世界的に著名な自然療法士でオステオパシストのフランク・ラポルト=アダムスキー氏。1992年に発表された「アダムスキー式腸活メソッド」は、Google.itの食事法(ダイエット)部門(2017年)で「最も検索されたキーワードのベスト3」に選出されるほど、本国イタリアのみならず、ドイツ、フランス、スペイン、ポルトガル、ベルギー、トルコなど、世界中で話題になっている。
日テレ系列「世界一受けたい授業」(5月22日放映)でも紹介され、「アダムスキー式腸活メソッド」をすべて解説した『腸がすべて:世界中で話題!アダムスキー式「最高の腸活」メソッド』は、日本でも9万部を超えるベストセラーになっており、大きな反響を呼んでいる。
訳者の森敦子氏が本書の翻訳を通して感じたのは、「食べ物は『何を食べるか』ではなく、『何と組み合わせて食べるか』が大事」ということ。では、アダムスキー氏の提唱する「最高の腸を手に入れるための組み合わせ」はどうやって食卓に取り入れればいいのだろうか? 今回は、本書の翻訳を手掛けた森氏が「おにぎりで腸活するコツと、意外なNGの具材」について解説する。
いつもの「おにぎり」は具の選び方で「腸活」できる
新米のおいしい季節になりました。秋はおいしい食べ物が出回るうえに、涼しくなって食欲が増すのでついつい食べすぎてしまう、という方も多いのではないでしょうか。
今話題の「アダムスキー式腸活メソッド」では、「コンディションのよい腸」には、吸収や排出を行いながら、食べすぎを矯正してくれる働きもあると考えられています。
食生活を正して腸の調子を整えると、余分にたまった脂肪や毒素が排出されるようになり、さらなる脂肪や毒素の蓄積を防ぐことにもつながるのだそうです。「スリムな体型」や「健康な体」を維持するためには、腸が正常に働いていることが大切なんですね。
そんなアダムスキー式腸活法では、食事を極端に変えたり、特定のものを食べ続けたりするのではなく、普段の食事を「腸の働き」を意識しながら変えることで腸の調子が整うと考えられています。
今回は、お弁当に、行楽に、オフィスで小腹がすいたときにと、私たちの暮らしに欠かせない「おにぎり」で手軽に腸活する方法を「4つのおすすめ具材」と「1つの意外なNG具材」に分けて紹介します。
まずは、おにぎりの具として定番中の定番「サケ」です。
人気の「サケ」には「オメガ3系脂肪酸」がたっぷり
【1】「サケのおにぎり」
サケには「オメガ3系脂肪酸」と呼ばれる「体にいい脂肪」が含まれています。これはアダムスキー博士も、腸のためにおすすめしている栄養成分のひとつです。「オメガ3系脂肪酸」である「EPA」「DHA」には、腸のなかの炎症を鎮め、善玉菌が増えやすい腸内環境を整えてくれる働きがあるのだそうです。
「サケのおにぎり」なら、コンビニやスーパーでも買えるので、手軽に腸活できるのがうれしいですね。
「オメガ3系脂肪酸」は、腸にいいだけでなく、血液をサラサラにし、循環器系疾患を予防するなど、さまざまな健康効果が期待できるので、ぜひ積極的に摂取してほしい成分だと、アダムスキー博士も話しています。
【2】「いくらのおにぎり」「すじこのおにぎり」
また、「サケ」や「マス」の卵である「いくら」や「すじこ」も、「オメガ3系脂肪酸」が豊富で、むしろ身よりも多くの量が含まれているともいわれています。
塩分が高く、コレステロールも多いので食べすぎには要注意ですが、おにぎりの具程度の量であれば「いくら」や「すじこ」もおすすめです。
同じく魚の卵である「たらこ」や、少し意外な「うなぎ」にも「オメガ3系脂肪酸」は豊富に含まれているそうです。
また、おにぎりを作るときに欠かせない「海苔」も、じつは「腸にいい食材」として知られています。
「海藻類」には「腸内フローラ」を整える効果がある
【3】「海苔のおにぎり」「昆布のおにぎり」
