その年の差45歳。加藤茶さんの妻として健康を支え続けて10年目。「介護」はいずれやってくると覚悟を決め現在猛勉強中。そんな中で生まれた驚きや疑問。この超高齢社会に、前向きになれる介護情報を隔週でお届けします。
第7回 介護×自立支援
何でもやってあげることが介護ではない
─介護が必要な高齢者の自主性を尊重し、自立した生活を送れるよう支援する介護が近年、注目を集めています。ベネッセスタイルケア介護職員初任者研修講師の佐々木和代さんと語り合っていただきました。
綾菜 お久しぶりです。佐々木先生には、私が「介護職員初任者研修」を取得する際にご指導いただき、大変お世話になりました。
佐々木 こちらこそ。その後の綾菜さんのご活躍をとてもうれしく拝見しています。
綾菜 勉強を始める前は、介護とは「お世話をする」ことだと思っていて「自立を支援する」という発想は全然ありませんでした。
佐々木 みなさん、最初はそうですよ。もちろん、自立を支援するといっても、何が何でも自立させるということではありません。
要支援状態や要介護状態の方は何かお困りのことがあるわけです。介護する側はその方の状態をしっかりと見極め、できないところは助け、できることはどんどん自身でやっていただくという姿勢が大切なのです。
綾菜 加トちゃんに介護が必要になったら、何から何までやってあげたいと思っていましたが、それではいけないということを学びました。
日常生活でも、彼が自分でできることを一方的に奪っていたと反省し、健康寿命を延ばすためにもなるべく自ら動いてもらうようにしています。
佐々木 いいことですね。介護でも、日常生活のちょっとしたことはできるだけ見守って手を出さない。
例えば、リモコンを取って渡すのではなく、場所を教えて自分で取りに行ってもらう。それだけのことでも、立ち上がる→歩く→リモコンを取る→戻ってくる→座るという一連の運動をすることになります。
心が動いてこそ身体が動く
綾菜 加トちゃんも最近は、自主的にウォーキングに行くようになったし、メールもラインも自分で覚えて送れるようになりました。先日は料理までしてくれたんですよ。そんなときは、めいっぱいほめるようにしています。
佐々木 ほめられて気分が悪くなる人はいませんよね。高齢者の方は、人の役に立つことを喜ばれる方も多いです。施設ではお花が好きな方に「みなさん、きれいに咲くと喜ばれるんですよ」と声をかけると、いつも花壇におりてきて水やりを手伝ってくださるんですよ。
人それぞれの特性に合わせて工夫することで、動くことを増やせますよね。
綾菜 本当にそうですね。介護される側が自ら動きたくなるよう支援することこそが自立支援ですね。
佐々木 人間って、心が動いてこそ身体が動くと思うんです。無理に運動させようとするのではなく、その人の心を動かす言葉をどれくらい持っているか。自立支援のコツは「説得より納得」で、ご本人に納得していただくことがまずは大切だと思います。
綾菜 はい、私も納得です!ありがとうございました。
※次回は佐々木さんと“看取り”について語ります。
【最近の加トちゃん家】
わが家の愛犬のトイプードルを紹介します。まずは写真右の福くん。周りの方からは、よく加トちゃんに似てると言われます。左は茶子ちゃん。最近の茶子は加トちゃんを独占し、オヤツが欲しいと上目遣いにねだって毎日美味しいオヤツをもらうことに成功しています。以上、計算高い茶子ちゃんと昼寝が趣味の福君でした。
PROFILE●加藤綾菜(かとう・あやな)●1988年4月12日生まれ。2011年に加藤茶と結婚し、45歳の年の差婚で注目を集めた。夫を支えるため介護を勉強。「介護職員初任者研修」(旧ホームヘルパー2級)、「介護福祉士実務者研修」(旧ホームヘルパー1級)を取得。TWIN PLANET所属。
《取材・文/中村裕美(羊カンパニー)》