加藤綾菜(左)と加藤茶(右)

 その年の差45歳。加藤茶さんの妻として健康を支え続けて10年目。「介護」はいずれやってくると覚悟を決め現在猛勉強中。そんな中で生まれた驚きや疑問。この超高齢化社会に、前向きになれる介護情報を隔週でお届けします。

第6回 介護×コミュニケーション
あいづちや質問で心を開き言葉のキャッチボールを

─介護する側とされる側、お互いに尊重し合えるコミュニケーションの心得を、スペシャリストの尾渡順子さんと語り合っていただきました。綾菜 家庭での介護では、身内だからこその本音やわがままが出て、ぶつかりあってしまうことも多いと聞きます。介護におけるコミュニケーションでは、どんなことを心がけるといいのでしょうか?

尾渡 話し上手は聞き上手といって、まずは、相手の話をよく聞くこと。こちらが聞き上手になると、相手もどんどん話しやすくなります。

綾菜 私も、介護にかかわらずですが、聞き上手になりたいと思っています。特にご高齢の方とのお話はさえぎらないようにしています。

尾渡 話を聞きながらうなずくとか「へえ~」「なるほど」などのあいづちを打つことも大切です。相手の話を整理して繰り返したり質問したりすることで、ちゃんと聞いていることをアピールできます。

綾菜 なるほど、話を聞いてもらうだけで満足していたりストレスを発散できたりすることも多いですよね。

尾渡 相手の言うことを否定せず、共感して、受容することを心がけるだけでも、コミュニケーションの質が変わってくると思います。

綾菜 私は、友達との普段の会話の中で、人の話を途中から奪って自分の話をしてしまうことがよくあるので気をつけたいです(笑)。

話をするよりも大切、“趣味を見つけるお手伝い”

尾渡 でも、ご高齢の方は、若い人の話を聞いて、自分の経験を思い出したり元気をもらったりするということもあります。「こんなことがあったんですよ」と楽しい経験を話して「○○さんの若いころはどうだった?」と水を向けてみるのもいいと思います。

綾菜 言葉のキャッチボールを通して、元気になってもらえるといいですね。

尾渡 専門的には“プラスのストローク”というんですがほめる、認める、笑いかけるなどを心がけ、相手の心に栄養をためてもらいます。反対に、無視する、否定する、皮肉を言うなどは、元気を奪いますから避けたいですね。

綾菜 声のトーンや話すスピードなどで気をつけることはありますか?

尾渡 甲高い声より、綾菜さんのように少し低くてよく通る声のほうが聞き取りやすいです。はっきり、ゆっくり話すようにしたいですね。

綾菜 無口な人や、ネガティブになりがちな人には、どのようにコミュニケーションをとっていくのがいいですか?

尾渡 無理に話をしようとしなくてもいいんです。それよりも、何か楽しんでやれる趣味を見つけるお手伝いをするといいですね。散歩に誘うのもおすすめです。グチが多い方などは、自信を喪失していることが多いもの。

 何か小さな頼み事をして、感謝するようにしましょう。昔のアルバムを一緒に見て、若いころの思い出話をすることで楽しい気持ちになってもらえることもありますよ。

綾菜 意識すると違いますね。ありがとうございました。

加藤綾菜 

【最近の加トちゃん家】
 夏休み。海で夏を感じてきました。いつも、仕事以外では部屋に閉じこもってる加トちゃんも、船で日光浴をしてこんがり焼けました。コロナ禍で閉じこもりがちなので幸せなひととき。波の音と海風を感じながら食べる納豆ごはんは格別でした。翌日、自宅で朝食に納豆ご飯を出すと食べてくれませんでした。海マジックはすごい。

PROFILE●加藤綾菜(かとう・あやな)●1988年4月12日生まれ。2011年に加藤茶と結婚し、45歳の年の差婚で注目を集めた。夫を支えるため介護を勉強。「介護職員初任者研修」(旧ホームヘルパー2級)、「介護福祉士実務者研修」(旧ホームヘルパー1級)を取得。TWIN PLANET所属。

今回対談いただいたのは……●尾渡順子さん●医療法人中村会 介護老人保健施設あさひな、認知症介護レクリエーション実践研究会。現場において高齢者に「人と触れ合う喜び」を伝え、介護従事者向けに「高齢者とのコミュニケーション、レクリエーション」の研修講師を務める。介護情報誌やメディアにおいて執筆なども手がける。

《取材・文/中村裕美(羊カンパニー)》