「本当にふざけてますよね。事故を起こしていたと選挙前にわかっていたら、絶対に投票しなかったのに……」
木下都議に投票した板橋区の有権者は憤る──。
無免許運転発覚で「除名」処分
7月4日に投開票が行われた東京都議会選挙。板橋区からは都民ファーストの会が擁立した木下ふみこ都議会議員(54)が出馬し、当選していた。
ところが当選直後、驚きの事実が発覚した……。
「木下都議は選挙期間中の7月2日、免停中にもかかわらず自動車を運転し、さらに板橋区内で衝突事故を起こしていたことが選挙後の5日に報道されました。
この事故により車を運転していた50代の男性と同乗者の妻が負傷しましたが、木下都議は“大きな事故ではまったくない”と開き直っています」(テレビ局記者)
事故を受けて木下都議は、「2月ごろに免許停止になったが、7月2日から運転できると勘違いしていた」
「選挙活動中で、選挙対策本部には(事故を起こしたことを)話したが、他には説明できていなかった」
などと弁明していた。
しかしその後、都民ファーストの会は「党や党の選挙対策本部には事故発生時の連絡は一切入っていなかった」と声明を発表。実際に報告があったのは選挙後の5日だった。
事態を受けて、党は同日、木下都議の「除名」処分を公表した。
報道後は雲隠れを続けており、6日に板橋区役所で開かれた当選証書付与式は無断欠席している。
愛知県出身の木下都議。大学時代はスペイン語を学び、海外留学の経験もある。
博報堂勤務を経て、2016年に小池百合子都知事率いる「希望の塾」に入塾。2017年には都議選に出馬し初当選し、今回の選挙で二選を果たしていた。
広告業界に人脈を有することから小池知事の信頼を獲得。今回の選挙でも、投票日前日に知事自ら木下都議の応援に駆けつけるなど、かなりの“お気に入り”だった。
あろうことか無免許運転という“犯罪行為”を隠ぺいしていた木下都議だが、新聞の取材には「仕事をしていくことで期待に応えたい」と答え、7日には新会派も設立。議員活動続行に前向きな様子だ。
そんな木下都議だが、実は無免許運転は今回だけではなかったようなのだ。
相次ぐ「運転現場」の目撃情報
杉並区議会議員で『日本維新の会』の松本みつひろ区議はこう語る。
「木下都議は選挙期間中、自ら車を運転して、二連ポスター(党幹部らとツーショットで写ったもの)の貼り替えや録音テープを流しているところを何度も見かけしました。
とても険しい表情でしたが、犯罪行為をしていたからだったんですね」
木下都議は「7月2日から運転できると勘違いしていた」と言い訳をしていたが、そもそも、それ以前にも運転をしていたというのだ。
同じく都議選に出馬し落選となった公認会計士の前田順一郎氏も、
「告示日直前の6月21日にご自身が街宣車を運転しているのを、私はハッキリと見た。私は自分の街宣車のマイクでご挨拶をしたが無視されたので、良く記憶している」
とSNSで告発が続出。
また木下都議は選挙前の6月上旬、自身のSNSに原付きバイクを自ら運転しながら活動する姿を投稿していた。
写真ではヘルメットを被りながら選挙ポスターの前でポーズをとる姿や路上にバイクを停めて都政報告をする姿がうつっている。さらには本人も「車の運転」をしていたことを自ら明かしており、言い逃れはできない状況だ(投稿は削除済み)。
また一部のネットメディアでは木下議員の選挙スタッフが、禁止されている午後8時以降にビラ配りなどの選挙運動を行っていた疑惑も報道。
候補者の氏名や顔写真が記載された選挙運動用のビラを配れるのは、選挙期間中の午前8時〜午後8時までで、違反した場合は公職選挙法違反に問われる可能性がある。
不祥事を「勘違い」で済まそうとする木下都議の疑惑が続々と明るみになっているが、さらに『週刊女性』が取材を進めると、新たな問題も浮上した。
「実は木下都議の事務所には、亡くなった議員さんからの為書き(選挙時に使う応援用のポスター)が飾られていたようなのです。しかも、その議員さんは対立候補である橋本久美さんの父親で……」
そう語るのは、今回の選挙で板橋区で木下都議の対立候補だった橋本久美氏の支援者。
いったいどういうことなのか?
「為書きは、板橋区議会議員を12期48年務め、2020年に亡くなった橋本祐幸(ゆうこう)さんのものでした。彼は、久美さんの父親です」
故人から為書きが送られるとはなんとも不気味な話。しかも、送り主は対立候補の娘だという。
対立候補の亡くなった父から為書き
この事実に対して橋本久美氏はSNSに、
「父が実の娘の対立候補に為書きなど送るわけないですから。しかも昨年亡くなっている故人を利用するという『自分ファースト』ぶり。娘としても許せないですね」
「私はこういう人に負けたのかと思うとバカバカしくなります」
と怒りを露わにした。
木下都議のHPには確かに亡くなった橋本祐幸さんからの為書きの写真が掲載されており、
「ずっと見ていましたよ。さあ、私の分まで、まだまだ、頑張って!」
と故人からのメッセージが添えられていた。
これに対し木下都議は、
「天国からの応援、本当にありがとうございます」
と感謝の言葉を掲載している──。
無免許運転の事実や公職選挙法違反、為書きの捏造など疑惑のオンパレードとなった木下都議。
豊島区にある自宅を直撃。木下都議には20歳前後の一人娘がおり、シングルマザーとして育ててきた。娘が外出した後、自宅の電気がついていて人の気配があるのでインターホンを押し、ノックをしたが、反応なし。部屋を見ると、さっきまでついていた電気は消えたため、居留守を使っているようだ──。
「しなやかな女性目線で本当の “都民ファースト” を実現したい」と語っていた木下都議。疑惑について説明しない「自分ファースト」な態度では、政治を語る資格はないだろう。