現在は安全のため、エスカレーターでは両側に立ち、歩かないことが推奨されているが、つい片側を空ける人も多いのでは?(写真はイメージです)

 思わず誰かにLINEしたくなる! 知って楽しい、おもしろ雑学を2つ紹介。今回は、関西でエスカレーターの「右立ち」文化が生まれた背景と、鮭とサーモンの違いについて。

関西独自のエスカレーター文化

【Q】なんで関西はエスカレーターで右側に立つの?

【A】阪急電鉄のアナウンスがきっかけです。

 エスカレーターに乗る際、急いでいる人のために東京などでは左側に立って右側を空けるが、大阪などの関西では右側に立つことが多い。全国的には東京と同じ「左立ち」が主流だが、なぜ関西では「右立ち」なのだろうか。大阪の文化に詳しい相愛大学客員教授の前垣和義さんに話を聞いた。

関西でエスカレーターが右立ちになったのは、阪急電鉄のアナウンスがきっかけです。1967年に、阪急梅田駅(現大阪梅田駅)に関西で初めて1階から3階までの長いエスカレーターが設置されました。そこで阪急電鉄は急ぐ人のために片側を空ける必要があると考え、『お歩きになる方のために左側をお空けください』とアナウンスを始めたのです」

 実際にエスカレーターを利用している人を観察したところ、右側に立っている人が多かったため、左側を空けるように求めたという。

 しかし、それですぐに右立ちが定着したわけではないらしい。

 1970年に開催された大阪万博が右立ちが定着したきっかけという説もあるようだが、前垣さんは、大阪万博はとても混雑していて左側を空けるどころではなかったはずだと話す。

万博のしばらくあと、銀行のATMコーナーに割り込み防止のためのロープが張られ、順番に並ぶようになりました。このことをきっかけにマナーに対する意識が高まったこともあり、エスカレーターでも右側に立つ習慣がマナーとして根づいたのだと思います

鮭とサーモンの違い

【Q】鮭とサーモンってどう違うの?

【A】生食できる養殖された鮭をサーモンと呼ぶことが多いです。

鮭は鮮やかな赤い身が特徴だが、実は白身魚。赤くなるのは甲殻類を食べるからで、養殖ではエサで身の色を調整している(写真はイメージです)

 寿司ネタやスーパーの刺身コーナーで人気のサーモンだが、鮭とサーモンはどう違うのだろうか。

 標津サーモン科学館の市村政樹館長によると、「寿司ネタなどに使われるサーモンの多くは海外で養殖されたアトランティックサーモンやニジマスです。このニジマスはサーモントラウトという名前で商品化されています。どちらも鮭の仲間ですが、近年では、生でも食べられる養殖された鮭のことをサーモンと呼ぶことが多くなっています」とのこと。

 川に遡ってくる天然の鮭には寄生虫がいるため、一度冷凍するなどしないと生では食べられない。そのため、寿司のネタにはならず、焼くなどして食べている。

 一方、1980年代になって輸入されはじめた海外の養殖された鮭は、寄生虫がとても少ないため生で食べることができ、寿司ネタなどに使われるようになった。その際、生で食べられない鮭との違いを強調するために、鮭ではなく、サーモンと呼んだのではないかという。

「現在では日本国内でも鮭の仲間が盛んに養殖されていて、生でもよく食べられています。『サーモン=生食』というイメージが定着しているからか、それらもサーモンと呼ばれることが多いです」(市村さん)

 例えば、いよかんエキスの入ったエサを食べて育つ「宇和島サーモン」や潮の流れの速い津軽海峡沖で養殖される「海峡サーモン」などが、ご当地サーモンとして人気だ。

 エサや育て方に特徴のあるサーモン、お刺身で楽しんでみてはいかがだろうか。