総再生回数1億回以上、動画総数1400本超となる人気チャンネル! いまや医師YouTuberとしても知られているのが高須幹弥先生。時には「そこまでやる!? 」という内容も……。幹弥先生へ意気込みをうかがうとともに、悩みが解決する動画も厳選紹介します!
美容外科の雄、「高須クリニック」。同クリニックの名古屋院の院長を務める高須幹弥先生は現在、YouTuberとしても人気者だ。2013年9月30日より配信がスタートしたYouTubeチャンネルの登録者数は2021年10月1日現在38・7万人に上り、医療関係者によるチャンネルとしてはダントツの人気を誇る。
YouTubeをはじめた理由
今年7月には新刊『高須幹弥の人には言えないお悩み相談室』(KADOKAWA刊)を上梓した。同書は、これまで幹弥先生がYouTubeで答えてきた視聴者からのお悩みに対する回答をまとめた一冊。タイトルのとおり、“ちょっと人には相談しにくい”相談ごとの数々に、幹弥先生が根拠を提示しながら真摯に回答する姿勢が話題となっている。
そもそも幹弥先生はなぜ、YouTuberになったのだろうか。
「最初はあくまでも『美容外科医』として、美容整形に関する情報発信をしようというのが目的でした。実はYouTubeを始める前から、美容整形に関する正しい知識を患者さんたちにも知ってほしいと考え、アメブロに手術や症例について書き記していたんです。ただ、医療情報を文字で伝えようと思うとどんどん長くなってしまって……限界を感じていました。
ちょうどそのころ、アイドルグループ・SKE48のメンバーだった松村香織さんが毎日Google+に動画をアップしているのを見ていて。当時は自分で動画を毎日アップしている芸能人は珍しかったですし、彼女がどんどん注目を集めていく姿を目の当たりにして、『医者が動画をアップしたらどんな反響があるだろう』と、まねしてみることにしたんです」(幹弥先生、以下同)
初期の動画では、クリニックの紹介に加えて、生々しい手術の様子も多数アップされている。目頭切開手術に鼻のシリコンプロテーゼ手術、ヒアルロン酸豊胸手術など、手術中の様子から術後の経過観察の様子まで、解説付きで詳細に知ることが可能だ。
「美容整形を検討している方々に、実際の様子を動画で見てもらうことも目的でした。その時点で思いとどまる人もいれば、どれほどのリスクがあるかを理解したうえで手術を決意する人もいます。患者さんがきちんと理解し納得したうえで手術を受けていただくことができるようになりました。
実は患者さんだけでなく、若手美容外科医のみなさんからもたくさんの反響をいただいています。当時は、部分的な手術動画を出している医師はいたものの、全部を見せている人はほとんどいませんでした。ほかの医師の手術を見学できる機会はなかなかないですし、YouTubeのおかげで、僕の動画で勉強したという“弟子”が、全国にできました」
心に寄り添う医療だからこそ僕のことを知って安心してほしい
YouTubeの影響で、全国からクリニックを訪れる患者さんが年々増加。現在、幹弥先生個人の診察はなかなか予約が取りづらくなっているという。それでもほぼ毎日動画の配信を続け、近年ではその内容もバラエティー豊かだ。
整形の情報から、アニメのキャラクターの美形度や政治情勢の解説、悩みへの回答もあれば、幹弥先生が「ミキキン」「ミキル」といった人気YouTuberに扮したパロディー。食レポ、筋トレ方法、愛犬の秋田犬と戯れる様子に至るまで、さまざまな企画を配信している。人気美容外科医として多忙を極めているはずなのに、実にバイタリティ豊かなチャンネルなのだ。
「僕の場合は、ひとりでしゃべって、ひとりで撮影して、ほとんど編集もしていません。無理をしていないから続けてこられたんですよね。いろんな動画を配信するようになったのは、美容整形の患者さんたちに限らず、さまざまな層の人たちに見てもらいたいから。
同じ内容ばかりだと飽きられてしまいますからね。内容の豊富さには自信があります。登録者数や再生回数などは、超有名YouTuberたちのレベルにはまだまだですが、内容の豊富さでは、ステハゲには、勝てたような気がします(笑)」
YouTubeとしての活動を続ける理由
とにかく幹弥先生は、まじめなのだ。お悩み相談への回答をする際には事前に自分の意見に関する根拠を調べ直しているし、発言に抗議が来たらすぐに謝罪し、解説する。せっかく見てくれているならと、激辛カップ焼きそばを頬張ったりと、身体を張ることもいとわない。