「海苔」や「昆布」といった「海藻類」には、「水溶性食物繊維」が豊富に含まれるといわれています。この「水溶性食物繊維」には、水分を引き込んで便を柔らかくするだけではなく、腸内の善玉菌のえさとなり、腸内フローラを整える効果があるのだそうです。
「海苔で巻いたおにぎり」だけでも腸活になりますし、「昆布の佃煮」や「とろろ昆布」、「海苔の佃煮」「わさび海苔」などを具に選ぶのもいいと思います。
「炊き込みご飯」や「混ぜご飯」をおにぎりにするときにも、海苔でくるりとひと巻きすれば、腸活食材をプラスすることができますね。
【4】「納豆巻き」
「大豆」は、アダムスキー式腸活法で「スーパーフード10」のひとつに挙げられています。数ある大豆製品の中でも、納豆には、腸内で善玉菌の働きをして腸の状態を整え、便通をよくしてくれる「納豆菌」が含まれています。そのため、おにぎりの仲間では、「納豆巻き」もおすすめです。
食べ物からとった善玉菌は、腸内では1日ほどしか定着しないといわれているため、「納豆巻き」や「納豆ごはん」など、食べ方を変えながら日常的に納豆を食べるようにするといいですね。
また、納豆と同じように、大豆を原料としていた発酵調味料「味噌」もアダムスキー博士おすすめの腸活食材です。おにぎりに「味噌汁」を添えるのは、定番ですが、「腸活」で考えても、とても腸にいい組み合わせなんですね。
「アダムスキー式腸活法」にのっとって考えると、残念ながらNGとなるおにぎりの具がひとつあります。それは「梅干し」です。
【5】「梅干しのおにぎり」は実はNG
そもそも「アダムスキー式腸活法」というのは、食べ物が腸を通過するのが「速い食品(ファスト)」と「遅い食品(スロー)」に分け、スピードの違う2種類の食品を同時に摂取しないことで、「腸の詰まりを防ぐ」腸活法です。
このメソッドに従うと、「米」だけでなく、これまでに紹介した「サケ」「いくら」「昆布」「海苔」「納豆」といった具は、すべて「スローの食品」です。
それに対して「梅干し」の材料である「梅」は「果物」なので「ファストの食品」に分類されると「アダムスキー式腸活法」では考えられます。
そのため「梅干し(ファスト)×米(スロー)」の組み合わせは、「アダムスキー式腸活法」では、避けたほうがいいとされているのです。
「でも、梅干しのおにぎりが大好物、食べたい」という人のために、「NGの組み合わせを食べるときの裏技」を紹介しましょう。それは、NGな組み合わせのものを食べる前に「エキストラバージンオリーブオイル」を一口すすることです。
エキストラバージンオリーブオイルをはじめとした高品質の植物性オイルには、非加熱で摂取すると「腸の滑り」をよくする効果があるため、食事の前に一口すすることで悪い組み合わせがもたらすダメージをあらかじめ緩和することができると、「アダムスキー式腸活法」では考えられているのです。
健康は「ポジティブなイメージを描くこと」から
「食べてはいけないものがある」と思うと憂鬱な気持ちになりますが、アダムスキー博士は「意識的にポジティブなイメージを描くことが健康への第一歩」であり、「大切なのは『ファスト』と『スロー』の食品を組み合わせたときに、自分の腸内で何が起きているのかを知っていること」だと話しています。
ただ、いま「裏技」も紹介したように、普段から食事の組み合わせに気をつけ、腸の状態をきれいに保てていれば「たまには誘惑に屈してもOK」「そのときには、ダメージを緩和するコツもある」というのが「アダムスキー式腸活法」なのです。
みなさんも「アダムスキー式腸活法」を学び、おいしいものを食べながら腸の健康を手に入れてくださいね。
(医学監修:澤田幸男/医学博士、澤田肝臓・消化器内科クリニック院長)
森 敦子 (もり あつこ)Atsuko Mori 翻訳家
東京外国語大学イタリア語専攻卒業。アパレル企業勤務を経て翻訳の道へ。現在は書籍およびビジネス文書のイタリア語翻訳を行いながら、フリーランスでイタリア語を教える。