その年の差45歳。加藤茶さんの妻として健康を支え続けて10年目。「介護」はいずれやってくると覚悟を決め現在猛勉強中。そんな中で生まれた驚きや疑問。この超高齢社会に、前向きになれる介護情報をお届けします。
第8回 介護×看取り
“ありがとう”であふれた最期を迎えるには、日ごろの会話が大切
─介護の末にいずれやってくる永遠の別れ。心構えや向き合い方について、ベネッセスタイルケア介護職員初任者研修講師の佐々木和代さんと語り合っていただきました。
綾菜 先日、たまたま「世の中に“絶対”はないよね」という話になったとき、加トちゃんが「でも、どんな人でも死ぬというのは絶対にあることだよ」と言ったんです。確かに、普段は意識しないし、あまり考えたくないけど、死というのは決して避けられないことですよね。
佐々木 そうなんです。この仕事をしていてよく感じるのですが、日本は死について話し合うことをタブー視する傾向があるように思います。
お墓をどうするかとか、亡くなった後のことは心配しても、余命6か月くらいになった看取りの時期に自分はどうしたいのか、具体的な話をしていない方がとても多いんです。
綾菜 いざそうなるとアタフタしそうですから、元気なうちに話し合っておいたほうがいいですよね。でも、いったい何を話せばいいのか……。
佐々木 私は、話し合っておくといい10項目を授業などでもよくお伝えしています。
綾菜 それはぜひ、教えていただきたいです。
佐々木 (1)どこで亡くなりたいのか。自宅なのか、病院なのか、施設なのか。(2)延命措置はどこまで希望するのか。(3)苦痛が伴う場合の症状緩和をどこまで希望するのか。(4)自分で食べられなくなったらどうするか。(5)延命措置などを受けた場合の経済的負担を、家族と理解しておく。
ここからは死後のことになります。(6)葬儀の形など、死後の儀式についての希望。(7)遺産相続をどうするのか。(8)大切なものを誰に委ねるのか。(9)まだ元気なうちに会っておきたい人、伝えておきたいこと、やり残していること。(10)遺影の準備。もしあれば最期のときに着たい服。
だいたいこういうことについて、元気なうちに話し合っておくといいと思います。
できるだけ本人が望むような最期を
綾菜 今は医療が進歩して、延命にしても選択肢はいろいろ。あらかじめ本人の希望を聞いておかないと、いざというとき頭が真っ白になるかも。
佐々木 みなさんそうなんですよ。お伝えした10項目を一度に決めるのは無理だと思いますから、機会があるごとに少しずつ考えていくといいですね。介護する側は、ご本人から少しずつヒアリングしていただきたいです。もちろん、変更してもいいんです。私は毎年、親の誕生日に聞き直すようにしています。
綾菜 介護する側としては、できるだけ本人が望むような最期を迎えさせてあげたいと思いますよね。
佐々木 やっぱり「ありがとう」があふれだすような最期であってほしいですよね。好きな音楽や香りで満たしてあげて、最期まで家族のぬくもりが感じられる看取りが理想的。そのためにも家族間での日ごろのコミュニケーションが大切だと思うのです。
【最近の加トちゃん家】
数年前からわが家は減塩料理。でも先日、栄養学の勉強会に参加したときに“大病した人や高血圧の人は塩分を今よりもう少し減らしてみて”と。早速、塩分濃度計を買い、本で勉強して食塩分量2gに抑えた食事を作ったら、普通においしい! 私のむくみがとれるミラクルも。もっと勉強をしておいしく減塩できる食事を極めたいです。
PROFILE●加藤綾菜(かとう・あやな)●1988年4月12日生まれ。2011年に加藤茶と結婚し、45歳の年の差婚で注目を集めた。夫を支えるため介護を勉強。「介護職員初任者研修」(旧ホームヘルパー2級)、「介護福祉士実務者研修」(旧ホームヘルパー1級)を取得。TWIN PLANET所属。
《取材・文/中村裕美(羊カンパニー)》