『週刊女性』の直撃取材に笑顔で答える華原朋美('21年8月)

 華原朋美(47)が結婚した。相手は所属事務所の社長兼マネージャー。会見では、

抱き合ったときに、肌と肌が合う

 などときわどいおのろけも披露した。また、衣裳がかつてのライバル・安室奈美恵が結婚会見で着ていたものとそっくりだと話題に。相変わらず、ニュース映えする芸能人だ。

 それにしても、小室哲哉(62)との破局はかれこれ22年前。紆余曲折を経て、2019年には未婚のまま一般男性とのあいだにもうけた男児を出産した。その子にも、新しい父ができたわけだ。

華原で思い出す「中森明菜」と「宮沢りえ」

 破局といえば、彼女が小室と別れた1998年から遡ること約10年、中森明菜と近藤真彦('89年破局)、宮沢りえと貴乃花('93年破局)と大物カップルの破局が相次いだ。いずれも女性の側が不幸に見える構図であり、三者とも、破局が尾を引くようなつらい時期をすごした。

 特に華原は小室のプロデュースによって世に出た存在。公私ともに頼りにしていたパートナーを失い、迷走が始まった。心身の不調に陥り、睡眠薬や精神安定剤などのクスリにも依存して、休養と復帰を繰り返す。自ら作詞した『あきらめましょう』という意味深な曲を歌ったりしたが、あきらめきれないものがあったのだろう。

 30代半ばには家族の協力により、閉鎖病棟で「薬を抜く」ための隔離治療を受けた。2013年の『24時間テレビ』(日本テレビ系)では、その葛藤と回復までの過程が紹介され、代表曲の『I'm proud』を歌唱。兄が当時を振り返り、

フラフラ下着一枚で道路出て行ってしまうこともありました。ラムネを食べるようにボリボリと服用してしまう

 という状態だったと証言した。

 さて、この芸能界三大破局の「悲劇のヒロイン」3人のうち、最初にスランプを抜け出したのは宮沢だろう。激やせや自殺未遂疑惑といった騒動を乗り越え、演技派女優としての評価を獲得。実業家と結婚して、母にもなった。その後、離婚したが、森田剛と再婚。安定した活動を続けている。

 かと思えば「おひとりさま」的な人生を歩んでいるのが中森だ。歌手としての人気は健在で、2014年の『NHK紅白歌合戦』で4年5か月ぶりの芸能活動復帰は大いに注目された。

 もっと精力的な活動を期待する声も大きいが、体調も思わしくなさそうで、2017年に開かれたディナーショーを最後に表舞台には姿を現していない。2019年に亡くなった妹の中森明穂さんの葬儀にも来ることはなかった。

 そんなふたりの中間にいる印象なのが、華原。明治天皇の玄孫として知られる竹田恒泰らと浮名を流したあと、前述のように子供も産み、結婚も果たした。「明菜型」ではなく「りえ型」へと一歩近づいたようにも思える。

 ただ、彼女の未来が順風満帆だと予想する人はそう多くないのでは。筆者が不安を覚えるのも、結婚会見の様子からある伝説的芸能人のことを思い出したからだ。元祖アイドル、天地真理(69)である。

真理ちゃんと朋ちゃんの共通点

 1970年代前半、オリコン1位曲を連発して「白雪姫」の愛称で親しまれた真理ちゃん。その大ブレイクは四半世紀後にJポップの「シンデレラ」ともてはやされた朋ちゃんとダブる。そして、天地もまた、心身の調子を崩し、奇行が取り沙汰されるなどしたあと、入院して休養することに。その後、復帰しても全盛期の人気はなかなか戻らなかった。

 ただ、'86年に実業家と結婚して娘を生んだあと、バラエティーで再注目。いじられキャラのママタレとしてけっこう面白がられた。夫婦生活は10年で破綻したが、離婚会見時のふくよかな容姿をイジられたことからダイエットをして、それも話題になったものだ。

 離婚直前、筆者が取材した際にはカメラマンに向かって「悪かったわね、こんなになっちゃって」と冗談で笑わせたり。その開き直った明るさも、最近の華原と重なるのである。

 ちなみに、天地を育てた酒井政利プロデューサーはスターの条件として「幼児性とファナティシズム」を挙げている。要するに、子供っぽさと何かに熱中できる一途さということだろう。そのあたりも天地と華原は共通している。そんなスターとしての抜群な適性が、実生活にも向いているとは限らないというのが難しいところ。それゆえ、華原の未来にも不安を覚えてしまうわけだ。

 とはいえ、結婚会見で華原はデビューからの日々を振り返り、こう語った。

26年間の中でいろいろなことがあって、でも今はすべて幸せに思える自分が生まれました

 そんな気持ちでこれからも生きていければ何よりだ。ここは月並みながら「末永くお幸せに」というはなむけの言葉を贈りたい。

PROFILE●宝泉薫(ほうせん・かおる)●作家・芸能評論家。テレビ、映画、ダイエットなどをテーマに執筆。近著に『平成の死』(ベストセラーズ)、『平成「一発屋」見聞録』(言視舎)、『あのアイドルがなぜヌードに』(文藝春秋)などがある。