映画『空白』で、古田新太は万引き未遂がきっかけで娘を失い、モンスターのように暴走する漁師の添田充役に。松坂桃李は添田の娘の万引き未遂を目撃し、追いかけたことで車にひかれる原因をつくったスーパーの店長の青柳直人を熱演。
物語は“娘が万引きなどするはずがない!”と迫り来る狂気の添田が、青柳が土下座して泣いても決して許さず、その怒りの矛先は家族や周囲の人々にも向かい人生を握りつぶしていくヒューマンサスペンス。実写映画は初共演という2人に、撮影秘話から近況までたっぷりと聞いた。
なじみ方が尋常じゃない
――古田さんと松坂さんの共演は声優を務めた『パディントン2』('18年)以来です。
古田 録音は一緒じゃなかったんですけど、あのときは、桃李がパディントンでオイラがブラウン家のお父さんの役。すごく愉快な作品だったけど、今回はもう追い込んで追い込まれてで。
松坂 パディントンから比べたらもうギャップでしかないですよ。あれだけ受け入れてくれたお父さんが、全然受け入れてくれないんですから。
古田 アハハ。
――今回、実写で初共演されて、お互いの印象についてはいかがでしたか。
松坂 僕はみなさんより少し遅れて撮影に入ったんです。蒲郡で撮影したんですが、現場に入ったら、古田さんの漁師姿が違和感がなさすぎてびっくり。ここにずっと住んでいたのかなというくらい(笑)。
古田 映画を撮るときは、3件くらい居酒屋さんをローテーションで回り、そこの常連さんと仲よくなって地元の空気感を感じるというのがいつものパターンかな。
松坂 もう最初からなじみ方が尋常じゃないと思っていたら、店を回って役作りをされていたんですね(笑)。
古田 桃李とは今回、敵対する役じゃないですか。たまに撮影の合間に話しかけると“役柄的にはそういうのはちょっと”って言う俳優さんもいらっしゃるんですよ。実名は出しませんが(笑)。
松坂 僕は何も言えません(苦笑)。
古田 なので、本番以外はオフれる人でよかったなと思いました。
古田が松坂に缶ビールを投げつけた!?
――撮影は過酷なシーンも多かったと思います。
松坂 僕は結構きついシーンが多かったですね。寺島しのぶさんがスーパーの店員役で出演されているんですが、古田さんとしのぶさんに挟まれて演じるシーンは、すごい迫力でしんどかったです。
古田 そうだったんだ。
松坂 大変でカロリー使うなって思いましたし、毎回、おふたりとのシーンがあると思うと憂うつでした(笑)。
古田 オイラは楽しかったですね。各女優陣を怒鳴れましたし(笑)。あと、夜道を早足で逃げる桃李を“おい!”って言いながら追いかけて缶ビール投げつけたのは楽しかったな。
松坂 あれは嫌でした。基本、怖いシーンが多いんですけど、スーパーから出てきて古田さんがただ佇んでいるだけとか、何げない場面が地味に恐怖を感じましたね。
――今回はハードな関係の役でしたが、次回共演するならばどんな役を演じたいですか。
松坂 次回作は『パディントン3』がいいですね。
古田 しかも実写版で。
松坂 ということは、僕は実写版パディントン役ですね。
古田 ハートウォーミングな感じがいいよね。お父さん役をオイラが演じると、こう変わるというのをぜひ見せたい。
松坂 それはぜひ見たいです。最終的には家族になるみたいなのもいいですし。
古田 今回、これだけ対立したから、最終的には家族になって2人で伊豆に行くみたいな展開にしよう(笑)。
最近の至福の時間
古田 基本的には居酒屋で知らない人としゃべっているのがいちばん楽しいけど、それがいまは叶わないので……。
松坂 本当、できないですよね。僕は家にいる時間が増えたので、海外のドラマとか見るようになりました。見たことなかったんですよ。韓国ドラマとか自分の中でピンとくるものがなかったですけど、周りが面白いって言われて見たら、すごく面白くて。
古田 そうなんだ。オイラもゾンビものとか、いくつかすすめられて見たけど、全然面白さがわからなくて。海外ドラマ見るより、映画を見るかな。
松坂 映画もいいですけど、面白いので今度見てください。
『空白』
9月23日(木・祝)全国公開
配給:スターサンズ/KADOKAWA
PG-12 (C)2021『空白』製作委員会