ポイントカード ※画像はイメージです

 数あるポイントカードの中で最もお得なのは実は昔ながらの「紙のポイントカード」。店に行くとスタンプを1個ずつ押してくれるやつだ。一般的なポイントカードの割引率と比べると、なんと約18倍もお得ということが判明。なぜ割引率がダントツなのか、検証した。

紙タイプのカードは驚異的な割引率

 日々の買い物でスタンプやポイントを貯められるポイントカード。使ってはいるものの、「割引率なんて、どれも似たりよったりでしょ? 」と思い込んでいないだろうか。

「アプリなどでの“ポイ活”が全盛のいまでも注目すべきなのは、実は昔ながらの紙のポイントカードです」と断言するのは、ファイナンシャルプランナーの山崎俊輔さんだ。

 紙のポイントカードは、1回利用するごとにスタンプなどを押してもらい、10ポイント貯まると1回分無料というのが典型的なスタイル。昔からの慣れ親しんだシステムだが、改めて割引率を換算してみると驚きの数字が割り出される。

紙のポイントカードとの差

 10回分の価格で11回分得られるということは、割引率にするとなんと9・1%! しっかりポイントを使えば、毎回約1割引きになる計算だ。

 ポイントカードの割引率ではこれ以上ないというほど非常に高い。

「プラスチックタイプのポイントカードやクレジットカードのポイント付与の一般的な割引率(厳密には還元率)は0・5~1%。紙のポイントカードの9・1%は0・5%の実に18倍以上。相当高いといえます」(山崎さん、以下同)

 また、紙のポイントカードだと、雨の日などに2倍押してくれる場合もある。プラスチックのポイントカードだと例えば「ポイント10倍デー」の日でも0・5%×10で5%。紙のポイントカードの約9%が2倍になれば約18%だから差は歴然だ。

割引率の高さはアナログだから

 紙のポイントカードの高い割引率には店側の事情が関係している。

 プラスチックのポイントカードにするには、レジと連動した管理システムが必要だが、規模の小さな店ではそれが整っていないところもある。買い物額に応じて細かなポイントを付与するには、いちいち計算しないといけないため、かなり面倒だ。

 その結果、1回利用したらスタンプ1個といったようなアバウトなポイント付与にしている店が多いのだ。原始的なシステムだからこそ、私たちは高い割引の恩恵を受けられるというわけである。

 また紙にスタンプを押していくタイプのポイントカードはスタンプが貯まっていくのが目に見えてわかるので、ついお店に通ってスタンプを集めたくなるという点もある。店側としては、たしかに1割近い割引率は高いが、常連さんになってくれるのであれば価値ありと判断しているわけだ。

「紙のポイントカードをもらってもすぐに捨ててしまう人や、お店からすすめられてももらわない人もいますが、もったいないです。紙のポイントカードは最強の割引システムだと思いますので、上手に活用しないと損です」

持つ基準を明確にし「別持ちスタイル」で

 ただ、いくらお得とはいえ、大量の紙カードで財布がパンパンになり、使いたいのに見つからない、結局期限切れ……となったら本末転倒だ。

「どんなに得でも割引を利用しないかぎり、割引率はゼロでしかありません。確実に割引を使うためには、持つ基準をはっきりさせることがポイント。割引率だけでなく、自分が割引を得られるまで利用するのかどうか、行く頻度を具体的に想定して取捨選択することです」

 例えばスタンプ10回で特典が得られ、1年有効のカードなら月に1回弱利用すればOK。有効期限内にクリアするには「月イチ利用するかどうか」を目安にすればいい。

 ところがゴールまでスタンプ20回というカードなら、2~3週間に1回は利用しなければならない。「そんなに行かない」と判断できればもらわないという選択肢もあるし、とりあえずもらっておいて、行かないと判断がついた時点でどんどん処分すればいい。

「紙のカードの中にも、500円の利用で1ポイント、20個貯めて50円引きといった割引率が低いものもあります。その場合、よく行くお気に入りの店でもないかぎり、もらう必要はないでしょう」

 こうしてセレクトした紙のカードは財布に入れずに、別に持つことを山崎さんはすすめる。

「紙のポイントカードは財布に収納しにくくかさばるので、安いものでいいから、カードケースなどに入れて別にしておく。ここに入る分だけと決めて定期的に見直すようにすると、確実に割引が得られるカードだけが残ります」

 街の商店街の飲食店や食料品店、クリーニング店、花店などが導入していそうなイメージだが、実は大手チェーンでも紙のポイントカードを使っているところもあるので要チェックだ。

紙のポイントカードを導入している主なチェーン店

築地銀だこ(たこ焼き)
新宿さぼてん(とんかつ)
サンジェルマン(パン)
餃子の王将(中華料理)
横浜くりこ庵(たい焼き)
猿田彦珈琲(カフェ)
デイリーテーブル紀ノ国屋(食料品店)※
日乃屋カレー(カレーライス)※

※店舗による

プラカードはアプリで効率よく貯める!

 もちろん、プラスチックのポイントカードも賢く利用したい。

 いまや家電量販店、スーパーやドラッグストア、カフェから書店まであって非常にかさばるので、こちらもお財布から出して別持ちがおすすめ。もし10枚以上になるようなら、アプリになっているものはぜひスマホにインストールを。

「アプリはいくら入れてもスマホが厚くなるわけではないので、使う頻度が高くないポイントカードも入れておき、利用機会を逃さないのがポイントです」

 スマホは使えていても、アプリは自信がない……と尻込みする人もいるかもしれない。ただ、面倒なのは最初のインストールとアカウント作成だけ。そこさえクリアできればずっと得できるので、ぜひチャレンジしてみてほしい。家族や得意な友人に教えてもらったり、携帯会社やポイントカード会社のキャンペーンなどで代行してくれるサービスもあるので、苦手な人は要チェック。

 紙に加えてプラスチックとアプリのポイントも併用し、賢く得しちゃおう。

この3つはスマホにアプリを入れるべし!

●Tポイント ●dポイント ●楽天ポイント

 さまざまあるポイントカードのアプリですが、特定の店舗だけでなく、複数の店舗で共通して使えるものがあります。その代表が、Tポイントカード、dポイントカード、楽天ポイントカード。

 この3つのカードは提携している店舗数が多く、入れておけばポイントの取りこぼしが減り、貯まるペースはグンとアップ。同時にその店独自のポイントカードを提示すれば、両方でポイントが貯まる「二重取り」も可能!

 また、よく使う駅ビルやショッピングモールが発行しているポイントカードも二重取りが狙えるので、アプリにしておいて損はありません。(山崎さん)


教えてくれたのは……山崎俊輔さん●ファイナンシャルプランナー、消費生活アドバイザー。お金に関することをわかりやすく解説するコラムが人気。著書に『スマホ1台で1000万円得する!  マネーアプリ超活用術』などがある。

(取材・文/野沢恭恵)