日本では約8800万人が利用するLINE。日々活用する読者も多いだろう。LINEアプリを開いて、どうしても目に入ってくるのがアイコンだ。あなたが使っているのはどんなものだろうか?
中年男女の“痛い”アイコン
別人のように加工された自撮り写真、高級シャンパンが写り込んだおしゃれなレストランの写真、セピアがかった子ども時代の写真……、読者世代が使いがちなこれらはすべてアウトだ。各世代に嫌われ“痛い認定”をされている。この人、痛い……。そう思われないためには、どんなアイコンにすればいいの? 世の中を“引き”で見渡せるコラムニスト、辛酸なめ子さんと一緒に考えた!
「他人様のLINEアイコンを見て“痛いな”と感じたことはないのですが、不思議な気持ち、モヤッとした気持ちになったことはありますね」
と、辛酸さんは穏やかだが、一般的な各世代が「痛い」と感じる中年アイコンはどんなものなのか、見てみよう。
「いかにもセレブな旅先の風景などのアイコン。金持ちアピールにイラッとする」(20代男性)、「自分にキラキラ加工を施す美魔女気取り。本人がキラキラしていないのに加工間違ってない?」(20代女性)、「可愛いスイーツの写真。許されるのは20代までだと思う」(30代男性)、「推定体重80キロくらいなのに別人のようにシャープに加工された顔写真」(50代女性)などなど、映えを狙いすぎ・盛りすぎの写真、経済力をにおわす写真が不人気だ。
「まず、あの小さな丸の中で己の理想の世界観を表現することに無理があるのでしょう。自分を加工で盛るアイコンは、40代くらいに多め。むしろ“加工後の姿が本当の姿”とさえ思っているような人もいそうです。
またブランドものや高級車などの持ち物を自慢してしまうのは、自然体よりも、自分の理想の姿、ワンランク上の自分を演出したい気持ちの表れかもしれません」(辛酸さん、以下同)
中年がついアイコンに自分の思いを詰め込んでしまうのはなぜだろう。
「インスタ世代ではないから、アイコンをインスタの投稿がわりに使っているのかもしれませんね」
たとえ“いいね”はつかずとも、必ず目に飛び込むアイコンで承認欲求を満たしているのかも。辛酸さんが見た中で印象的だったものは?
「知人女性のアイコンですが、本人の眼鏡だけ写った写真はシュールでした。知性アピールなのかな。あとはドアラやつば九郎といった野球チームのキャラなど、趣味全開のものを使うのは少し子どもっぽさを感じます」
確かに自分が好きな競走馬やパチンコなどをアイコンにするのは大人としてどうか。ほかに不人気だったのが、有名人とのツーショット。
「アントニオ猪木さんとツーショットのアイコンは“すごい人がバックについていそう”という印象でした。また自分が“似ている”と言われた芸能人の写真を使う人もいますね。自分でも本当に似てると思っているんだろうな、と感じてしまいます」
また、若者に人気の似顔絵系も中年が使うと微妙。
「可愛い似顔絵を使うには少し無理がある年ごろです」
名声や若さ。ついつい欲しいものを投影してしまう中年におすすめのアイコンは?
「風景や花はいいんじゃないでしょうか。そこまで自己愛が強くなさそうに思えます」
確かに単なる風景なら特別、自意識過剰な感じは出ない。しかし、もう少し個性を出せないものか……。
「いっそのこと仏像などはどうでしょうか。宗教観が出すぎてしまうかもしれませんが、癒し系です。トークの内容も格調が高くなりそう。地蔵もかわいいし、道祖神などもおしゃれですね」
ただし、石碑は向かない。
「とある石碑のアイコンを使う友人がいたのですが、アイコンのサイズで見てしまうと墓石にしか見えない。小さくなったときにどう見えるかを考えると、石碑はちょっと」
ちょっとした癒しやポジティブ感が中年のアイコンには必要なのかもしれない。
「やっぱり究極のポジティブは、自然や宇宙。私も自分で撮った太陽をアイコンにしています。ただ、次がないんですね、究極すぎて。次は月にしようかな、どうしようかな、というぐらいですね」
先日、年下女子の“浴衣の後ろ姿アイコン”のうなじにあざとさと羨ましさを感じた辛酸さんだったが、
「今さらうなじだの、横顔だのといったアイコンに戻れません。ある意味、もっと紆余曲折してから太陽にすればよかったなと思います。いろんなアイコンで悩んだり迷走するのも、人間の性やドラマがあっていいかと思います」
【中年男女が使ってはいけないアイコンランキング】
〈1位〉ナルっぽさ100%!『キメ顔』
ドヤッとクールにキメた写真は、仲よしの友達にも確実に引かれる。カメラ目線のものや、男性に多いメンチ切ってる風サングラス使いもアウトー!
〈2位〉年とったらダメよ!『動物加工』
カメラアプリSNOWが流行った時代には一世を風靡したが、今では使っている若者は皆無。そもそもデカ目に猫耳など中年には許されざる加工。即変更!
〈3位〉セピアがかってる!『若かりし日の自分』
オジサンに多く見られる“昔の運転免許証のオレ”、または少年時代の写真。「少年の心を持ち続けているよ、というアピールなのでしょうか」(辛酸さん)
〈4位〉美肌、デカ目、赤い頬『加工厨』
ついやりがちな美肌やデカ目の加工自撮りはナルシスト感だだ漏れ。最近ヤングに人気のキラキラしたグリッターエフェクトも中年がまねするのは危険だ。
〈5位〉セレブ感漂う『におわせ風景写真』
女性は豪華な食事や高級リゾートの風景、男性は高級車やゴルフ場など、経済力を見せつける写真は自慢臭がプンプン。あらゆる世代から嫌われる。
無難アイコンにもダメ出し!?
【犬、猫】
ペットを飼う人には定番のアイコン。だが「人のペットにそんなに興味がない」(40代男性)などの声も。
【子ども、孫】
「子どもの顔出し写真とかはどーなの?って思う」(50代女性)「まず本人が顔を出して」(30代女性)
【花、自然】
最も無難に思え、辛酸さんも推すが「つまらない、無個性」(40代女性)という辛辣な意見が!
世代別あるあるアイコン
若い子世代(10〜30代)「アバターや似顔絵が定番」
そもそも顔出ししないのが粋という世代。横顔や後ろ姿、アプリで作った自分のアバターや似顔絵イラストなどが定番。エモ流行りなので、レトロな食べ物なども人気。
読者世代(40~60代)「犬や猫、家族など無難な写真」
ペットや孫、子どもなどの家族写真が多い。「私のLINE友達のアイコンも、この世代はほとんどが犬猫か家族。次いで多いのはお花写真でしょうか」(辛酸さん)
高齢者世代「デフォルトの人物シルエット」
アイコンの作り方がわからないのか、高齢者に多いのが“アイコンなし”スタイル。人名だけだと老眼で相手がパッと判別しづらいので、何らかのアイコンは作ったほうがよさそうだ。
(取材・文/安川ヤス子、『週刊女性』アイコン取材班)