山添拓議員(SNSより)

「彼は若いのに、政治家としてものすごく優秀な人物。これらの党を背負っていく人材ですよ。だから、今回の一件は残念ですね。本人も“軽率だった”と反省していますが、私どももみんなで叱咤、叱責したところです

 そう嘆くのは、日本共産党の重鎮である穀田恵二衆院議員。“彼”とは、同じ共産党で東大卒の元弁護士という経歴を持つ山添拓参院議員(36)のことだ。そんな生粋のエリートがやらかしてしまった――。昨年11月、埼玉県長瀞町を走る秩父鉄道の線路に無断で立ち入り、埼玉県警が鉄道営業法違反の疑いで書類送検していたことが、18日に判明した。

 山添議員は鉄道ファンで、とくに列車の写真撮影を趣味とする“撮り鉄”だ。その日は、鉄道のイベントで長瀞町を訪れていたときだったという。なぜ違法行為をしてしまったのか――。山添議員に話を聞いた。

「線路を1秒ほど横切っただけです。線路上で撮影をしていたわけではありません。そこは線路脇の側溝に、地域の住民が架けたと思われるコンクリートの板があった。周囲の道も踏み固められていたので、普段から利用されているものと思ってしまい……」

 だが、現場にいた警察官に呼び止められて、

「軽犯罪だと告げられていました。そのときは書類送検されるかどうかはまだわからなかった。翌日、党本部にはすぐに報告して、厳重注意処分を言い渡されました」(山添議員)

離党は考えていない

 離党については、

「書類送検で、起訴や有罪にはまだなっていないので、いまの段階では離党などは考えておりません。ですが、そうなったときにはじっくり考えてからどうするか決めたい」(同・山添議員)

山添議員は自身のツイッターで違法行為を弁解

 だが、違法行為をした具体的な場所についてだけは“いまは差し障りがあるので、具体的には言えない”と口を閉ざしてしまった。

「長瀞町のポイントなら、あそこしかないよ。撮り鉄ならみんな知っている」

 そうこっそり教えてくれたのは、撮り鉄歴40年の男性。おそらく、その場所は秩父鉄道の樋口駅から北東方向へ700mほどのところだという。そこで、取材班は現地へ。

ここは撮り鉄が多いところでね。汽車は朝10時と、午後3時の1日2回だけしか通らないんだけど、人が結構、集まるのよ。とくに桜がきれいな春はすごいよ。地元民からすれば、汽車なんて煙で洗濯物も畑も汚れるから、迷惑なだけなんだけどね(笑)」(現地の住民)

山添議員が横断したと思われる簡易踏切(秩父鉄道敷地外から撮影)

 山添議員が違法行為をしたと思われるポイントに向かうと、まず5、6台が停められる駐車場が現れた。その駐車所の裏側にまわってみると、少し下る小さな土手のようになっていて、その先に秩父鉄道の線路があった。その線路脇の側溝にコンクリートの板2枚が架けられていて、“簡易踏切”のようになっていた。

「ここらは一面畑だったんだけど、そこに線路があとから通った。数十年前、その駐車場があった場所に一軒家が建っていて、鉄道会社が線路を渡って畑に行けるようにするために作ったって聞いているよ」

住民に罪をなすりつけている

 つまり、地域住民が勝手に架けた私設踏切ではなかった。別の住民はこう憤る。

山添議員は“地域の人が架けたもの”みたいなことを言っているみたいだけど、“勝手踏切”扱いされるのは心外ですね。まるで我々に罪をなすりつけているかのよう。違法行為をしたのは、山添議員なんですから

 また山添議員はこの踏切を“普段から利用されているもの”と判断していた。住民は実際、どの程度利用しているのか?

「いやー、踏切の向こうに畑はあるけど結構放置しているものもあって利用する人はほとんどいない。たぶん、1日に1人いるかいないかじゃないかな」

 前出の撮り鉄40年の男性は、

「今回の報道は大げさ。無断で線路を渡ることは決してよくないが、それを言われたら、撮り鉄の99%はアウトですよ」

 とフォローするが……。“みんながやっているから”と、違法行為をしてしまう国会議員はいかがなものか――。