福山雅治(52)は「言葉」の人だ。歌や芝居もうまいが、トークにも定評があり、さまざまな名言を残してきた。
言葉を巧みに使う福山雅治
そのなかには「女性のお尻には世界平和のイメージがある」とか「ヤワラちゃん、可愛いっすよ、マジで」といったものも。こうした言葉が女性全般に優しいイメージをつくり上げ、長年の人気につながってきた。
そんな福山がいつもとは違う方向で言葉を使った。自身の子ども(4歳)が写真誌に撮影され、写真がモザイクつきとはいえ掲載されたことについて、自身のラジオ番組で言及。「黙っているということはできない」として、
「それを芸能人だからって我慢して、これから先、何年も過ごしていかなきゃいけないのかなって思うと、それは違うなと思ったんですよね」
と、異議を申し立てたのだ。
このニュースを紹介した『新・情報7daysニュースキャスター』(TBS系)ではビートたけしが、
「(カメラマンを)ぶん殴りゃいいんだよね」
と、発言。かつて、愛人への取材に怒ってフライデー襲撃事件を起こした人ならではのアドバイス(?)だ。もちろん、福山はぶん殴らないだろうが、そのぶん、言葉で抗議をしたかたちだ。
もともと、九州男児で家族思いな福山。それでも、こうした発言をしてこなかったのは、彼の美学ゆえだろう。
その言動からは器の大きい男でありたいという願望と、プライバシーを売りにしないというこだわりが見てとれる。ただ、これがある時期から、彼を窮屈にしてしまった印象だ。
結婚後のファン離れに対して福山は?
2015年に、吹石一恵と結婚。翌年には、子どもも生まれた。“ましゃロス”が騒がれたが、同時にファン離れも進行する。妻や子の話をしないのは、ファン離れを食い止めるためという見方もされてしまうわけだ。
これは器の大きい男でありたい福山にとっては、不本意なことだろう。ただ、彼は事務所を支える屋台骨的な存在でもある。『紅白』に中継で出演するなどして、維持されてきた福山ブランド。それが損なわれるかもしれない選択は、なるべくしないほうがいい。
なお、かつて三浦友和は『被写体』という本まで出して、妻子への取材の行きすぎを批判した。こうした骨太な態度に好感を持つ人も多く、芸能人として一目置かれてきたわけだ。が、こうした悩みは結局、時間が解決するものだったりもする。
三浦は4年前、週刊女性のインタビューで、
「変わったのはマスコミですよ。すごく優しくなったし」
と、発言。実はこれ、三浦と妻子への関心が以前ほどではなくなったからでもあるのだ。
その点、福山もいずれは悩みから解放されそうだが、その前に三浦友和的段階へのステップを踏んだ。これを機に「みんなを愛する」から「妻子を愛する」への転換をしたわけだ。
このタイミングは悪くない。'16年には、福山ファンでもあったマンションのコンシェルジュが彼らの部屋に侵入、帰宅した吹石と出くわす事件も起きたが、このときだとまだ「妻のため」の発言ということになる。しかし、今回は「妻と子」のための発言だ。このほうが嫉妬も買いにくく、受け入れられやすい。
そういう意味で、彼には流れを見る目も直感力もある。引き金は怒りだったとしても、そこを賢く利用して、曖昧にしてきた問題に答えを出した印象だ。キレどころもわかっているあたり、30年もイケメンスターをやってきたのはダテじゃない。