「ヤバい女になりたくない」そうおっしゃるあなた。有名人の言動を鋭く分析するライターの仁科友里さんによれば、すべてのオンナはヤバいもの。問題は「よいヤバさ」か「悪いヤバさ」か。この連載では、仁科さんがさまざまなタイプの「ヤバい女=ヤバ女(ヤバジョ)」を分析していきます。
桑子真帆アナウンサー、小澤征悦

第63回 桑子真帆

 秋篠宮家のご長女・眞子さまと小室圭氏が年内にご結婚される方向というニュースに、いろいろな意味で激震走る日本列島ですが、同じ日に世界的指揮者・小澤征爾の子息で、俳優・小澤征悦とNHKの桑子真帆アナウンサーも結婚を発表したのでした。

桑子アナに「弄ばれた」男性の告白

 2人の交際を最初に報じたのは『女性セブン』(2020年5月7・14日号)で、桑子アナが小澤の自宅から出てきて、愛車でデートする姿がキャッチされています。交際は順調そうと思われましたが、『FLASH』(2021年2月2日号)が《NHK桑子真帆アナ“不倫デート”プリクラを入手「弄ばれた9年」男性が自嘲告白》と桑子アナの“過去の行状”について報じています。

 不倫とは穏やかではない話ですが、記事を読んでみるとなんてことはない、学生時代のお話なのでした。男性は9年もの間、桑子アナに思いを寄せていて男女の関係ではありましたが、桑子アナの本命にはなれない。それでも、男性は桑子アナのことをずっと思い続けていたようですが、桑子アナに着信拒否やLINEをブロックされたことから「捨てられた」と思ってしまったようです。

 アナウンサーになってから不倫をしていたとか、小澤征悦と交際中にこの男性とかぶっていたというのなら話は別ですが、なんせ学生時代の話です。しかも、“証拠”はプリクラしかないので、ある意味「言ったもん勝ち」。ネットでも「いつの話だよ」と一笑に付されて終わった感がありました。

 しかし、この手のニュースがアナウンサーとしてのイメージにプラスになることはありません。『週刊実話Web』(2021年1月31日配信)は《NHK桑子アナ「奔放スキャンダル」で寿退社&フリー転身の将来に暗雲》と報じています。ひと言で言うと「貞操観念に問題のあるヤバい桑子アナに、小澤が愛想をつかすかもしれない」というような内容でした。

 民法では、結婚したら配偶者以外と性的関係を持つべきではないとしています。ですから、貞操観念がしっかりしているかどうかは、結婚願望のある男女にとって大きな判断材料のひとつとなるでしょう。

 しかし、貞操観念よりも、もっと大事なものがある人たちもいると思うのです。世の中にはごく少数派ではありますが、「自分の気持ちよりも、家もしくは親ウケを大事にしなくてはいけない人」もいるのではないでしょうか。

 たとえば、伝統芸能など「続いていくこと」を生業とする人。タレント・三田寛子は歌舞伎の名門・成駒屋に嫁ぎましたが、『ダウンタウンなう』(フジテレビ系)で交際時代を振り返って「周囲に認めてもらえるまで家・楽屋は出入り禁止」だったことを明かしています。どういうことかというと、「結婚が決まったわけではないのだから、楽屋とか主人の家に行くことは遠慮してくださいと言われた」とのこと。本人同士がよくても、家が許さない。「恋愛と結婚は別」の典型例と言えるでしょう。

偉大な父を持つ息子の行動原理

 反対に、初代運に長けた家というのも、「家を大事にする」傾向が強いように思います。一代で財をなした実業家が代表例ですが、小澤家も似たようなものでしょう。昭和の時代に、クラシックの本場で東洋人が指揮者になりマエストロと呼ばれるまでのぼり詰めることは、どれだけ大変だったかは想像に難くありません。そんな偉大な父を尊敬するあまり、父親の顔色を深読みする“父親第一主義”になっても不思議はないでしょう。

『ダウンタウンなう』(フジテレビ系)に出演した征悦は、後輩の俳優・和田正人からのタレコミで「品格のある女性を好む傾向にあり、ブランド好き」とヤバい人のように言われていましたが、そりゃ、世界の巨匠にフツウの女性は紹介できないでしょうよ。

 征悦と言えば、フリーアナウンサー・滝川クリステルと交際し、結婚間近との報道もありましたが、破局しています。『女性自身』の記事(2015年3月31日配信)は、原因をマエストロの反対としています。慈善事業や仕事に没頭する滝クリは交際する分にはいいが、嫁としてはどうなのかと反対したのだそうです親が反対したくらいで別れるなんてヤバいと思う人もいるでしょうが、偉大な父を持つ息子が“オトコのファザコン”化した場合、「お父さんの言うことはすべて正しい」と盲目的に信じ、判断に従ってしまうことはありえます。

 征悦と桑子アナが区役所に婚姻届けを出したのはマエストロの誕生日だそうです。結婚記念日を忘れないために、夫婦どちらかの誕生日に入籍したという話を聞いたことがありますが、父親の誕生日を選ぶという話はあまり聞いたことがありません。この事実ひとつとっても、いかに征悦にとって父親の存在が大きいかがわかるというものではないでしょうか。

2020年4月上旬、自宅周辺を散歩する小澤征爾

 そのマエストロも御年86歳。『週刊女性』(2020年5月12・19号)は《桑子真帆アナと熱愛発覚の小澤征悦、父の小澤征爾は1日5分『付き添い散歩』の日々》と報じています。マエストロとて寄る年波には勝てませんから、こうなると征悦は一刻も早く結婚しなくてはいけなくなるでしょう。ですから、多少のことはどうにかなります。幸い、桑子アナはNHKの人気女子アナというブランドがありますから、世界のオザワ家の嫁としてどこに出しても恥ずかしくない存在です。このように、通常なら横やりが入ってもおかしくないのに、とんとん拍子に結婚が決まることがあることから、「結婚はタイミング」と言われるのだと思います。

 人に後ろ指をさされるようなことはしないに越したことはありませんが、人間ですからいつも正しくは生きられないでしょう。世の中には逆恨み的な発想をする人もいますから、いきなり言いがかりをつけられることがないとも言いきれません。しかし、結婚は人格証明書ではないので、「いい人」「正しい人」がするものではないのです。タイミングが合うかどうかが一番大切で、相手の価値観をつかさどるキーパーソンを見つけることで、タイミングをぐっと近づけることができるのではないでしょうか。


<プロフィール>
仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ。会社員を経てフリーライターに。『サイゾーウーマン』『週刊SPA!』『GINGER』『steady.』などにタレント論、女子アナ批評を寄稿。また、自身のブログ、ツイッターで婚活に悩む男女の相談に応えている。2015年に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)を発表し、異例の女性向け婚活本として話題に。好きな言葉は「勝てば官軍、負ければ賊軍」