幹弥先生がYouTuberとしての活動を続ける理由は、もうひとつあるという。美容外科医は、著書のテーマでもある「お悩み」を抱える人たちに寄り添う職種ゆえに、「担当してくれる医師がどんな人間であるかを知って、安心してほしい」という思いがある。
「美容整形を繰り返す患者さんの中には、醜形恐怖症(身体醜形障害とも呼ばれる)という心の病を抱えている人も少なくありません。最初の問診の際に必ず投薬歴や既往歴について確認するのですが、ADHDや躁鬱病などの治療を受けていると回答する方も一定数いらっしゃるんです。本人が隠していても、数分話して、メンタルに問題を抱えていることがわかるケースもあります。
そもそも美容外科は、自分の外見が好きになれなかったり、なんらかの理由で整える必要があるパーツがあったり、手術を受けることで『自信を持ちたい』という思いでやってくる患者さんばかりです。ただ身体を整えるだけでなく、心のケアも必要な場所。
その一方で、今、美容整形業界では過当競争が起きている。患者さんよりも美容外科医の増加率のほうが高く、初診0円、手術費用数万円〜と価格競争が激化してしまっています。ただ、人のメンタルに寄り添う医療だからこそ、話してみたら手術が必要ないケースも多々あるんです。
となると、初診0円ではそもそも元が取れませんよね? 結果、強引に手術をすすめざるをえないような状況に陥ってしまう。そうなればトラブルも増え、悪質と見られるクリニックも増えてしまいます。
だからこそ、僕は技術力と信頼を持って、患者さんと向き合いたい。今後もYouTubeでみなさんとコミュニケーションをとりつつ、自信を持てる人たちを増やしていきたいですね」
美容外科は「幸福のための医療」ともいわれている。幹弥先生のYouTubeは、まさに人々の幸福のためのYouTubeといえるかもしれない。
高須幹弥高須クリニックチャンネル
悩みが解消するオススメ動画集
※再生回数は10月1日現在
人の心に寄り添う
「自殺したいと考えている方に観ていただきたい動画です。」
710,457回再生 2020/07/19
https://www.youtube.com/watch?v=CGxTOapcwNY
「死にたい」と考えている方々に向けて、幹弥先生が“冷静になるための”優しいメッセージを送る。まずは自分のことを客観的に見ることで、狭くなってしまった視野を広げることの重要性について考えさせられる。
美容整形外科医の見地を発揮
「新垣結衣と星野源の顔面偏差値を教えてください。」
32,632回視聴 2021/05/29
https://www.youtube.com/watch?v=VeRLwa8haVM
専門医の視点から、ガッキーの顔面偏差値は70、星野源は51ときっぱり断言。とはいえ年を取ればビジュアルは関係なくなるため、見た目よりも才能で勝負する星野との結婚の価値について語る。
時事ネタに切り込む
「メンタリストDaiGoのメンタルを分析しました。」
419,156回再生 2021/08/15
https://www.youtube.com/watch?v=j7lMcd0s3Hc
「ホームレスに存在価値はない」発言が炎上した際にも、先生はすぐに動画をアップ。DaiGo叩きを集団イジメと指摘する声も上がったが、擁護できない理由を丁寧に説明している。
爆笑パロディー
「【ミキル】大人気カリスマYouTuberがペヤング獄激辛ニンニク食べてみた! 【超楽勝】」
90,656回視聴 2021/08/09
https://www.youtube.com/watch?v=OYX4bJMWme8&t=3s
人気YouTuber・ヒカルのファンを公言する幹弥先生によるパロディー、「カリスマYouTuber・ミキル」。辛いのは余裕と言いつつ、しっかり牛乳で胃に粘膜を作りつつ必死に食べる姿で好感度爆上げ!
YouTubeチャンネルでのお悩み相談が書籍化。「本を出すなんて時代遅れだと思ってた」という幹弥先生も、「いざ手にとってみるとYouTubeとは違う重みがある」と太鼓判。
高須幹弥(たかす・みきや)●1975年生まれ。美容外科「高須クリニック」名古屋院院長。医学博士。柔道三段。美肌治療、プチ整形、目、鼻の手術、エイジングケア手術、豊胸手術、脂肪吸引、輪郭手術などオールマイティーに美容外科治療を担当。
(取材・文/千吉良美樹)