10月15日、映画『燃えよ剣』が公開を迎えた。
「司馬遼太郎の小説が原作で、岡田准一さん演じる新選組副長・土方歳三を主人公に、新選組の志士たちが生きた激動の幕末を描きます。土方を愛したお雪を柴咲コウさん、近藤勇を鈴木亮平さん、沖田総司を山田涼介さんが演じるなど、豪華なキャスト陣です」(映画ライター)
監督が綴った傷心ブログ
当初は'20年5月公開予定だったが、新型コロナウイルスの影響で、約1年半の大幅な延期を経ての上映。しかし、この映画に降りかかった災難はこれだけではなかった。
「東宝映画とともに製作を担当していた『イメージフィールド』という会社が、クランクアップ直後の'19年5月に倒産していたんです。
TBS系のドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』などの人気作を手がけていましたが、資金繰りが悪化して民事再生法の適用を申請しました。スタッフへのギャラの支払いが滞るなど、以前から自転車操業状態ではないかと噂されていましたね」(制作会社関係者)
クランクアップ直後の制作会社の倒産が、映画に与える影響は計り知れない。監督の原田眞人氏も心を痛めていたようで、'20年4月のブログにこう記していた。
《一年前の4月27日は夢見心地であったと思う。5月になって我々『燃えよ剣』関係者は運命の逆転を味わう。そこを乗り切ってポストプロを終え、クリスマスの頃、初号試写をやって再び映画作りの幸せを噛み締め、年が明けて、ゆるゆると押し寄せる災厄の波にのみ込まれた》
公式発表によると、資金繰り悪化の原因は“一部の大型案件や海外案件で想定以上のコストが重なった”とされていた。
「この“海外案件”に当たる作品が、ネットフリックスの『全裸監督』シーズン1でした。イメージフィールドが制作を担当し、撮影期間は'18年10月から'19年1月。つまり、クランクアップの4か月後に倒産したということです」(スポーツ紙記者)
製作会社に問い合わせると……
ネットフリックスは豊富な資金力を持つことで知られているが、イメージフィールドはなぜ倒産してしまったのか。
「制作費は、制作会社が一度全額負担し、後日ネトフリからお金が入る仕組みと言われています。『全裸監督』のコストは“1話1億円以上”とも言われるほどかなり高額だったため、制作費を回収し終える前に資金がショートしてしまったのではないでしょうか」(前出・制作会社関係者)
その後、イメージフィールドは事業再生への取り組みを進めたが、最終的には2社の映像制作会社と統合し、『株式会社ユナイテッドプロダクションズ』となった。現状を問い合わせてみたが、
「当時の状況を知る社員が、ほとんど残っていないのでわかりません……」
と困惑するばかり。
幕末の動乱を描いた映画は、製作現場でも大混乱を巻き起こしていたようだ。