本田翼が“年下研修医”との熱愛をスクープされたことで、世の男性陣が荒れている。それは主に「オタク系男子」と呼ばれる属性の方々らしい。
デビュー時から、休日は引きこもってゲームや漫画ざんまいという“オタク気質”があることを公言、インスタグラムには穴のあいたストッキングの写真をアップして、「#でもこの位置ならギリいけるね」と、ちょっとズボラな一面も覗かせる。“オタ受け要素”バツグンの彼女だっただけに、「裏切られた」「彼氏できたから動画投稿してなかったんだな」「陰キャ営業を信じきってた自分がバカだった」……そんな怨み節がネット上で飛び交っているのだそう。ゲーム配信を中心とした彼女のYouTubeチャンネル『ほんだのばいく』のコメント欄も炎上したらしい。あれま。
誰のものにもならないオタク女子
世のオタク男子たちを惹きつけてやまない彼女が一般人と、しかもゲームを通じて出会うという、ジェラシーしか感じない馴れ初めではあるが、本田翼が誰と付き合おうと別れようと、オタクたちにその番が回ってくる望みなど限りなくゼロに近い。それでも彼らが「裏切られた」と憤慨するのには、本田が“誰のものにもならないオタク女子”を体現し続けてきたことと関係していると思う。いわゆる“オタサーの姫”というやつである。
振り返ってみたいのは、バラエティー番組『中居大輔と本田翼と夜な夜なラブ子さん』で小出しにする自身の恋愛観について。
恋人との同棲については消極的な姿勢を示し、
「彼氏とは同棲ではなく家は別々で、好きな時間に帰りたい。うちに来たとき夜9時までには帰っていただきたい」(2021年2月4日)
彼氏から「ごはんどうする?」などと聞かれるのも煩わしいらしく、
「自分でUber Eats頼んで適当に食べたい。いっしょに頼もうよ、どこに頼みますかっていう相談がもうめんどくさい!」(2021年5月27日)
あれだけのビジュアルで、男ウケのいい趣味に対し造詣が深いオタク。それでいてサバサバしていて小難しそうで、“恋愛なんてめんどくさいです”な感じ。このパーソナリティは世のオタク男子たちを「本田翼推し」にさせるのに十分な要素が揃っていたのかもしれない。
定期的にメディアで見られる彼女の恋愛哲学は、世の男性視聴者たちに「私と付き合ったらこんな感じですよ」と想像させるのに一役買っている。それでいて「元カレが〜」「これは私の体験談なんだけど〜」といったように決して具体的なエピソードにを落とし込まないのが、うまいところ。というか、あざとさ。女の子として意識させるけど、誰のものでもありません私は、と。
CM出演ランキング1位なのは……
彼女が女優デビューしたての2012年。『週刊プレイボーイ』のインタビューに応じて記者から《彼氏のひとりやふたりは……》と問われたときも、
《そんなことないです! そりゃ、高校生の頃はフツーに好きな人もいましたけど……最近は完全に“恋愛ニート”なんです(笑)》
こんな感じで絶妙に煙に巻いていく。世の男性読者のためにもっと問い詰めてくれプレイボーイ記者よ。「好きな人」というのは片思いなのか、彼氏なのか、何なのか。
YouTube(2020年5月8日配信)でも彼氏に求める条件について「・怒らない ・精神の安定 ・重いものを持ってくれる ・ファッションにケチをつけてこない ・家事全般ができる」と、わりかし低めのハードルを設定している。思わせぶりだ。
しかしながら、それも含めて本田翼のかわいさである。“オタサーの姫”が同性にあまり好意的に映らないのは、そのあざとさに気づけない男たちへの苛立ちからきているのかもしれない。
そもそも、ここまで自身の恋愛観について話す女優もめずらしい。
先日、彼女は2021年上半期のCM起用社数ランキングで初の単独1位(なんと15社!)に輝いたばかり。上位に位置するほかの女優たちは綾瀬はるか、広瀬すず、橋本環奈、芦田愛菜、今田美桜らであるが、彼女たちはめったに恋バナなどしない。様々な役を演じる女優としてパーソナリティを出して色がつくのを恐れているのか、タレント的なイメージ戦略なのかは知らないが、やはりこうして並べてみると、1位になった本田翼の特殊な立ち位置が浮き彫りになる。自己開示を是とするそのキャラクターを広告塔に添えることで、商品にも“正直で嘘のない”プラスイメージを与えることができるのだろうか。
今回の報道で彼女の事務所は「プライベートについては本人に任せております」と回答している。「お友達のひとりだと聞いております」のワンランク上のそれ。つまりオープン交際なのだろう。オタクたちの怒りを尻目に「勘違いさせてごめんなさい〜」とペロッと舌を出すのである。
〈皿乃まる美・コラムニスト〉