7月28日(「なにわの日」)、関西ジャニーズJr.・なにわ男子が11月12日にCDデビューすることが明らかになった。
このニュースが報じられてすぐにネット上は沸騰。オリンピック関連ワードばかりが並ぶツイッター・トレンドランキングで1位を記録したほか、夕方に過去最多を更新したコロナ感染者数も上回り続けるフィーバーぶりだった。
つまり、「CDデビュー前からそれほどファンが多い」ということなのだが、実は昨年から業界内の評価はジャニーズJr.の中でも断トツ。「なぜCDデビューさせないのか?」という疑問や、「キンプリ(King & Prince)やスノスト(Snow ManとSixTONES)をごぼう抜きするのではないか」という期待の声を各所で聞いていた。
なにわ男子は業界内でどんなところを期待されているのだろうか。
すでにドラマもバラエティーも即戦力
なにわ男子は、西畑大吾(24歳)、大西流星(19歳)、道枝駿佑(19歳)、高橋恭平(21歳)、長尾謙杜(18歳)、藤原丈一郎(25歳)、大橋和也(23歳)の7人組。2018年10月の結成からわずか3年弱でCDデビュー前ながら、すでにさまざまな場で活躍している。
アイドルとしてのライブはもちろん盛況で、現在も全国ツアーを開催中。テレビでは関西エリアの番組で経験を積んだあと、昨秋から全国ネットへ本格進出している。
『めざましテレビ』(フジテレビ系)で冠コーナーの「なにわ男子のなんでやねん!」「なにわ動画」を持ち続けているほか、冠番組の『なにわ男子と一流姉さん』(テレビ朝日系)、メンバー全員出演の主演ドラマ『メンズ校』(テレビ東京系)も放送。今春にも事実上の冠番組『まだアプデしてないの?』(テレビ朝日系)がスタートした。
メンバー個人に目を向けても、西畑と道枝は連ドラ出演を重ねているほか、大西、藤原、大橋はゴールデンタイムの『クイズ!THE違和感』(TBS系)にレギュラー出演中。その他でも昨年からゲスト出演する番組が増え、ジワジワと知名度を上げている。
まだデビュー前にもかかわらず、ドラマでの演技とバラエティーでのトークは、「すでにキンプリとスノストを上回っている」というのがリアルな業界評価。西畑、道枝という演技のダブルエースがいる強みは大きく、彼らはファン以外の視聴者に「ゴリ押し」というイメージを与えていない。それどころか「演技がうまい」と思われている感すらある。
また、バラエティーでも大半のメンバーが、芸人たちの間に交じってもポンポンとコメントをはさめるのが強み。ボケを織り交ぜられる度胸と間のよさもあるため、「制作サイドは安心して起用し、MCも期待してトークを振ることができる」という。
熱狂的なファンの多いアイドルである上に、ドラマもバラエティーも即戦力なのだから、CDデビュー後はオファーが増えるのは間違いなく、知人のバラエティー演出家は「SMAPや嵐のような存在になれるかもしれない」と話していた。
関西から“ジャニーズのトップ”が誕生か
もう1つ、なにわ男子が業界関係者から評価されているポイントが若さ。Snow Manはラウールと目黒蓮以外全員アラサー、SixTONESは全員20台中盤、King & Princeは全員25歳以下だが10代はゼロである一方、なにわ男子は10代が3人もいる上に、21歳、23歳、24歳、25歳と全員が25歳以下であり、同年代への訴求力は高い。
とりわけこの若さはテレビ業界での高評価に直結。テレビは昨春の視聴率調査リニューアルによって、年代や性別ごとの視聴データが取れるようになり、民放各局がスポンサーの好む若年層向けやファミリー層向けの番組を増やそうとしている。その意味で、なにわ男子には追い風が吹いているのは間違いない。
また、彼らのキャラクターやパフォーマンスに目を向けると、なにわ男子はKing & Princeに続くジャニーズの王道アイドルとして知られている。さらに、キラキラした王子様のような存在だけでなく、先輩の関ジャニ∞やジャニーズWESTのように笑わせたり親近感を抱かせたりすることも可能。そんな彼らをテレビマンたちは、「ファン層が広いタイプのアイドル」「男性層からも嫌われにくいためテレビ向き」などの目で見ているようだ。
関ジャニ∞もジャニーズWESTも全国区の人気を持つが、ジャニーズ事務所のトップを取ったとまでは言いづらい。その点、なにわ男子は関ジャニ∞の大倉忠義がプロデュースを担当していることもあって、「ついに関西ジャニーズがトップを取る」という期待が込められている。
しかし、King & Prince、Snow Man、SixTONESとの共存を求められる上に、ジャニーズJr.にはTravis Japan、HiHi Jets、美 少年など、まだまだスター候補のグループが控えている。だからこそ、なにわ男子のメンバーたちは、どんな場でも全力で挑み、ますます評価を高めていくような気がしてならない。
木村隆志(コラムニスト、テレビ解説者)
ウェブを中心に月30本前後のコラムを提供し、年間約1億PVを記録するほか、『週刊フジテレビ批評』などの番組にも出演。各番組に情報提供を行うほか、取材歴2000人超の著名人専門インタビュアーでもある。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』など。