ALFACE+(オルフェス)新イメージモデル&新CM発表会での木下優樹菜('19年1月)

 ユッキーナこと木下優樹菜(33)がまた世間を騒がせた。発端は8月30日、自身のインスタグラムに投稿されたドライブ中の写真。ボカシの入ったスピードメーターが150㎞を指しているのではと指摘され、速度違反疑惑が持ち上がったのだ。

木下優樹菜、引退してもインスタでお騒がせ

 おバカタレントからママタレへ、順風満帆だった彼女の芸能人生が暗転したのは一昨年11月のタピオカ騒動。姉が働いていたタピオカ店の経営者に対し、

「これからの出方次第でこっちも事務所総出でやりますね」

 といった恫喝的メッセージを送っていたことが叩かれ、活動を自粛した。

 その8か月後、活動を再開したものの、わずか5日後に所属事務所が契約解除と引退を発表。そこには「信頼関係を維持することが著しく困難である」などと記され、その背景として、サッカー選手との不倫も取り沙汰された。

 にもかかわらず、彼女はフリーで活動を再開。アパレル企業のモデルを務めたりしている。インスタがメインとはいえ、緊急事態宣言中のバーベキュー写真が炎上するなど、お騒がせぶりも健在だ。

 かつてのおバカ仲間と比べても、里田まいはともかく、スザンヌよりは売れている印象である。

 引退したはずなのに、こうして世間をざわつかせ続けられるのはなぜなのか。これは時代の変化が大きい。SNS文化の発達により、芸能事務所に所属していなくても、個人での活動がしやすくなったのだ。

 おかげで芸能界的には「死んだ」はずなのに、世間的にはまだまだ「生きている」という亡霊みたいなサバイバルが可能になった。これは彼女の師匠でもある島田紳助の引退後にも似ている。もちろんそこには、紳助同様、彼女にも世間がついつい注目してしまうカリスマ性があることも見逃せないだろう。

 ただし、本人が消えるつもりなら、それも可能だ。しかし、引退後の活動を見てもその気配はない。芸能活動、というより、ちやほやされることへの執着が感じ取れるのだ。

ユッキーナのヤンキー精神

 その理由を突き止めるため、過去の発言をひもといてみた。すると、やはりというかなんというか、ヤンキーならではの精神性が見えてくる。例えば、藤本敏史とのなれ初めを明かしたときの言葉だ。

「おばあちゃんになってもこういうふうに仲よく旅行できたらいいな、って思えたんです」

 タピオカ騒動の直後に離婚したものの、本名は今も藤本姓。彼女が育てている子どもたちを毎日のように藤本に会わせるなど、交流も続いているという。1度付き合ったら一生モノというのが、ヤンキーの美学なのだ。

 モデル時代から仲のいい佐々木希との対談でも、当時お互いが未婚だったことから「結婚しても、家族ぐるみだね」「そこから、おばあちゃんになってもね」「本気の関係だからね。ずっと心友!」などと語っていた。

 佐々木も元ヤン伝説がささやかれる人なので、気が合うのだろうかとか、運命が暗転した者同士、今は愚痴り合っていたりしてとか、いろいろ興味深いが、注目すべきはここでも出てくる「おばあちゃんになっても」というフレーズだ。ヤンキー的な一生モノ感覚が、ここには凝縮されている。

 そんなわけで、彼女にとっては芸能活動、いや、ちやほやされることへの執着も一生モノなのではないか。だから、おばあちゃんになってもこういうことをやめるつもりはないだろう。タピオカがすたれても、ユッキーナは消えず。先はまだまだ長い。

PROFILE●宝泉薫(ほうせん・かおる)●作家・芸能評論家。テレビ、映画、ダイエットなどをテーマに執筆。近著に『平成の死』(ベストセラーズ)、『平成「一発屋」見聞録』(言視舎)、『あのアイドルがなぜヌードに』(文藝春秋)などがある。