「日本だけでなく、世界がまだこのような時世ですので、細心の注意を払って現場に赴きたいと思っております」
遠く離れた地に羽ばたく際、冷静ながらも力強い言葉で語った木村拓哉。この夏、彼の姿はヨーロッパにある。
「海洋SFサスペンスの『THE SWARM』に出演します。アメリカ、ドイツ、フランスなどが参加する超大型国際ドラマで、深海に生息する未確認知的生命体と人類との戦いを描いた作品。木村さんは、チームを指揮する人物を全編英語のセリフで演じます」(映画ライター)
撮影は9月までイタリアで行われ、2022年に全世界で放送と配信が始まる予定。国際派俳優としての活躍が期待されるが、日本でも続けて大作の撮影が控えている。
「帰国後すぐに、時代劇の撮影が始まります。東映の創立70周年記念作品で、木村さんが演じるのは織田信長。共演には、綾瀬はるかさんの名前が挙がっています。実現すれば、2011年のTBS系ドラマ『南極大陸』以来ですね。2人は2009年のTBS系『MR.BRAIN』でも共演していて、互いに気心の知れた仲です」(テレビ誌ライター)
木村は1998年にも、ドラマで信長を演じたことがあった。『織田信長 天下を取ったバカ』(TBS系)で、時代劇初出演にして主役を務めていた。
「当時は信長の青春時代をフレッシュに演じましたが、あれから23年。豊富な経験を積みましたから、今度は円熟味のある信長を見せてくれるのではないでしょうか。木村さんもかなり力が入っているみたいですよ」(同・テレビ誌ライター)
「絶対にやりたい」
“信長映画”のプロジェクトは、木村自身の強い意向があって進められたという。
「何年も前から木村さんが“絶対にやりたい”と意欲を見せていた肝いりの企画で、昨年放送されたNHKの大河ドラマ『麒麟がくる』も見て、信長に対する熱がさらに高まっていたそう。しかも、共演が綾瀬はるかさんならゴールデンコンビの復活。ジャニーズ事務所としてもぜひ実現させたいと考えるのは当然のことですね」(前出・映画ライター)
期待のかかる大作を手がけるのは、アクション映画や時代劇に定評のある大物監督。
「『るろうに剣心』シリーズの大友啓史監督が指揮を執るようです。大友監督は2011年までNHKに在籍していて、福山雅治さんが主演を務めた2010年の大河ドラマ『龍馬伝』では、NHK史上最年少でチーフ演出を務めて話題になりました。7月中旬には、早くも都内で出演者のオーディションが行われ、撮影は9月下旬から12月にかけて京都の太秦を中心に行われるとのことです」(製作会社関係者)
動き出した一大プロジェクトだが、気になるのは映画の配給会社。木村はこれまで、数多くの東宝作品に出演してきた。『HERO』シリーズ(2007年、2015年)や『検察側の罪人』(2018年)、『マスカレード・ホテル』(2019年)などで、いずれもヒット作。今年9月には『マスカレード・ナイト』も公開予定で、東宝とはいい関係を築いていたはず。対して、東映作品への出演はゼロ。ここにきて“初タッグ”を組んだのはなぜか。
「古くは高倉健さんや菅原文太さん、松方弘樹さんなどのスターが出演し、現在も吉永小百合さんが頻繁に出演しています。そんな東映の70周年に花を添えることには、大きな意味がある。昨年11月に東映グループの岡田裕介会長が急逝し、会社としても大きな悲しみに包まれています。そんな会社に、パワーを与えたい気持ちがあるのだと思います」(前出・映画ライター)
時代劇の火を消してはいけない
時代劇に対しても、木村は胸に秘めた熱い思いがあった。
「昨今、時代劇は“お金はかかるし、数字も取れない”という理由で作られる本数が減っています。人気作の『暴れん坊将軍』も『遠山の金さん』も、ここ3年以上新作が作られていない。木村さんは、2006年の『武士の一分』や2017年の『無限の住人』への出演もあって、その魅力を肌で感じているため、“日本の伝統文化である時代劇の火を消してはいけない”と強く思っているようです」(同・映画ライター)
時代劇の復活を担うスターには、進化を続けるためのハングリー精神も。
「木村さんは近年、フジテレビ系ドラマ『教場』での冷徹な教官の役や海外ドラマへの出演、マクドナルドのCM出演など、これまでやってこなかった分野にも次々と挑戦しています。東映作品に出るというのも、今まで関わりのなかった配給会社にあえてお世話になるという、彼の中での新たな挑戦なのでしょう」(前出・テレビ誌ライター)
どんな経緯があったにせよ、東映にとっては千載一遇のチャンスであり、木村にとっては挑戦的な意欲作。ヤル気満々のキムタクが演じる信長で、大ヒット映画が生まれる予感!