だからしょうがない”といった感想でした。一度でもライブを見てもらえば彼女たちの魅力に気づいてもらえるんですけどね……

 メンバーの田中いろはの脱退がニュースになった翌日の7月6日。運営は新たな“お知らせ”を発表した。それは《新メンバーを100名募集します》とのツイート。応募条件として書かれていたのは、

《・ネットの誹謗中傷に耐えれる方
・特典会自分だけ列が少なくても耐えれる方
・自分の推しだったはずの人が別の人のヲタクをしてても耐えれる方
・プランクスターズのスタイルを受け入れれる方》(原文ママ)

 など。はたしてグループの事務所は今回のメンバー脱退とグループの今後についてどのように考えているのか。担当者に問い合わせてみた。以下はその一問一答。

──田中いろはさん脱退はネットニュースでも大きな話題になりましたが、どのようにご覧になられていましたか?

賛否両論ありますが、本人の心境的には辛いものがあると思います……

──田中さんは円満脱退だったのでしょうか?

そうですね。今でもご飯とか一緒に食べにいくくらいの仲です

パフォーマンスは「メンバー任せ」

──田中さんが発表したコメントの「ライブスタイルがどうしても汚く、気持ち悪く、生理的に無理」「同等にヲタクが気持ち悪いと感じるようになり、精神的に限界がきてしまい」などの文言はセンセーショナルなかたちで世間に受け入れられましたが。

脱退するにあたっての文章とかもこちらから本人に“どのように打ち出したい?”と確認して発表しているんです。彼女の意見を大きく反映させているというかたちですね。そのほかの企画も彼女たちの意向が大きく反映されています。たとえこちらが規則を作っても従うような子たちではないと思います(笑)

──“過激”だと話題のライブスタイルはどういった意図・流れで作られている?

そこまでこちらから指示しているわけではないんですよ。気づいたらそうなっていたみたいな感じで。曲を決めたりといったこと以外の、パフォーマンスに関しては基本的にメンバー任せですね。彼女たちのやりたいことをやらせるというスタンス。やりたいことがあれば、“事前に会場に『こういうことをやりたい』と許可をとってね”と伝えてはあります

──現在の活動は地元・広島を拠点としている?

「地元・広島を拠点とはしていますが、県外からイベントに呼ばれることも多く、全国的に活動しています」

──新たに「メンバー100人募集」を発表されましたが、その狙いは?

現在はツイッターで新メンバーを募っている。『募集要項』に書かれている内容も過激だ

「とりあえずメンバーを“100人まで”募集というかたちで、そこからオーディションをするなどして加入する人数はこちらで決めようと思っているんですけれど。100名入るかもしれないし、入らないかもしれないといった感じです。来てくださった方の能力的なところを判断して決めていきたいですね」

──過激なライブ映像などがSNSで拡散されていますが、コロナの感染症対策については?

入場時は必ず検温であったり手指の消毒、マスクの着用の徹底など、その他さまざまな感染症対策をしております。コールがOKだったり、ダメだったり場所ごとにルールが違っていたりするので、そちらは会場のレギュレーションに従ってやらせていただいております

──グループとして今後はどのような目標が?

「ひとりでも多くファンの方が増えてくれたらいいなと思います」

“地下”には演者とファン、それぞれの需要と供給が成り立つ不思議な世界があった──。