男性4人組ムード歌謡グループ『純烈』のリーダー、酒井一圭(46)を脅迫した疑いでファンの女性(65)が9月16日までに逮捕された。
暴走する過激なファン
「女性は6月ごろ酒井あてに、切り刻んだ男性用パンツや包丁を郵送したんです。女性は同グループの後上翔太(34)のファンで、リーダー・酒井の後上に対する“いじり”が許せなかったと供述。約2年半前からファンクラブの会員で後上さんへの応援は熱心だったそう」(スポーツ紙記者)
その熱心さが犯行へと突き動かしたのだろうか。推しメンバーへの態度が気に入らないとしてファンが行動を起こした事例は今回だけではない。今はジャニーズグループを統率する立場であるタッキーこと滝沢秀明もかつてはその被害に。
「'07年、タッキー&翼のコンサートで包丁を持ってステージに近づいた女性がいました。“りんごの皮をむいてほしかった”と話したそうですが、その後自らネット媒体のインタビューに登場した女性は今井翼さんのファンであることを公言。同時に“タッキーは悪魔”などの発言を繰り返していたので翼愛をこじらせた“りんご女”として有名になりました」(スポーツ紙記者)
ジャニーズはファンの分母が大きいだけに、こんな“ヤラカシ”事件が後を絶たない。
「ヤラカシと呼ばれるのは行きすぎたファンのことです。メンバーが嫌がるそぶりを見せているのにほぼ毎日真横にぴったりとくっついて離れないなど、恐ろしい存在です。
今年3月に『関ジャニ∞』の男性マネージャーにつきまとったとして逮捕された女性は『Hey! Say! JUMP』の中島裕翔さんの有名なヤラカシで、'17年にも逮捕されています。ヤラカシ行為に注意している推しの姿をケータイ動画で撮影したりと、まったくこたえていません。
同グループに以前在籍していたメンバーの森本龍太郎さんは当時17歳だった少年につきまとわれケータイを奪われるなどし、相手の少年は窃盗の疑いで逮捕されています。当時10代だった中島くんや森本くんにとっては相当な恐怖を植えつけられたでしょうね」(同)
ジャニーズのヤラカシについては大倉忠義(関ジャニ∞)がファンサイトで苦言を呈するなどしているが、収まる様子はないという……。
スターは外を歩けばファンやマスコミに追われ、落ち着くのは自宅だけ……と思いきや、自宅も落ち着かない場所に。
不法侵入や暴力行為も
「福山雅治さんは、熱心なファンが自宅を突き止めたのち、そのマンションのコンシェルジュとなって自宅に侵入しました。妻で女優の吹石一恵さんが帰宅した際、侵入者に遭遇。女性はすぐさま逃走し、吹石さんに危害がなかったのが救いです。
“(福山の)ギターが見たかった”などと供述していましたが真相は謎。侵入事件の翌日も長かった髪をショートにしてマンションに出勤した犯人、図太すぎます。
また、吹石さんと結婚したころからネット掲示板で福山さんに対する誹謗中傷がひどかったのですが、この女性が逮捕勾留されている期間はぱったりとその書き込みがなくなった。書き込みもこの女性だったと推測されます。
もし彼女が書き込んでいたとしたら、勾留が解かれてから書き込みが再開したので反省していないんじゃないか、と思ってしまいます」(同)
ミュージシャンが書く愛の詞を自分のことだと勘違いするファンは少なくない。
「スピッツのボーカル、草野マサムネさんの熱烈なファンの女性が約10年にわたってマサムネに執拗なセクハラを繰り返していました。
本人に直接会えるわけではないので、使用ずみの生理用品や猥褻な動画などを送りつけていたそうです。この女性に関してはいわゆる“リアコ”(推しに対してリアルに恋してしまうファンの略称)の一種でネット界隈では知らぬ者はいないほどの伝説と化した案件です」(同)
今よりもファンが過激だったとされる昭和。
浅草の劇場でコンサート中の美空ひばりさんにファンが塩酸をかけるという事件が発生。
「昭和の芸能史、特に“暗黒史”を語る際には真っ先に思い出される怖い事件ですね」
とは芸能ウォッチャーの神無月ららさん。
「昭和32年、当時のひばりさんは19歳。押しも押されもせぬ大スターだったひばりさんと、その顔に塩酸をかけた少女は同い年でした。
集団就職で故郷からひとり上京し、都内でお手伝いさんとして働いていたというその少女は、ひばりさんに憧れていたそうです。
幸いひばりさんが濃いステージメイクをしていたことが顔を救ったという。被害も伝説のエピソードに変えてしまう、スターの凄みを感じます」(神無月さん、以下同)
ファンがアイドルに暴力をふるう衝撃の事件も。
「'83年、沖縄のコンサート会場で『渚のバルコニー』を歌う松田聖子さんにプラスチックパイプを何度も振るったのは、やはりファンの19歳の男性でした。
殴られたショックで聖子ちゃんは失神、コンサートは当然のことながら即中止になり、会場には悲痛なファンの怒号が渦巻いていました」(同)
アイドルの受難は今も昔も変わらない。次期朝ドラ主演が決定している川栄李奈もその憂き目に。
「'14年、AKB48の握手会で川栄李奈さんと入山杏奈さんがのこぎりを持った男に襲撃されるという惨事が起きました。以降、川栄は握手会は恐怖で出られなくなり、翌年に卒業を発表しました」
犯人はどこ?未解決事件
ファンが起こした事件とされるが真相がわからないものも。
「'86年近藤真彦さんのお母様の遺骨が盗まれるという事件が起きました。“返して欲しくばレコード大賞を辞退しろ”と脅迫文まで届き、賞レースに参加していたほかの歌手のファンの犯行などと噂されましたが、いまだに真相は謎。近藤さんはその年、『愚か者』で大賞を受賞しました」
被害者のアイドルが誹謗中傷されるという構図もこのときからあった。
「'77年当時、アイドルだった岡田奈々さんが数日間、男に監禁されるというショッキングな事件が起きました。
ワイドショーなどで連日報道されましたが犯人が捕まらないことで“自作自演”などのセカンドレイプともいえる誹謗中傷に悩まされたと岡田さんはのちにインタビューで語っています」(同)
周囲に被害が及んだケースも。
「'94年、当時人気子役だった安達祐実さんの所属事務所に小包爆弾が届いたんです。社員が小包を開けたところ爆発。左手の親指を失う重傷を負いました。安達さんはこの事件に強いショックを受けたといいます」
いずれも犯人は逮捕されていない。
奇行を起こした女優もいた!
芸能人自らが奇行を起こしたこんな事件も。
「'03年6月、女優の藤谷美和子さんが皇居・坂下門にタクシーで乗りつけ“紀宮様は私の妹です”と侵入を試みるという珍事件が起きました。
熱心な黒田清子さんのファンだった、とのちに親族が弁明しましたが……。藤谷さんは今でも公安の監視対象となっているそうです」(同)
SNSの普及などで推しとの距離が近くなった昨今。その愛ゆえの“攻撃”はより細分化され、スターたちを悩ませているのだ。恐怖のファン事件簿は後を絶たない──。