「あっという間ですね」(爆笑問題・太田光)
毎週日曜、午前9時54分から放送されている『サンデー・ジャポン』(TBS系)。2001年から放送がスタートした当番組が26日、丸20年を迎えた。
“何を言うかわからない”面白さ
『サンデー・ジャポン』(以下、サンジャポ)といえば、MCの爆笑問題の太田光、田中裕二を筆頭に、デーブ・スペクター、テリー伊藤、細野敦(弁護士)といったおなじみのメンバーから、準レギュラーとして杉村太蔵が出演。さらに壇蜜、藤田ニコル、池田美優、りゅうちぇる、フワちゃん、ひろゆき(西村博之)といった旬な人たちをゲストに迎え、意見を交わしながら芸能から政治、事件などその1週間のニュースを振り返っていく。
「真面目なニュースを取り扱いながらも、笑いあり、おふざけもありと独自のスタイルを貫いてきました。出演者らの型にハマった答えではなく、“何を言うかわからない”というのもまた、サンジャポならではの面白さです」(テレビ局関係者)
過去には、西川史子、高橋ジョージ、今は亡き飯島愛さんなどもレギュラーメンバーで、数々の有名タレントが出演してきた。また、進行アシスタントとして、青木裕子や田中みな実が出演し(現在は山本里菜アナウンサー)、太田らにイジられていたのも記憶に新しい。
「とにかく今も昔も変わらず、出演者全員、キャラが濃い(笑)。さらに“これ、誰?”といったモデルやインフルエンサーがゲストに呼ばれることも。太田さんの無茶振りも相変わらずですが、ただのおふざけじゃない。出演者たちの歯に衣着せぬ発言が毎回話題になっています」(同・テレビ局関係者)
テレビの発言がネットニュースに取り上げられ、何かとすぐに炎上する昨今。平日のワイドショーでは“空気を読む”コメンテーターが多く見られ、それゆえに忖度などと批判を浴びることも多いが、サンジャポはむしろその逆といった印象だ。
視聴者の中には<うるさいから苦手><悪ふざけが酷すぎて見てられない>と言った声もあるが、それでもこの番組が評価を得て、続いているのは事実。
このスタイルが“ウケる”理由はなんなのか。さまざまな番組が生まれては消えていく厳しいテレビ業界で、20年も続く人気の理由はーー。
過激なところも“しっかりやる”
「前提として、平日のワイドショー番組とは違って『サンデー・ジャポン』はバラエティーとしてやっているんです。司会の爆笑問題さんをはじめ、テリー伊藤さんやゲストもバラエティーのメンバーなので、真面目さもあるんだけどそんな硬い感じでもない。
裏番組の『ワイドナショー』(フジテレビ系)が、“タレント出演者の個人の見解です”とお断りを入れていますが、それはむしろサンジャポが元祖。SNSが普及する20年前から、炎上上等じゃないですけど、SNSで盛り上がりそうなことをやっていました。
賛否両論の“否”も多いわけじゃないですか。過去に出演されていた西川史子さんなんかも悪役を買って出るというか、わざと見出しになるようなことも言ったりして。ちょっと過激なところもしっかりやる、というところも含めて、情報エンタメショーなんです」
そう話すのはテレビ解説者でコラムニストの木村隆志さん。賛否の“否”もありながら、ここまで続いている理由をこう分析する。
「最近は批判する文化が広まり、どんどんヒートアップしていっています。サンジャポも槍玉に上がりがちですが、あの番組はもともとそういう番組ですからね(笑)。サンジャポが先駆けというか、だから生き残り続けているのかなと。もし似たような番組があって後発だったら、あそこまでのインパクトは出せなかったのかなと思います。
生放送って本当に難しいんです。今でこそ『バイキング』など討論する番組もありますが、サンジャポはただの討論ではなく、バラエティーとしての“討論ショー”みたいな形になっているので、もっと大変。一見、危なっかしく感じる出演者の発言ですが、差別やハラスメントのような本当にダメなところには触れていない。あのメンバーでバランスよくできているので、20年も続いているんだと思います」(以下カギカッコは木村さん)
若いゲストが多いが、実際、視聴者も若い年齢層狙いなのだろうか。
「幅広いと思います。サンジャポの前に放送されている『サンデーモーニング』は圧倒的な高齢者番組で、TBS的にはそこから流れてくる人もほしいですし、ゲストに気鋭のモデルさんやギャル系、SNSで人気の人たちを入れたり、旬の人を入れることで若い人たちも狙っていきたい。日曜日の昼は数字が取れる時間帯ですし、生放送で時事をいち早く扱えるので、全世代対応型だと思います」
『ワイドナショー』より強いワケ
2016年には『ワイドナショー』が日曜10時〜11時15分の放送となった。
「もちろん影響はありました。ずっと松本(人志)さんを見てきた人たちは、何を言うんだろうと気になっていたと思いますし、始まった当初はみんな『サンジャポ』にしたり『ワイドナショー』にしたりチャンネルを変えたりして、視聴率で見ても僅差だった。でも今は『サンジャポ』の方が数字はいいです。
やっぱり『ワイドナショー』は基本、収録ですからね。金曜の夜に収録していたのが土曜になるなど以前より生放送に近づいたものの、やっぱり『サンジャポ』の“生感”には勝てない。情報が一日前で止まってるんです、コロナひとつとっても。
それに『ワイドナショー』は松本さんと仲間たちという感じで、松本さんのことを好きな人が見ているイメージ。芸人関係のネタは『ワイドナショー』の方が注目を集めることもありますが、幅広いところを狙えているのはサンジャポだと思います」
そんなサンジャポ、今後も終わることなく続いて行くのでは、と木村さん。
「どこかの番組にマネされて内容が薄まったり、その他大勢の番組に紛れ込む感じもないので、終わる要素はないんじゃないでしょうか。番組そのものに不祥事がなければですが。
爆笑問題って時事漫才。コロナとか芸能人の不倫とか、幅広い時事ネタを扱うサンジャポの司会をやることは、自分たちの漫才にも繋がるし、すべて地続きなんです。漫才も生放送みたいなものなので、サンジャポをやっている限り生放送にも強いし、喋りや漫才が衰えることもない。おふたりにとってもサンジャポのMCを務めることはメリットのほうが大きいのではないでしょうか」
むしろ、前後の番組の方が終了の可能性は高いという。
「サンジャポの前後は『サンデーモーニング』『アッコにおかませ!』。その2つの番組には終了を望む声が何年も続いています。TBSは日曜日は朝から昼過ぎまでずっと生放送続き。サンジャポにも批判はありますが、まずはその2つの番組の方が先だろうという意見が根強いです。
『アッコにおまかせ!』は数字がとれなくなってきましたし、『サンデーモーニング』は出演者たちが高齢すぎる。終わるなら、その2つのどっちかが先になるでしょう」
ほかにはない“強み”を持った唯一無二のジャーナリズムバラエティー。今後も日曜の朝を盛り上げていくことだろう。